現代今昔物語―自分流儀。伝承。贈ることば、子供たちへ。不変のストーリー

我が息子と娘へ伝承したいメッセージをというのがきっかけで、時代が違っても考えかたは不滅といった内容を新世代達へ残したい。

豆乳、Welcome to Free World

2014-07-07 | Weblog

もう35年も前のことだが、埼玉県の狭山市に、㈱紀文 中央研究所があった。当時は、そこで大豆たんぱく、豆乳のテスト生産が行われていた。最初は、無菌充填の250mlの紙パック。紙パックとしてはデザイン印刷がない、いわゆる白無地容器だった。テスト段階から市販へ移行するにあたり、充填する容量を200mlにするため、充填機の容量改造を行い、紙パックのデザインも、現在も使用されている、緑色を基調にした、太陽や鳥を構成要素とした基本デザインが出来上がった。当初は、プレーン味からスタートして、麦芽味、ヨーグルト味が加わった。しばらくはこの3品種でマーケティングが展開される。ほどなくして、愛知県のマルサン食品も同様の容器で市場参入する。豆乳のイメージとして、豆臭さがいや、という方々が多く、メーカーとしては、いかにしてその豆臭を加工段階で取り除いた製品にするのかが、1つの鍵であった。ヤクルトスワローズの広岡監督が健康にいいと勧めたこともあって、あっという間に様々なメーカーの豆乳が店頭に並ぶようになった。ヤクルトのラックミー、三菱化成のマプロン、日清精油のもの、埼玉県の朝日食品のものなどなど。各社では、おそらく社内研究、開発が進められて、商品を出すタイミングを狙っていたのであろう。日本の場合、おうおうにして、1社がこの時とばかり、製品化して売り出して、売れるとの感触があると、続々と同様の製品を一気に発売して、商品として、差別化できないとなると、価格競争が起こり、消費者側にも飽きということも発生して、あれだけ占めていた陳列が、どんどん小さくなっていく。やがて豆乳はどこに置かれているの?という時期がきて、その後、徐々に残るべくメーカー品だけが残る結果となる。今は、全体的に健康に意識が高く、改めて、大豆製品のひとつとして、いろいろな豆乳製品が売られている。以前は嫌われていた豆臭も、今では逆に、それが無調製豆乳として、その味を求める消費者のニーズにも応えるという状況だ。

まさに豆乳がこれから一気に伸びるだろうと予想された、1980年代の後半に、東京では2年に1度、東京国際包装展という展示会が開催されており、5日間の開催で、開催最終日には出展各社が、おのおのFarewell Partyなどを開くところもあった。その年のPartyのオープニングの挨拶に立った主催者が、一言目に、ソ連(ロシア)から初めて東京国際包装展にやってきていたグループに向けて、Welcome to free world と口火を切った。その一言には、各人がいろいろなことを瞬時に考えさせられる、ある意味、洒落た一言だったと今でも思っている。この頃でも、まだまだ民主的と呼べる状態でもなく、様々なレベルでの混乱が続く時期だったが、少なくとも、相手に対して、今まではFREEではなかったよな、ということだけでも口にできることに少なからずの前進があったことの証だ。

人間が口にする飲料は限られる。必要とされる水分は、1日に、約3リットル。そのうちの約4分の3は、家庭の水道水、家で作るお茶、麦茶、味噌汁、コーヒーメーカーでつくるコーヒー、紅茶、果物そのものからの水分、野菜からの水分などから摂取している。残りの4分の1が、飲料として購買して水分を補給している。今は、もう少し、割合が高くなっているかもしれないが、いずれにしても、人間が必要とする水分量は変わっていないはず。飲料メーカーは、胃袋の中に入れる飲み物として、限られた量の中で、競っている。日本人が口にする購買する飲料として、ある長い時期は、牛乳+乳飲料が、カテゴリー別で一番だった。2番がビールだった。それが、バブル時代に入って行くに従って、ビールの年間消費量がNO.1になった。それ以前から、日本酒の消費量は、年間150万キロリットルあたりから、ジリジリと下げ気味だった。牛乳や乳飲料も徐々に下げ基調で、スポーツドリンク、ウーロン茶、緑茶、ミネラルウォーター、焼酎が徐々に上向きで、さらに加速してきていた。飲料の消費分野も、何かの飲む量が増えれば、上乗せとはならず、何かが落ちる。これだけ、水やお茶系が伸びているので、当然、家庭でのお茶っぱからいうことにも影響を与えていると思う。イギリスなどでは牛乳の消費量が高いのだが、それは決してそれだけ直接、牛乳を飲んでいるというこではなく、紅茶へ入れてミルクティにしていたり、料理でホワイトソースを作るから高い消費量となっている。イギリスの牛乳は、ノンホモと言われ、ホモゲナイズされていない、均質化されていない、脂肪球が細かくされていないので、濃く、クリーミイに感じられる。そのため、容器の上側には、クリーム分が浮いている。そのクリーム部分は、ソース作りや、ケーキ作りにも利用される。日本でも牧場へいって、取れたての原乳を飲むと、濃く感じられるのは、決して乳脂肪分が多いのではなく、まだ均質機にかけられる前の状態だからだ。