道立道南農業試験場研究部長 赤司 和隆 窒素の与え過ぎに注意
作物の生育には多くの窒素、リン、カリウムが 必要です。不足しないよう肥料でこれらの養分 を施しますが、特に窒素を与え過ぎるとさまざま な生育障害が発生します。一般に窒素過多に 伴い葉の濃緑化、生育の後れなどが起ります。 また葉茎が軟弱に育つため病害虫の被害が大きくなるようです。 米の食味やテンサイの糖分も低下します。トマトなどの果菜類では カルシウム欠乏が起り、果実の先が腐ることがあります。窒素など の養分が土壌に多くあるとカルシウムの吸収が阻害されるのです。 余分な窒素は雨水で下層へ流され、地下水や河川に負荷を与えま す。窒素は最終的にはマイナスの電荷を持つ硝酸イオンに帯電して いる土壌と反発し合うため、土壌に吸着されず水に溶けて流れやす いのです。今は肥料の価格も高騰しています。技術的には肥料の やり過ぎを正し、未利用の有機物を堆肥や肥料に利用することが求 められています。「もったいない」という言葉のある国ですから、有機 物の有効利用に関して今後何か画期的なアイデアが出てくるかもし れませんね。(おわり)
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