flow Trip -archive-

「漂い紀行 振り返り版」…私の過去の踏査ノートから… 言い伝えに秘められた歴史を訪ねて

柳田國男館 日夏耿之介記念館

2016-03-23 00:00:00 | 学びのやかた

(長野県飯田市追手町 2000年8月19日)
 飯田線伊那路号で北へ向かう。天竜川に沿い始めると、乗り堪えのある感じとなってくる。それは三信鉄道時代そのままの紆余曲折を繰り返し、天竜の流れと共に登竜するからである。そして二度目の伊那都飯田に到着した。飯田城二の丸であったところには、飯田市美術博物館が建てられ、丘陵上であることから、対岸の松川や鼎(かなえ)、赤石方面が望められる。美術博物館は基本設定を「伊那谷の自然と文化」とし、常設展示を「豊かな伊那谷の自然とその生いたち」と「伊那谷の風土とそこに生きる人々」としている。特別展示は、開館10周年記念として脊椎動物化石研究者、長谷川善和氏のコレクションから「ゾウ化石の発掘から復元まで」と、人形美術家、川本喜八郎展が催されていた。川本喜八郎展では三国志と平家物語の人形劇用人形を主に展示していたが、飯田周辺が江戸時代中期以降、人形浄瑠璃が盛んになったこと、また同氏が飯田市で開催される人形劇カーニバル飯田に関わったこと等を理由に同氏記念館を市内に建設する計画があるようだった。本丸跡には美術博物館分館として柳田國男館と、日夏耿之介(ひなつこうのすけ)記念館がある。民俗学の盛んな信州地方において、飯田藩士柳田家に養嗣子としての経緯等から、所縁の地として東京世田谷喜多見から國男の書斎「喜談書屋」を移築し、資料等を開放している。これは、没後の理想の姿であると思う。また、柳田國男記念伊那民俗学研究所が開設され、活動も始められている。隣接して建つ日夏耿之介記念館は、飯田出身の近代文学者であり、建物と共に作品、遺愛品が展示されている。これら文化施設をみて、伊那地方の中核地らしい部分を感じることができた。

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