小梅日記

主として幕末紀州藩の学問所塾頭の妻、川合小梅が明治十八年まで綴った日記を紐解く
できれば旅日記も。

三日目3 45番~44番札所 道後温泉

2016-12-04 | 四国遍路 伊予(愛媛...
三日目3 45番~44番札所 道後温泉

本日の昼食は浄瑠璃寺のすぐ傍にある大きな民宿「長珍庵」広間に案内されるともう用意ができていた。遍路用品やお菓子などが売店で売られていたのでスマホを充電させてもらってお線香を買った。
次はいよいよ伊予の横綱級の山の岩屋寺だ。先達さんから発破をかけられる。

45番 海岸山 岩屋寺(いわやじ)
ご詠歌 大聖の祈る力のげに岩屋 石の中にも極楽ぞある
本尊 不動明王
山中に建つ岩屋寺だが山号は海岸寺。「山高き谷の朝霧海に似て松吹く風を波にたとえぬ」と大師が詠ったのがこの山号の由来だという。かっては海底だったところが隆起して迫力ある岩屋を作った。巨岩の中腹に埋め込まれるように建てられた堂宇は典型的な山岳霊場で多くの修験者の道場であった。
雨が降ってきた。やっと傘を出す。土産物屋の並ぶ長い参道。小雨なのでお土産屋さんに傘を預かってもらった。ローソクやお線香をあげなければならないので濡れるよりないほうがいい。






参道のの石段。巨木の中にできた参道が続きその石段は266段らしい。参道脇には「南無大聖不動明王」と書かれた赤や青の幟が立てらいた。諦めてバスの中で待つ人が二人、途中で引き返した人もいた。。今回ではこの長い登り道で初めてストックが役に立った。二本あるので一本を貸してあげたらとても喜ばれた。
進むにつれて周囲の空気が変わっていくようで聖域を思わされた。やっと納経所が見えると突然むき出しの岩窟山が全貌を現した。大師は山全体を霊場と決めた。梯子がかかっていてその上の岩窟の中に秘仏の石像が安置されているという。さすがに梯子を登る気力も体力もない。若い人が降りてくるのを羨ましく思った。
いつしか雨はやんでいた。傘を預けたお店で岩屋寺の手ぬぐいを買った。






44番 菅生山 大宝寺(だいほうじ)
ご詠歌 今の世は大悲のめぐみ菅生山 ついには弥陀の誓いをぞまつ
本尊 十一面観世音菩薩
44番のこの寺は88札所の真ん中にあたるので大師が中札所霊場として決めた。。
寺伝によると本尊の縁起は大和朝廷の時代まで遡る。百済から来朝した聖僧が、携えてきた十一面観音像をこの山中に安置した。飛鳥時代になって大宝元年に安芸(広島)からきた明神右京、隼人の狩人兄弟が菅草の中にあった十一面観音像を見つけ、草庵を結んでこの尊像を祀ったのがはじまり。この奏上を聞き文武天皇が下した勅命によって建立され、大宝律令が確立した時期であり大宝寺と命名された。後の100年後に大師がこの地で密教を修法して霊場に定めた。






雨の上がった標高490mの高地にある境内には老樹が林立し、幽寂な空気が漂っていた。仁王門をくぐり道一つ越え右手に納経所。さらに登り、正面に本堂、右に大師堂。石段脇には山頭火の句碑。「朝まゐりはわたくし一人の銀杏ちりしく」がある。山頭火は昭和14年に訪れたようだ。




本日の巡拝はここまででバスは4時5分に発車して道後温泉に向かった。


道後温泉
愛媛県松山市(旧国伊予国)に湧出する温泉で白浜、有馬と並び日本三古湯の一つといわれている。古代から知られていて古名を「にきたつ」(煮える湯の津の意といい、万葉集巻一に見える。また額田王の有名な「熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」歌の熟田津も道後温泉ではないかといわれています。また夏目漱石の小説『坊つちやん』にも描かれ、愛媛県の代表的な観光地となっている。
道後の町に入ると湯煙があちこちで立ち上り鉄筋のホテルや宿が林立している。10年ほど前に亡くなった兄と泊まったホテルの前を通過してバスが止まったのは古湧園。5時だった。
和室の典型的な宿の部屋。畳が新しくて臭いを発していた。窓からは坊ちゃんお風呂屋が見える。岩屋寺を歩いた疲れからしばらく伸びていたが夕食まで1時間半あるので重い腰をあげて散歩に出た。




長い急な坂道を下っていくと商店街に出た。商店街を進んで行くと道後温泉駅だった。道路を挟んでカラクリ時計台がある。毎時0分と30分に人形がでてくるがそれには遭遇できなかった。坊ちゃんの道後温泉本館の前を通った。以前来た時に入っているので思い出を辿っただけ。来年の秋から耐震改修工事が始まり半分だけの営業になるらしい。
お土産はバスの中での噂話から松山タルトと決めていた。それも先達さん曰くの「六時屋」が元祖で味も上品というのを選択。「一六タルト」が全国的に有名だがそれだけに割とどこでも買える。商店街の中程に六時屋さんがあった。味見をさせてもらった。カステラにあんこを包んだようなお菓子。六本買ったら重かった。ホテルの戻るとフロントで箱を買って宅配便にすることにした。明日は3札所を巡拝して帰路につくから参拝用品と最低の品だけをザックに残した。



夕食は宴会場。隣の宴会場も賑わっている。接待係という芸者姿の女性が現れて舞ってくれたのには驚いた。フロントで見かけたので「芸者さんですか?」と尋ねたら「いいえ。接待係です」との返事だった。もう置屋さんはないのかな。女性の多い席ではやりにくいかもしれない。隣室は男性ばかりだったからお酒をついで廻っていたりしていた。
食後、誰も居ない露天風呂に浸ってから就寝。






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