蒲田耕二の発言

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イカサマ

2014-12-29 | 政治
今日届いた大前研一さんのメルマガに、興味深いことが書いてあった。要点を箇条書きにすると--

1.「円安になれば企業は海外から戻ってくる」と安倍首相は主張しているが、そんな事例はない。
2.法人税を引き下げても、企業の投資促進にはつながらない。
3.企業の本社機能の地方移転はありえない。

日本はネコもシャクシも大学に進学するようになってブルーカラー人口が減ってしまったから、海外に行った企業が国内に戻ってきても、もはや充分な働き手をまかなえないそうだ。

移民労働者は入れないし。

さらに、円高時代に部品メーカーが生産拠点を海外に移してしまったので(ひところアウトソーシングだのオフショアリングなんてのが流行語になってましたよね)国内に戻ると部品を輸入することになり、円安が裏目に出る。

だから円安になっても、企業は戻ってこない。大体、作ったばかりの海外の工場を捨てて戻ってくるわけないよね。

多くのエコノミストは「こうした事実を踏まえず、企業経営の基本を知らないままにでたらめなことを言っているだけです」と、大前さんは手厳しい。

いま安倍内閣は、企業の投資意欲を引き出す狙いで法人実効税率を3年間で20%台に引き下げる案を検討しているのだが、これに対して大前さんは2のように主張する。なぜなら、法人税を引き下げても企業は配当金や内部留保を増やすだけで、投資には回さないからだ。

むしろ税金が高い方が、国に儲けを持って行かれるのを嫌い、投資に回すという。

日本はいま、大半の企業が赤字を抱えて法人税を払っていない。払っているのは、せいぜい30%程度らしい。個人消費も経費に計上して赤字決算にする手口が横行しているという。

サラリーマンは給与の一ケタまで税務署に把握されてるのに、ハラ立つよなあ。

こういう「赤字企業」の問題を解決する方が先だと大前さんが言うのも、もっともではないか。

安倍政権はまた、企業が本社機能を地方へ移転したら、社屋などへの投資額の最大7%までを法人税から控除できるようにするらしい。地方創生事業の一環なんだと。

大前さん曰く、「これも一言で言うと、バカな施策です」。

東京にいてさえ、企業はいかにセンター・ポジションを確保するかで苦心しているそうだ。サントリーは赤坂からお台場に移転したが、不便で仕事にならないので営業機能を赤坂に戻した。お台場でさえ不便なのに遠い田舎に移るわけがない--って、一理あるよなあ。

大前さんが攻撃しているのは主に安倍を取り巻く学者たちで、経済学者も学者の常で学閥争いとか流派争いとか激しいらしいから、そっちの因縁もあるのかもしれない。しかし、アベノミクスがイカサマだってのは、もはや安倍以外のだれの目にも明らかなんじゃないかね。

来年は1ドル=160円まで円安が進み、食料品の価格が倍になって庶民の家計は破綻すると、先日の現代ビジネスのサイトにあったけどさ。

では皆さん、どうぞ良いお年を。
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