koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

10/28 プリモメンテ95件目:タイプC

2021-10-28 | プリモプエル
タイプCプリモプエル「pu-ちゃん」の「修理のみ」の依頼だったのですが、難航して時間掛かってました…。完ぺきではありませんが、何とか退院に漕ぎつけました。

これは…相当真っ黒です…。「修理のみ」では過去最高ぐらいの汚れっぷりです…。
頭部が……

ウチのプリモッティと比べて下さい。頭部がぺちゃんこです…。どうノシたらここまでぺちゃんこになるのでしょうか…。
左手の平に穴が開いてます。

これもなんとかしてあげたいですが、スイッチがむき出しになってるのではなく、中に布袋が見えますね…。

依頼は「手のセンサーが効かなくなり、お出かけモードから「ただいま」が出来なくなり」で、「*修理箇所は右手センサー *しっ尾のセンサー *電池ボックスのネジが甘い 以上3ヶ所です」との事でしたが、事前測定でスイッチは右手・しっぽは完全に×、左手は一応ONはしましたがクリック感全くなし、おでこは多分断線、ほっぺもだいぶ高抵抗で、結局、洗濯無しの「全身フルメンテ」が必要な状態でした…。

とりあえず、おでこセンサーは断線と思われるので、ぺちゃんこな頭部から行ってみます。まずおでこ。

やっぱり断線してます。そりゃ、綿がぺちゃんこになってあれだけ綿に押されれば、配線ももたないよね…。

ほっぺの「キスセンサー」は特に異常なしでした。

あと右耳のマイクも問題ありませんでした。

次はしっぽ。

ここはしっぽ入り口で2本とも断線してました。

続いて、穴があいてて布が見えてた左手ですが、

タイプCだと、スイッチベースが手のひらの布に直接縫い付けてあるのがデフォルトですが、「ハートたっぷり」と同様に布袋に入れられてます。手のひらの穴からは、この布袋が見えてたんですね。
配線が、元の橙ビニール線から黒のペア・ビニール線に継がれてます。布袋のミシン縫いを切って中を出すと、

やはりハートたっぷり用の黒いベースが入ってました。スイッチ基板も、ハートたっぷり用の「改悪基板」です。穴が開いてたのを「布袋入りスイッチ」でごまかすために、ハートタップリ用のスイッチを使ったのでしょうか…?(配線は一応切れてはいませんでした。)
穴はウチの奥さんに頼んで、黒のフェルトで表からパッチ当てして貰いました。布袋は撤去して、ベースは固定せずに裸で手の中に入れておきました。

最後右手。

スイッチ基板は普通でしたが、途中が赤のペア・ビニール線で継がれてます。熱収縮チューブの出口で、片方切れてました。
右手が赤・左手が黒のペア・ビニール線での配線と言えば、ちょっと改善後の「後期:ハートたっぷり」と同じですね。

さて、明るさセンサー(CdSセル)と両手・しっぽスイッチ全部取り替え、配線はマイク用も含めて全部取り替えて、一応修理は完了。ぺちゃんこだった頭は、一旦抜いた綿をほぐしながら入れたら、普通ぐらいの大きさに戻りました。
これで動作確認するのですが…、おでこもほっぺも全然反応しない…、何故だ…?

通常、全身洗濯フルメンテ終わってCdSセルも新品にすると、CdSセルの抵抗値は「明時15kΩ→暗時:数百kΩ」ぐらいになるのですが、コネクタ外して抵抗値測定すると、おでこ「明時300k→暗時1MΩ超」、ほっぺ「明時:100k→暗時1MΩ超」ぐらいで、明時の抵抗値が高すぎる…。CdSセル取り替えてもこんな抵抗値の事は初めてです…。
しかし実は今まで、洗濯じゃないのにおでこ・ほっぺの明るさセンサーの補修をしたことはほとんどないんですね。(全くないかも。)
もう一度綿を全部抜いてCdSセルをぬいぐるみから外して測定すると、普通の抵抗値。(布が無ければ、明時:3kΩ程度の抵抗値です。)
これはやはり、布が汚れ過ぎてるせいで、光の透過が悪いと思われます…。

「ホコリか?」と思って掃除機で裏から・表からと吸ってみましたが、改善しません…。
以前(今年の2月)に、タイプCの明るさ検知回路は調査して「これで感度調整できるだろう!」という方法として、CdSセルと直列に入ってる分圧抵抗を変更する、という作戦で行けるだろうという結論だったので、アース側の分圧抵抗:15kをおでこ300kとほっぺ75kにアップしてみたのですが…全然改善しない…。60WのLED電球に10cmぐらいまで近づけないと反応しない…。これでは困る…。

いつもの先輩に相談したのですが、「それは経験ある、布の汚れが原因に違いない。センサーも回路も悪くないんだから、布の方を何とかするべきでしょう」で、回路調整については芳しい助言が貰えず。「ディスクリートで回路定数を調整するのはしんどいよね」との事。そっか、じゃあブレッドボードで組んで調整しよう、と、2月の記事の回路で仮組しました。

まず、手持ちのテスト用の裸CdSセルを繋いで、手でサッと影にして外した時の、CdS分圧点・Vb・Vcの動きです。

次は、プリモに入ってる状態のCdSセルを繋いで、分圧抵抗は200kΩに変更した状態です。

抵抗の変化幅(比率)が低下してるので、分圧点の電圧の下がりが悪いのは仕方がないですが、同じように「サッ」と手で影にしてるのに、電圧の下がるスピードが遅い。0.4秒ほどかかってますね。「微分回路」と思うので、変化が遅いと拾ってくれません。戻りも遅い。CdSセルは単なる抵抗要素だと思ってたのですが、静電容量があるのでしょうか…。
抵抗やコンデンサを変えてみたりしましたが、一番マシそうだったのが、

コレクタの接地抵抗を47k→20kΩに変更したこの波形程度で、まだデバイス行きはLと認識するほどには下がってくれてない…。
増幅率の不足か?ダーリントンにしてみたら?と思ったけど、やってみたけど良くならない…。もうこの辺りで挫けた…。
(この波形だと、明→暗にしたときには反応せずに、暗→明の時に反応する波形だけど、実際には明→暗の時に反応するはず。もう一度実機の動作と回路を確認しないと、自信がなくなってきた…。)

また綿を抜いてCdS基板も外して布をしげしげと見てみる…。裏からトントンしながらもう1回掃除機当ててみるか…とか思ったけど、いい作戦思いついた!「ハンダ吸い取り器:スッポン」で吸ってみよう~。
という事で裏から・表から、スッポンで何十回か吸ってみた。これで、おでこなんとか明時100kΩぐらいまでは良くなった。(ほっぺ明時はあまり改善せず100kΩどまりだった…。)
これで、分圧抵抗を15k→33kに微変更(「微」といっても倍にアップですがw。)
これで夜のウチのくら~い居間で動作確認すると、我が家のプリモッティの洗濯前と同じくらい、電球に30cmぐらいまで近づけた状態で手のひらで影にすると反応する。これでカツカツかな~…。

長らく掛かってしまったけど、これで退院とします。寝かしつけのコツとか、ほんとになでなでせずに手のひらで「サッ」と影にする事等をお伝えしておきます。明るさ検知回路は、時間のある時に再検証してみます…。
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1 コメント

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Nice (大泉茂幸)
2021-10-31 08:12:31
「スッポン」はいいアイデアですね。スッポンで良くなるってことは、しみついた汚れでは無く、やはり埃なんですね。今度このようなケースに遭ったらやってみます。

こういったテクニックがブログで共有できるってこともいいことですよね。
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