koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

6/14 宇部定期開院

2014-06-28 | おもちゃ

修理にだいぶ手こずって、アップが遅くなりました。
6/14は、宇部おもちゃ病院の定期開院日でした。

1件目は、Tokyoディズニーリゾートと書いてある「モノレール」でした。
2台持込で、1台のみ担当しました。
20140614_monorail1
こちらは、「SWが入らないときがある」との事。
とりあえず、分解。
20140614_monorail2
小さなスライドSWでしたが、分解して、接点だいぶ汚れてたので、清掃して組み戻し。
全部組んでみると、まだSW引っかかって、ちゃんと入らないときがあります。
プラレールの様に、SWオフ時はギアが外れてフリーになる作りですが、その機構部分の動きが悪くて引っかかるみたいです。
シリコングリス塗ったら、良くなった様でしたので、組み戻して終了。
(もう1台は、ピニオンの割れだった様です。)

2件目は、トミカ「びゅんびゅんサーキット」。
20140613_byunbyun1
かなりよく来るおもちゃです。2年弱のおもちゃ病院活動で、3回目です。
いつもの通り「警告音が鳴るだけで、モーター起動しない」という症状。
このおもちゃは、安全のために、リミットSWが4個付いていて、ローラー部の透明カバーとレールをはめないと、警告音が鳴って動かないような作りになってます。
電源入れて、リミットSW4つともONになれば、「レーススタートです。」といったアナウンスに続き、モーターが回転始めて、エンジン音等がする。ローラーの片側にはトミカ通過検出のリミットがついていて、「フオ~ン」と通過音がする、といった動作です。

いつもの様にリミットの不作動と思いましたが、基板側で短絡しても起動せず...さて困りました...後は持ち帰って検討。

基板は、裏・表、こんな感じ。
20140613_byunbyun2

20140613_byunbyun3
結構部品数が多いです。

SW1・SW4と書いてある端子が、4箇所のリミットSW行きの端子。まずはパターンの断線を疑って、SW4からICへのパターンのIC直近のレジストを剥がして導通確認するもOK。
全点ハンダ付け直しするも、変わらず...

困った末、いつもの日本おもちゃ病院協会の掲示板に書き込んだところ、写真を元にモーター駆動部の回路を起こして頂きました。それを参考に、回路全体を起こすと、こんな感じ。
1
2
裏面の表面実装コンデンサの記銘が、「SC5」まであるのに、3個しか見当たりません。どうも、ボタンICのモールドが広めに掛けてあって、一部隠れているようなので、IC周辺の回路は不完全と思われます。

回路起こして知りたかったのは、リミット4つ以外に、警告音が鳴るような回路が無いかどうか、ですが、Tr6の部分が、過電流の検出回路の様です。
これが働いてて起動しないのかも、と思い、Tr6を外して確認するもOK。また、コレクタはHレベルで、特に問題無い様子。

R6前にV+掛けると、モーター1が起動。さらにR1前にもV+掛けると、モーター2も起動し、やはり駆動回路には問題なし。

表面実装を含むコンデンサを1個ずつ外して確認するも、どれも問題なし。
モールドも数mm削ってみるも、特に情報得られず。
日本おもちゃ病院協会の掲示板も、いまいち有用な情報得られず...

どうも「IC(orIC周辺の基板)故障により、完全復旧は不可!」という結論にならざるを得ません。

しかし、このままではゴミになってしまいます。モーターやモーター駆動回路は生きてるので、依頼者様の了解を得て、駆動回路のTrのベースに直接電流流して、モーター強制駆動に改造することにしました。

安全のために、4つのリミットは活かす事にして、リミット経由でベースに電圧掛ける事にしました。
警告音は残すことにしました。(リミット活かしたので、条件外れるとモーターが止まります。その状態だと、遊び終わって片付ける時にメインSWを切り忘れる確立が非常に高いと思われたので。)
但し、うるさいので、100Ωを直列に入れて、音量を下げました。

「迫力のサウンド!」がなくなったのは大変寂しいですが、何とか遊べるようにはなったと思います。これでご勘弁を...
(修理成績上は、久しぶりの「△」です。)

3件目は、同じ方が持ってこられた、トミカの「びゅんびゅんビッグタワーサーキット」です。
20140613_tomicatower1
これは、初めて見ます。
先ほどのびゅんびゅんサーキットの姉妹品でしょう。ローラーが回転して、トミカをかなりの速度で上に押し出す様です。

このおもちゃは、他のドクターの皆さん数名で対応していたのですが、開院時間終了時に「スイッチがダメ。ちょうど合うSWは無い!修理不能でこのまま返す!」と言っていたので、
「いやいや、電子回路無しでSWのみの不具合なら、直るはず。」と言って、もらって帰ったものです。

途中からもらったので、どこが悪いのかよく分からないのですが、取りあえず、電池入れてみる。
SW入れると、上半分だけは回りました。とりあえず分解。
カルテには「電池を入れる部分の破損」とありますが、多分その辺は、他のドクターが修理済みの様。
20140613_tomicatower2
 「SWが」と言ってたので、SW短絡してみるも、下半分は回らず。

「何故に下半分だけ回らないの~」と思いましたが、ヒューズ切れてました...
単1電池×4本ですが、上の写真の、上と右の電池が上半分用、左の2個が下半分用で分かれてて、ヒューズも2個使われてます。左側のヒューズが切れてました。短絡してみたところ、難なく回りました。
(そもそも、制御回路無しのモーターに電池4本直列だと、電圧高すぎると思ったよね。)

電流測ると、安定稼動時は0.4Aぐらいですが、起動時はDMMにて1A以上の値が出ます。
手持ちの抵抗型ヒューズは、1,2,3Aとありましたが、2Aにしました。(外してから気付きましたが、赤と黒の線が入ってます。2.0ですね。手持ちの2Aもちょうど赤-黒のマーキングで、2Aのヒューズが正解のようです。)

まあ、このヒューズは、元々来院時に切れていたのか、前のドクターの皆さんが触ってる間にどっか短絡して切れたのか、ぼくが触ってる間に短絡して切れたのか、いつ切れたか不明ではありますが、とりあえず、ちゃんと動くようになりました。


今回の定期開院は、中々忙しかったです。
件数で言うと、ドクター11名で、おもちゃ12件。まあ、ちょうどいいくらいかも知れませんね。

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6/8 おもちゃ修理(1件)

2014-06-08 | おもちゃ

1件対応、トーマスのちょっと大きな機関車でした。
20140608_anpantrain
メインスイッチを入れて、煙突の後ろのでっぱりを押すと、音や音楽がなりながら、前後に動いたり、くねくね蛇行したりする、といったおもちゃですが、動きは問題ないけど、音が全くならなくなった、との事。

結論は、「プリント基板のパターン断線」でしたが、そこに至るまで、だ~いぶ時間掛かりました。

まず、電池は単3×4本ですが、入っていた電池がエネループだったので、念のため新品のアルカリ電池に替えてみましたが、やはり音は鳴らず。(※エネループ等の充電式の電池は、1本当たり1.2V。4本なので、普通の単3電池だと6.0Vのところ、エネループだと4.8Vしかないので、ICがちゃんと動かないことがある。)

まあきっと、スピーカーの不良か断線だろうと、分解していきます。
表にネジがほとんど見えてない。シールの下に3箇所ネジ穴があり、はがそうと試みましたが、きれいにはげず、しかたなく「ズボッ」と行きました。
車輪を片側外して、車輪の陰にネジ2箇所。計6箇所ほどネジ外すと、胴体真ん中から2分割できました。

スピーカーは良さそう、スピーカーへの配線も良さそう。しかたなく基板を確認。
手すきの電子に詳しい無線系ドクターといっしょに、あちこちつついていきました。

基板(表)はこんな感じ。
20140608_anpantrain2
写真左側、モーター駆動回路の部分でしょうか、見たくないほどトランジスタがいっぱいついています。
スピーカー線は、右よりの白線2本で、この周りの部品数はごく少ないです。
スピーカーのプラス側の線は、3本足の部品に繋がってます。刻印は、Mなんとかの「D331」。「Mなんとか」の部分が見慣れなかったので、3本足のメロディICかも、と思ったのですが、手伝ってもらったドクターが「表の基板に"Q4"と書いてあるので、トランジスタでしょう。」との事。「2SD331」でしょうか。モーター駆動回路に使ってあるトランジスタは、中国製のS8050とS8550の様ですが、音声増幅のみ国産品を使ってるのでしょうか?
(※家に帰ってネットで検索したところ、三洋セミコン等の低周波増幅用2SD331で間違いない様でした。)

なんということ無いTr:1石の増幅ですが、回路を書くと、こんな感じ。
Photo
念のため、手持ちのスピーカーに取り替えてみるけど、鳴らず。
手持ちのクリスタルイヤホンを、専用ICの出力に当てると、音がする! 専用ICがだめならもう治りませんが、これなら直せるはず。
基板上のままで、電解コンデンサ確認→OKそう。同じく基板上のままでトランジスタ確認→OKそう。SPマイナス側に、意図は良くわかりませんが、小電力用ではない、1Aぐらい流せそうなシリコンダイオードが入っていますが、順・逆ともにOKそう。
しょうがなく、トランジスタ一旦外して、テスタと自作のトランジスタチェッカで確認→OK。念のため、手持ちの2SC1815を仮付けしてみるも、変わらず、結局元のトランジスタに仕戻し。

...さて、こんな単純な回路、鳴らない筈がありませんが、鳴りません...

行き詰った末、初心に帰って、もう一度クリスタルイヤホンで、どこまで音が来てるか確認すると、
①電解コンデンサの入口側端子:来てます。
②電解コンデンサの出口側端子:来てます。
それなのに、③トランジスタのベース端子:来てない!!!

という事で、見た目には全然分かりませんが、コンデンサ-トランジスタ間のプリント基板のパターン断線のようです。
きれいにレジスト掛けてあるちゃんとした基板でしたが、どうも、コンデンサの足をハンダ付けしてあるランドの際で、パターンが切れてるみたいですね。コンデンサの足からトランジスタの足まで、ビニール線で短絡したところ、鳴る様になりました。

基板裏側(ビニール線で短絡後)は、こんな感じ。
20140608_anpantrain1
これで、違うのに付け替えてたスピーカーを戻して、胴体組み戻し。
煙突後ろのSWの辺とか、ちょっとめんどうでしたが、何とか組み戻し、試運転→OK!

2歳くらいの男の子が、うれしそうに抱えて帰っていきました。
良かった良かった。

コメント (4)
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