koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

9/13 下関サイエンスフェスタ出張開院

2015-09-23 | おもちゃ
この日は、昨年も行きました、下関シーモールでのサイエンスフェスタでの出張開院でした。

とりあえず、入院含む4件。もっとやった気もするのですが、とりあえず記録が残ってるものだけ挙げます。

1件目、トミカのびゅんびゅんサーキットです。

これは、ローラー部の透明カバー2箇所と、出口側レールの2ヶ所に鉄板2枚で作った簡易リミットSWが計4つ付いていて、全部ONにならないと、警告音が鳴って動かないようになってるんですね。

分解して見ると、案の定、リミットSWの板変形で、ONできてない雰囲気でした。全部短絡したら、無事起動しました。
この度、レールは持って来ていなかったので動作確認できない事と、板曲げてリミット復活させても、すぐ再発する可能性があると思われたため、リミット全部短絡としました。

2件目は、「名曲ピアノ絵本」。パタンと開くと、鍵盤になる作りのキーボードです。

出たり出なかったりする音がある、との事。

いつもの様に、導電ゴムSW清掃しましたが、金属で短絡しても、どうしても鳴らない音がいくつかある…。
どうやら、右と左の鍵盤間のビニール線の断線があるようですが、蝶つがいの所が分解できず、正規の経路で引きなおしが困難です…。
やむなく、ケースに穴開けて、別経路で2本引き直して、何とか全部鳴るようになりました。

3件目は、よく来るアンパンマンのノートパソコン型おもちゃです。

音が鳴らない、それ以外はOK、との事。

他のドクターが対応していましたが、最終的に「修理不能!」の判断で、ぼくが持って帰りました。
(難航しました…。)

スピーカーは、画面の側についてるので、画面側を分解しないといけないのですが、画面部のシールの下にネジがかくれてて、シールを剥がさないと分解できない構造。シールをきれいに剥がすのが、いつも苦労するんですね…。

この度は、きれいに剥がすことができました。また、ヒンジ部のフタ付き2箇所のネジも外した状態です。

さて、分解すると、こんな感じ。

スピーカー確認→OK、配線もOKで、さて困った…。しょうがないので、どこまで音声出力が出てるか、クリスタルイヤホンで探ってく事にしました。

基板は、パターンの相当細かい表面実装。基板左上のテストランドが2個並んでるところが、SPへの配線。
その近くに、表面実装8PINのICがあります。

クリスタルイヤホンで、どこ触っても音が聞こえない…。しかし、SPへの出力部に触ると、すっごく小さい音で、ちゃんと音声・音楽が出てました。ICが死んでないなら、何とか直るかも…。

この8PINのIC、「GPY00308 M1N40648」のマーキングがあります。SPへの接続方法から、BTLアンプと思われますが、ネットでどう検索してもヒットしません。また、クリスタルイヤホンで探っても、どれが入力端子か分からないし、表面実装でパターンも追いづらく、メインICからの出力ラインも分かりません…。

基板右側に、マイクからの入力と、マイクアンプ回路でしょうか?唯一、表面実装のトランジスタが付いた部分があります。マイクアンプ入力側で、メインICからの音声出力とマイク音声を合成してから、BTLアンプに入れてるかもしれない、マイクアンプのトランジスタ不良の可能性もあるかもと思い、リードタイプのNPNトランジスタを付け替えてみましたが、改善せず。

いつもお世話になる、日本おもちゃ病院協会の掲示板に質問出すも、いま一ついい回答が得られず、すっかり頭を抱えておりました。
しかたなく、リードタイプの電解コンデンサを全部一旦外して、容量と絶縁の確認を実施→どれも問題なし…。
と、ごそごそしてるうちに、電源ONスイッチに手が当たったのでしょうか、突然起動音が鳴り出しました!

結論として、どこが悪かったのかはっきりしないのですが、機械で全自動で装着される表面実装部品はともかく、手作業でハンダ付けされる電解コンデンサに、ハンダ付け不良があったのでしょうか、とにかく、ちゃんと音が鳴るようになりました。

ところが、先程のマイクアンプ部、表面実装のTrを一旦外して、リードタイプのTrを基板に直付けしてたのですが、電解コンデンサを外してごそごそしてるうちに、押さえて足が曲がって、基板パターン(ランド)を1ヶ所剥がしてしまいました…。
さらに、何とかパターンから繋げる先を見つけて復旧しようとしてたら、SMDの足が1本もげてしまいました…。トホホ~。
しょうがないので、リード線で引き出して(スペースが足りないので)、リードタイプのNPNを繋げてみるも、マイク働かない…。
もしかして、PNPだろうか、とか、足配置が違うのだろうか、いろいろやってみるも、どれもダメ…。

この表面実装Trは、マーキング:BCHと書いてある。これもネットで検索してもなかなかヒットせず、相当時間が掛かりました。
結局、Korea Electronics社製の「KTC9013」というNPNトランジスタの様ですが、PIN配置は普通の表面実装Trと同じでした。

何回かTr付けたり外したりしてみながら、もうダメだ、ちゃんと音が鳴れば、マイクが働かなくても遊べるだろう、これで返そう、と、付けたTrは結局外して、基板を組み戻して試運転してみると…。

キーボードに「アンパンマンマイク」と書いたボタンがあり、これを押すとマイクを使うモードになり、曲に合わせてマイクのボタンを押すと、タンバリンの様な音が出るのですが、実はこれはメニュー①「マイクで遊ぼう」で、選択すると②「マイクで歌おう」があって、もしかしたら、「マイクで歌おう」にしないと、マイクが働かないつくりなのかも…。

で、リード線引き出しでのTrを再度付け直して、「マイクで歌おう」にしてみると…、ちゃんとマイクが働くではありませんか~。
マイクは、常時音を拾うようになってないんですね、マイクを使うモードの時だけ働くような作りなんですね…。

ということで、散々悩みに悩んで、失敗もして、結局完治しました。


さて、4件目は、これもいつもの、歩いて鳴く犬のぬいぐるみです。

右後ろ足が骨折して、ぷらんぷらんになってます。動かしてみると、どこかで引っかかって停止してしまいます。

とりあえず、ぬいぐるみ脱がして分解。(いつも、切ったりほどいたりせずに脱がせられるのですが、ちょっと厳しかったので、1ヶ所切りました。)

いつもそうではあるのですが、繋ぎにくいところで折れてます。手持ちの銅板で左右から挟みこんで固定する事にしました。

銅板は、M2のビスで縫い付けてます。
この状態で、破断部に瞬間接着剤塗って、接着。乾燥後、銅板を含む周囲にエポキシ盛って、しっかり固定しました。

組み戻して動かしてみると、鳴きの動作のところで、引っかかって止まる事がある様です。
ギアの歯欠けがあるような気がしますが、ぬいぐるみがの顔の部分が、かなりしっかり接着してあって剥がし難くて、仕戻し後に表情が変わってしまうのを恐れて剥がさなかった結果、ケーシングが全分解できなかったんです。
ひっかかっても、ちょっとつつくと動き出すので、この度はこれでご勘弁いただきたいと思います。
状態が悪化したら、次回はもっとバラバラにして修理致します。

(後日)受付時にあまり話を聞けなかったので、「依頼者のほんとの要請は何だろう?」と、改めてカルテを確認したら、「動いたり動かなかったりする」と書いてありました。
という事は、足の骨折は気になってないけど、時々引っかかるほうが気になる様で、このまま返却するわけにはいかない…。という事で、再度、今度は全部分解しました。

この状態で動かしてよ~く観察してみると、右前足の上部と、鳴き笛駆動(頭を動かす)リンクが、タイミングによって「ガキッ」と激突して、固まってしまう様でした。
足の上部を斜めに削って、噛みこみにくくして、これで良くなった感じなので、ぬいぐるみ仕戻して終了としました。


さて、この「下関サイエンスフェスタ」での出張開院、去年は40件以上来て、持ってったカルテが尽きた時点で「もう無理~」と受付終了にしてしまったのですが、今年は30件ちょいぐらいの来院でした。
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9/12 宇部定期開院

2015-09-23 | おもちゃ
1件目、アンパンマンのメロディ・キーボードです。

マイクがガリガリ鳴る、との事です。

プラグの替えも持ってはいるのですが、この度はマイク側の切り縮めだけで対応としました。
まだ今一ガリガリ鳴るので、次回依頼があれば、配線・プラグ全部取替えにしたいと思います。

依頼は受けなかったのですが、アンパンマンの人形たちが動いてないので、分解してみました。
プーリーのベルトがゆるゆるになって、回らなくなってたので、1mmTのゴム板をサークルカッターで切って、取り替えました。
(これが、きれいに切れなくて、相当苦労しました。何かもっといい方法ないかなぁ…)

2件目もアンパンマンで、小型のキーボードです。

低い方の「ド」だけ出ない、との事。いつものアルミ箔貼り付けで、すぐ復旧です。

3件目、プラレールです。

全く動かないとの事でしたが、モーター渋りで、ギアボックス外して電圧直接掛けてギアつついたら、回るようになりました。
ギアが結構汚れてたので、ギアボックスも分解して、各ギア清掃するとなお良かったのですが、ギアボックスが接着してあるタイプだったので、今回は見送りました。

あと、閉院間近に戦隊物・仮面ライダー物を3つ持っていらした方がいましたが、1個は典型的な電池消耗症状(起動時の音が鳴りっぱなしになる)、1個は電池端子サビでちょい磨き、1個は液漏れしたLR44が入ってて、動作確認OK。
写真も取らなかったので、修理記録には計上しない事にします。

今日の宇部おもちゃ病院定期開院は、16件来院、それなりに忙しくて良かったです。
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