koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

5/11 宇部定期開院

2024-05-12 | おもちゃ
昨日、5月度の宇部おもちゃ病院定期開院でした。2件の入院分、翌日に全部終わらせたので、早速ブログもアップしましょう。

1件目、「かぼちゃん」です。

「全くしゃべらなくなってしまった」との事。ネルルみたいに「スポっ」と取れる単2×4本の電池BOXで、BOXに付いてる抵抗型ヒューズ(多分1A)が切れてたので、手持ちの2A品で取り替えてみたけど、まだうんともすんとも言わず…。とりあえず分解してみるしかない。

お尻のファスナーを開けると、底を結束バンドで締めてある。外して中身を引き出そうとするけど、全然抜けない…。首の辺りでもう1箇所結束バンドで締めてあって、そこも外さないとケーシングが分割できない。外そうとしたけど困難で、上は切断。
上も切ったけど、まだ抜けない…。ケース上部から棒状の物が出てて、おでこの辺りで固定してあるっぽい。(無理矢理引っ張るとおでこの辺りが凹むので分かる。)
上の結束バンドも切れば、めくってなんとかケーシングが分解できる。

結構な基板…。φ50mmぐらいのスピーカは異常無し、電源SWも導通あるっぽい。
この辺で「難航しそう…」と入院に切り替え。

ご依頼のおばあさん、預ける時に涙ぐんでた…。(多分、ナースさんが修理を受けてくれたことに感動してたんじゃなかろうか。)
「難航しそうなので入院にさせて下さい。『入院すると寂しい…』って事は…ないですよね」と尋ねたら「寂しいです!!!」と言われたので、出来るだけ早く返したいですね。

ギアBOXが見える。定期開院終わってから考えてたら閃いた!モータ異常で過電流が流れて電流取られて起動できないか、モータ回らないせいで初期位置を蹴らずに起動しないんじゃないか~。
(修理後確認したら、電源を入れたら最初に首を一回動かす。その時位置決めのリミットを蹴らないと、設定等のセリフがスタートしないシーケンスの様でした。首を動かす機構は、位置決めのリミットが無いと、首が傾いた位置で止まってしまう可能性があるので、きっとリミットが付いてるはず、と思った通り、リミット付きでした。)

上の写真まで分解すれば、ギアBOXは固定されておらず、ケーシングが全部外せる。その状態でギアBOXからモータだけ外して確認。

280相当のモータかな、手回しすると少し抵抗があるのと、「キリ、キリ」と異音がする…。
単3×2本直結して、回ったり回らなかったり、ちょっとつついたら回り始めたり。電流測定すると、回らない時には2.5A、回る時でも1.5A流れる。抵抗型1Aヒューズが切れた原因はこれですね。(2Aしかなかったので手持ちの2Aを付けて復旧したのですが、駆動回路の方が壊れなくて良かった…)
おけつを直接ハンダ付けして固定してあるので、ハンダを除去してモータ外して分解。

なんか、何かが削れ出てきたような屑?ゴミ?がいっぱい付着してる。ロータと磁石との間に噛んで抵抗になってる様ではなかったけど、出来るだけ除去。
ブラシが…だいぶチビてますね…。

これが整流子の境目に引っかかったりして「キリキリ」異音がしてたのかも。反対側はそこそこでしたが、こちら側はもう切れる寸前ぐらいだったので、これは作りましょう。

リン青銅板で作って固定。これで組み戻して、3Vで回転中0.1A(100mA)まで下がりました。これで大丈夫でしょう。

これで仮組したら、ちゃんと首が動いて設定のセリフが始まったので、仕戻ししました。上の結束バンドは仕戻ししなくても問題なさそうなので放置しました。底の結束バンドは外したのでそのまま刺せないかチャレンジしたのですが、相当苦労したけど断念…。やっぱり3cm程延長して仕戻ししました。

両足の先に(多分導電ゴム式の)スイッチと、両手にチルトスイッチも入ってる様です。頭は「なでなで」との事なので、ネルルと同じく圧電素子が入ってるのでしょうか。一通り動作確認して、とりあえず問題無さそうです。
お尻のファスナーの持ち手がなくなってました。ウチの奥さんに「なんかない?」と聞いたら、すぐ、後付けできる着脱可能なファスナー引手を5個ぐらい出してくれましたw。シックな黒鉄色の金属製で、デザインとしては合いませんが、確実に開閉しやすくなるので付けておきましょう。

日曜日の朝から作業して、10時過ぎには終了。そこそこ近くだったのでさっそく電話して届けてきましたが、感激されて2千円押し付けられてしまいましたw。(ファスナー引手代もあったので「200円を」と言ったのですが、「いやいやそれだけじゃ!」と2千円出されて、「いやいやせめて千円だけで」「いやいや2千円」と、断れませんでしたw。)
これだけ喜んで頂けると、修理し甲斐がありますね。「スイッチ類も悪くなる事あると思います。『どうしても治せない故障』もありますが、スイッチが効かない等の普通の故障はいくらでも直しますので、不具合起きたらまた持って来て下さい」とお伝えしておきました。

さて2件目、2.4GHzラジコンのマリオカートです。

「ステアリングが左で引っかかったままで動かない」との事。この日から入会した新人さんにお願いして、ネジを外してケーシングを少し浮かせたら引っかかってたのが取れてフリーで動くようになったんだけど、念の為開けてみたら、中身がバラバラに…。
二人で閉め戻そうとしたけど、どうしてもきっちりはまらない…。
散々苦労したんだけど、よく見るとステアリング部のピニオンが大規模に歯欠けしてるに気付いた。これじゃあ組み戻してもまともに動かんなぁ…と入院に。

そのギアですが、

m=0.6・10Tのピニオンですが、2カ所、2枚と1枚歯が欠けて、これじゃダメっすね。2段ギアの様に見えますが、ピニオン-クラウンの2段ギアです。

モータピニオンから軸が90度変わるので、クラウンギア(かラック)が必要ですね。逆に平ギアは不要でしょう。(例えば、ステアリングを切ったらハンドルが回ったり人形が傾いたりする造りにすれば、平ギア部分も使うかも知れませんが、確かそんな作りにはなってなかったと思います…)
そのまま取替は無理なので、また「差し込み」としましょう。
普段は押し入れに締まってる卓上ボール盤を出してきて6.5mmで穴あけしたのですが…全然センターが出ず…。ヘタクソ…。
6.5mmじゃまだ小さかったので、センターがズレた方に向かってヤスリで少し拡大して、せめてセンターを少し修正して、クランプで押し込み。
これで見ため的には修復できたのだけど、まず、差し込みの分だけピニオン部が短くなって、モータピニオンとクラウンギアが全く噛まず空回り…。
ギアが短くなった分、下にスペーサを入れてみたら、今度は扇状のギアがピニオンに噛まずに空回り…。ステアリングロッドにスペーサ貼って扇状ギアも嵩上げ。見た目としてはこんな感じに。

これで組んでみるも、どこかせって動かなかったりバネだけでは戻らなかったり、動かしたらガリガリ音がしたりと難航…。そうこうしてるうちに差し込んでたピニオンが抜けてしまった…。徐々に抜けてったせいでセリが悪化したりしてたっぽい。再度クランプでしっかり突っ込み直して、ケーシングの当たりそうなところを削ったりして、最終何とか操作できるようになったっぽい。
なかなかスピードが出るし操作も機敏で楽しそうなラジコンでした。

今回の定期開院は、今年度からの入会の人と、前回見学・今回から正式入会の人とかで、ドクター総勢9名に対して、来院は7件と少なく、うれしい苦労ですw。(その割にはいろいろと忙しくて疲れましたが。)
そんな中でも、1件「お断り」をしました。ラジコンの大きな「モスラ」で、「他はちゃんと動くけど、肝心な糸を吐かない。ジャンクで買ったけど、口の中に付けるらしい部品が最初から無かった。この部品を作ってくれ」という案件。それは…困難だし虫のいい話じゃなかろうか…。
ボクもジャンク品を買ってみたり、狙ってジャンク品を買ったりすることはあるけど、それは「動かなかければ自分で直しゃぁええ」と思っての事。「ジャンクで買って、動かなかったらおもちゃ病院に持ってけばいい」というのは納得いきませんよね…。

糸吐きのボタンを押しても口が開かない。手で口をあけた状態でボタンを押すと、中で何かがちょっと動いてるのが見えるけど、その「無い部品」とやらが口の開閉機構とリンクして口があく構造になってる様には思えない…。分解して内部の構造を確認したらもしかして…とも思うけど、この依頼者さん、2年前ぐらいにUFOキャッチャー景品の小さな仮面ライダーを5,6体(メルカリで買ったって言ってなかったかしら)持って来て修理依頼、次はこれもUFOキャッチャー景品クオリティでソフビを切らないと電池も替えられない本郷猛の貯金箱、これが強烈な納豆臭がする激クサ案件をイヤイヤイヤイヤ修理した、という人で、どうしても請ける気がせず断りました…。
おもちゃ病院はボランティアだし、おもちゃドクターもただの人。やりがいある気持ちいい修理をさせて貰いたいですね…。
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