koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

9/11 下関サイエンスフェスタ出張開院

2016-09-19 | おもちゃ
この日は、恒例の参加になります、下関サイエンスフェスタでの出張開院でした。
(ちなみに、9/10の宇部定期開院は、子どもの中学の運動会と重なり、不参加でした…。PTAの副会長なので、途中で抜け難かったもので。)

例年、大量来院で激しく忙しいのですが、今年はそうでもなかったものの、担当した中で修理不能が2件もあり、へこみます…。

1件目、アンパンマンの50音ボードです。

「全く動かない(音が鳴らない)。土曜日に持ってこようと思ってSWつけてみたら動いたので、土曜日はやめたのだけど、後でつけたらやっぱり動かなかったので、日曜日に持ってきた」との事。

とりあえず開けてみる。スピーカ・配線問題なし。基板まで電圧来ている。基板のCOB(基板直付けのIC)以外の外付け部品はごくわずか、とりあえず、いつもの様に再ハンダ付けしてみるが変わらず…。

しばらくあちこちつついてみたのですが、うんともすんとも言わず、諦めました…。
実は、以前美祢市で勤務していた時、同じ事務所で働いてて結婚を機に退職された女の子で、どうかなぁ、10年以上ぶりにばったり会ったので、絶対直したかったのですが…。

2件目、チョロQです。

直接話を聞いてないのでよく分からない…。ステアリングの所が外れたので、とりあえずはめてくれ、みたいな話の様。
なんだろう、赤外線リモコンで操作するヤツかなぁ…(←ちがったんだけど)
見てみたら、ステアリングを動かすための磁石の所にネジが引っかかってる。どうやら、自分で分解してみた様子。
ボディの後ろが外れず、しっかり分解できない…。しかたなく、無理やり隙間を広げて「ここ」と思う位置にステアリングをはめ込んで、修理完としました。

だいぶ経って依頼者さんが取りに来たらば、チャージャーでチャージして、フロントバンパーの所に手をかざして「動かない…」と…。(走行モーターは動くけど、ステアリングが動かないらしい。)
チョロQの「Q-eyes」という製品で、多分赤外LED?の反射を見て、障害物を感知したらステアリングが切れて、障害物をよけるというおもちゃだった様。
それならそれで、ちゃんと説明して説明書とチャージャーも預けてくれれば、それなりの動作確認と修理をするのに…。
とりあえずこれでいいです、と受け取られたので、深追いはしませんでした。(10秒程度チャージして動作確認してたので、ちゃんとフルチャージしたらちゃんと動作するのかもしれないし…)

3件目、うたの絵本です。

とりあえず分解して中身確認。

スピーカー・配線問題なし。基板まで電圧来てる。メインのスライドSWは…、ON側は問題なさそうだし、短絡しても起動しない。OFF側は…、なんか怪しい。一旦外してみるが、改善はしない。
基板反対側には、リードタイプの部品が1個。

2本脚だけど、セラクロックかしら…。セラクロックは3本足しか見た事ないんだけど…。(後日調べると、秋月には3本脚しかなかったけど、aitendoは2本脚も売ってました。)

いつもの様に、全点再ハンダ付けしても改善せず。一応、マトリックスの接続部は清掃してみたけど、当然改善せず…。
これも諦めてしまいました…。

4件目、トイ・ストーリーの「バズ・ライトイヤー」です。(写真は修理後)

右足首が折れて、立てなくなったとの事。

ご自分でやろうとしたそうですが、手に負えず、との事。
下腿部(ひざ下)つついてみましたが、しっかり接着してあって、やはり分解できず。あらかじめ承諾得ておいたので、薄刃のノコでつなぎ目に歯を入れました。
それでも上の方が分解できない…。下半分は開いたので、無理やり広げてなんとか足首関節部を取り外し。
足首部分は、元はネジ止めで、貫通ネジで留めたりした方が丈夫とは思いますが、とりあえずグレーの部分を瞬間接着剤で止めて応急処置としました。

5件目、メロディーキーボードです。

受付のナースさんに「鍵盤が1個折れてる」と聞きましたが、鍵盤の大半が鳴りません。
鍵盤は、プラスチックの劣化で、1ヶ所付け根が切れてましたが、ほかにも切れる寸前の個所がありました。当て板する厚みも、ピン打つ厚みもないので、とりあえず瞬間接着剤でつけておきました。

鍵盤はいつもの導電ゴムSW。とりあえずアルコールで拭いてみるも、ほとんど復活せず…。数が多いけど、がんばっていつものアルミ箔貼り付けを実施。
だいぶ時間掛かったけど、「持って帰らない!(荷物が増えるし、返却の手間も増えるので)」とがんばったけど、アルミ箔全貼り付けでもあまり改善せず、あえなく入院となりました…。

家に持って帰って再チャレンジ。急いでやったから、アルミ箔の貼り付けがいまいちだったのかと思いましたが、基板側パターンを金物で短絡しても、鳴らなかったり反応が悪かったりするキーが多数…。悩んだ末、基板上の導電塗料でのジャンパー部を疑いました。(写真は、左3箇所修正済み)

抵抗測ってみると、1ヶ所当たり500~800Ωもある。これじゃあ、いくらSW側の接触抵抗を下げてもなぁ…、という事で、塗料部分とレジストをカッターの背で削って、メッキ線をハンダ付け。
計20か所全部をメッキ線で引き直して、これでだいぶ改善しました。
それでもいまいちだったので、最後に基板パターン側をゴシゴシして、これで全部のキーが鳴る様になりました。

さて最後、6件目、歩いて鳴く犬のぬいぐるみです。

いつもの「IWAYAYA製」ではありません。ちょっと小ぶりです。右前脚の骨折との事。

ぬぐるみをはがしてみると、足の先の方の骨折で、くぼみの所にエポキシ盛れば強度が確保できそうだったので、瞬間接着剤で固定後、エポキシたっぷり塗って固定しました。

今回イベント、ドクター4名で受付24件。まあ、6件診たからちょうどかな?
でも、修理不能や完治かどうか不明だったりで、消化不良です…。
言い訳でもないけど、会場がうるさすぎて、ゆっくりじっくり考えにくいのよね…。
でも、もうちょっと装備も充実させて、クロックが発信してるかどうかぐらいは調べるようになっとかないと…。
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8/13 宇部定期開院

2016-09-03 | おもちゃ
お盆真っ只中でしたが、宇部おもちゃ病院の定期開院日。
全然来ないのでは?と思いきや、意外に忙しく、ドクター8人で9件ほど来院ありました。

1件目、先月来られた方の2回目、「JOUJOU College」と書いてあるおもちゃです。

先月は、閉じた状態の表の写真を載せましたが、今回は中身の写真。
しまじろうなんですね、という事は、ベネッセという事でしょう。

「SW切ってるのに、夜中に突然鳴り始めた。」との事。
メインSWがあるので、電源は確実に切れるはずで、SW不良の可能性が高いと思われます。
開けてみると、電池BOXからの液漏れが、ビニール線の毛細管現象でSWまで染みて、SWがかなり傷んでます。

左が取替前のSW。普通はバラして電極磨いて整備するのですが、相当傷んでてツメ起こしたら折れそうだったし、ちょうど同じサイズの予備品(右側)持ってたので、チェックせずに取り替えました。
(予備品は、つい先月ぐらいに、秋葉原からの通販で他の部品を買うついでに、「現物見ないとはっきりしないけど、このぐらいのサイズのスライドSWをよく使う気がする…。」と、試しに2つ買ってみたヤツでした。ジャストサイズ!aitendoの「SS12F16」という型番。操作部高さが選べて、6mmを買ったけど、5mmでもよかったかも。次の機会に買い足しとこ~)

前回磨いた電池BOX端子が、まだいまいちだったのでちょっと磨いて、動作確認。
OKそうだったので、返却としました。

2件目、オルゴールです。

(右側は、取り替えた新品ユニット。左側が破損していた元のユニット、移植の為にドラム・櫛歯取り外し後。)
工作で作ったらしい。手製の共鳴箱にオルゴールユニットがつけてあるだけです。

「空回りして巻けなくなった」との事。
最もポピュラーな、日本電算サンキョーの18弁に似てますが、ぜんまいが上から見えてます…。
巻いても軸が空回りしており、ぜんまい付け根部の切れでしょうか。カシメ削って分解するのめんどくさいなぁ…。

一旦依頼者さんに、「新品ユニット持ってるので、取り替えます」と説明したものの、それじゃあ芸がないなぁ…ぜんまいの切れぐらい直すべきかなぁ…と考えてると、「ああ!ぜんまい抜けばいいんだ!」と思いつき(思い出し)、香箱からなんとかぜんまいを引っ張り出しました。

…が、軸に引っ掛けるぜんまいの端部、特にどうもありません…。ちょっとしたクセの問題かしら?と、ちょっとクセを替えたりして、再度組み込んでみると、ちゃんと巻けました。
…じゃあ、なんで引っかかりが外れてたの…?と悩んでいると、「ぜんまい軸がフラフラで固定されてない。そうだ!初めからぜんまいが見えてる訳じゃなく、香箱が割れちゃってるんだ!」と、聞いてみたら「実はそうです」と、破片を見せてくれました。
「言ってくれればいいのに~」と言いながら、結局、新品ユニットに取り替える事にしました。

曲が変わらない様にドラムと櫛歯を移植して、箱にネジ止めして、修理完となりました。

3件目、子ども用のミシンです。TOMYの「ティナ」という名前です。

箱からして、かなりの年代物です。年代物を、大事にしてきた感じが伝わってきます。
おもちゃミシンですが、TOMYです。ミシンの一流メーカーではありませんが、おもちゃでは一流メーカーです。がんばって直しましょう。

まず、電池端子がかなりボロボロでした。
単1:2本のプラスマイナス共通になってる側は、磨けばまだいけそうでしたが、モーターに繋がる側は、取り替えないとダメそう。
ほかのドクターからちょうどよさそうな端子を貰って、ちょっと加工して、線つけて取付。試運転→ちゃんと回りました。

しかし、時々空回りする。音はするので、多分ギアの割れと思われる…。
この辺で時間も結構遅くなってたので、入院としました。

本体右側のグレーの所がモーター部です。

外してみると、ギアボックスという程でもなく、マブチRE140(相当)モータが入っていて、8T(歯数=8枚)のピニオンが案の定割れてました。
「楽勝~」と思いきや…、一番よく使うのはm=0.5という大きさのピニオンですが、もうちょこっと歯が大きいm=0.6の8Tで、予備品を持ってない!
しばし考えた後、m=0.6の10Tなら持ってたので、ちょっと軸間を広くして10Tを付けよう!と、モーターを固定してるビス穴を削り始めたのですが、よく考えてみると、モーター軸はφ2.0に対して、手持ちのm=0.6,10Tピニオンの軸穴はφ2.4mm。スポスポです…。

む~ん、困った。穴が大きなギアに小さな軸を付けるのは面倒だぞ…。という事で、ネットで探してみるも、全く見つからない…。
思い出した。以前にもm=0.6のギアを散々探して見つからなかったことがあった気がしてきた。

だもんで、いつもの日本おもちゃ病院協会の掲示板に助けを求めました。
「中国通販サイトのアリババで買えます。」と教えてくれた人がおり、勇気を出して買ってみようと思ったが、価格:$0.2~3.2とあるものの、サイトから直接買おうとすると、自動的に1個$3.2になってしまうっぽい。20個買って6~7千円もかかったんじゃ、高すぎる…。
で、価格の問い合わせをしてみたら、1発目の返事は早かったものの、「厚みを教えて。ベストプライスを出します。」→「5mmです」→「OK」以来、回答がなかなか戻ってこない…。

協会掲示板では他に、大きな穴径のギアに細工・加工をして小さな軸が付けれる方法を書き込んでくれた人が2名と、掲示板を見て、親切にもm=0.6、10Tで、穴径φ1.9mmのギアを送って下さった方がおりましたが、8T→10Tにすると、回転数2割アップ・トルク2割ダウンとなってしまう。「子ども用ミシン」という機能上、やはり8Tは8Tで修理した方がいい…。

と、アリババの返事を待って悩んでるうちに、いつもブログを愛読してくれている他県ドクターの方からm=0.6,8Tを譲って下さると連絡があったので、お言葉に甘えて、送って頂くことにしました。

さて、ギアさえ手に入れば、あっという間に修理できます。
ギアつけて組み戻して試運転。糸をセットして試し縫い→OK!
時間掛かりましたが、やっと修理完です。
(下糸=ボビン側の糸の通し方が、説明書でよく分かりませんでした…。縫ってみたところ、ちょっと上糸が強すぎるというか、下糸が弱い気がするのですが、あとは依頼者さんで判断・調節してもらいたいと思います…)

最後4件目、3DSLLです。
「充電ができない。あ~、コネクタの所が折れてる~」との事。
先月だったか、電源が入らないという3DSを1件断りましたが、コネクタの破損だけなら、たしか前に3DS用電源コネクタの予備品を2個買ったのが家にあるはずなので、入院対応で引き受けました。

本体開けたところ。右隅に移ってるのが、交換用の予備品。

3DSLLの電源コネクタ取替は2回目ですが、前回はどうしても基板からコネクタから外せず、結局、ハンダ付けで固定してある足をパターンごとひっ剥がしてしまいました。今回は入院で時間もあるので、ちゃんと直したい。
このコネクタ、必要性が分からないのだが、コネクタの左右に、なんか電極が付いてます。この電極の下になってる部分に、コネクタを固定するための足が出てるみたいで、そこのハンダが溶かせず、コネクタが外れないんですね…。
やむなく、薄刃のノコで、この電極部分を切り離して除去してから、中央部分を取り外しました。
カット・取り外し後のコネクタは、こんな感じ。

赤矢印の部分が、左右の電極の下でプリント基板にしっかりハンダ付けしてあって、ハンダこてで溶かせない作りになってるんですね。
ちなみに、サードパーティ品と思われる、購入した予備品の方は、このツメはついてないんです。
という事で、今回は、前回よりも良い修理ができました。
コメント (2)
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