koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

10/12 宇部定期開院

2019-10-22 | おもちゃ
9月は暇でしたが、10~11月は忙しい。10月度の宇部おもちゃ病院定期開院日でした。

1件目、アンパンマンのレジです。

バーコードリーダー線の被覆がボロボロで、怖くて子どもに触らせられない、との事。以前に他県に住んでて、そこのおもちゃ病院で被覆を巻いてもらったとの事ですが、こうなると線取替したほうがいいかと。

バーコードリーダーは、一見すると押しぼたんSWが1個付いてるだけなのに、なぜ8芯の線なんだろう…と思いましたが、分解して納得。RFIDですね~。

SUICAみたいなICカードで、かざして「ピッ」っとする仕組みのヤツですね。
写真の隣に写ってるLANケーブルがちょうど8芯なので、これに取り替えました。
「商品のカード」を持参してこられなかったので試運転できませんが、色をつなぎ間違えないように、慎重に繋ぎこみました。
(分解面倒だし、線をケチって途中で継いだのですが、ちゃんと分解して基板付け根から繋ぐんだった…。継ぎ部の信頼性に不安が…。)

線継ぐ際に皮むきしてると、なんか特殊な線でした。樹脂製の芯に導体が巻いてあるような作りで、ストリッパーで引っ張ると、導体がピロピロ~と伸びてくる。
家に帰って検索すると、通信用の高級線材で、断線にもかなり強いらしい。(何か名前があったのだけど、調べた日は検索に掛ったのに、今調べてもみつからない…。)
でも、アンパンマンのノートパソコン型おもちゃもそうなんだけど、被覆がボロなのよねぇ…。メーカーさん、もうちょっと自分の製品を大事にしてくれないかしら…。

2件目、ラジコンカー。

写真見ての通り、ホイールがこっぱみじんww。それと、ステアリングは動くけど、前後進ともに動かないとの事。

ホイールは…だいぶ悩んだ結果、AliExpressでちょこっと外径の大きいホイールを発注しました。今付いてるタイヤが外径32mmに対して、発注品は35mm。なんとかフェンダーに当たらずに収まりそう。
「大きさの違うホイールを削ってはめ込む」という荒業がどこかで紹介されてましたが、旋盤がないと芯が出せない気がする…という事で、芸がないけど購入としました。

前後進ができないのは別問題。送信信号を確認すると、前後進もちゃんと信号出てるし、前後進を押すとヘッドライトが点灯するので、モーターorギア関係、又はモータ駆動回路に問題ありと思われます。車体側を分解します。

受信機は、超再生検波+RX2の2世代前(?)の標準的受信機でした。(「27M」のシールが邪魔でよく見えませんが、カニマークじゃないようなので、Realtek社製ではないようです。)

モーターが手で回らないぐらい固着しています。ギア全体的にあめ色で、古い油が固着しているようです。油がモーターにも掛かって(or掛けてあって?)固着しているようです。
タチが悪そうだったので、モーターケースに付いてるコンデンサを一旦外して分解して、前後軸受け部の掃除・シリコングリスを塗布しました。
これで、前後進は動くようになりました。
あとはタイヤ・ホイールですが、頼んだヤツが「30~50日でデリバリー」と書いてあったので、まだだいぶ掛かります。届いたら後日アップします。
(12/7)やっっっと届いた~。「Delivery: 30-50 days」と書いてあったのだけど、注文からちょうど50日目に届いたw。
しかし…。思ったより径が大きい…。元々タイヤ部分の外径が32mmのところに「35mm」という商品を頼んだのだけど、届いてみると、タイヤ部分の外径が39.5mmもある…。フェンダーをちょっと削らないと収まらない…。

なんとか収まらせたけど、かなり不格好になってしまった。ちゃんと走るようにはなったけど…。
なんとかこれでご勘弁願います……。

さて3件目、例のドクター泣かせの「アンパンマンことばずかんスーパーデラックス」です…。

「スーパー」なんですね、初めて見たかも。「英語/日本語」の切り替えがあります。
起動音は鳴るけど絵を認識しない、の状態です。

とりあえず分解。あいかわらず、先端のキャップを取るのに苦労しました…。
分解しながら、ケースの隙間になにやら白い粉が…。

中にも粉。電池のマイナス端子のところで漏れた電解液が、中からつたって、ケースの隙間から染み出しているという恐ろしい状態…。

基板の裏側、ちょうど電池のマイナス端子に一番近いところ、基板にもかなり付着しています。

ネジつける穴の下の部分、パターンが露出してサビてる所があり、ここの断線だけならラッキーでしたが、残念、ちゃんと導通ありました…。
トランジスタが2つ付いてる。LEDの駆動回路ではないかと思いますが、ここの健全性の確認が必要かも…。

センサー先端の黒いキャップは、ネジが切ってあって、回せばLEDが見れます。(相当硬くて、両方ペンチでくわえてようやく回りました。)

あちゃ~。ピンヘッダまで液がしみ込んで、だいぶ腐食してます。こうなると、ソケット側も心配です…。

電池BOXの下半分は、フタになってて分解できたので、蓋をあけるとこんな状態。

これはヒドい…。この状態で歯ブラシ使って水洗いしました。

さて、難航しました…。どこから手を付けていいやら。
最終的には直ったのですが、いろいろやり過ぎて、どれが効いたか分からない状態ww。

基板も歯ブラシと水でしゃかしゃかと洗っちゃいました。(ピンソケットは濡らさないように注意しました。)

一応洗ったものの、基板もかなり傷んでる感じ…。ハンダの色もだいぶ悪いので、トランジスタ回りは全部再はんだ付けしてみましたが、改善せず…。
iphoneの内カメでLED点灯を確認しましたが、点灯確認できず…。LED単体で電圧掛ければ光るようですが、iphoneのカメラではうっすらとしか映らず、確認しづらい…。

とりあえず、クロックを確認しておく。

ほぼ16MHzで発振してました。今まで診たヤツはメインプロセッサ用と画像処理素子用と、水晶が2つ付いてました。諸先輩の記事によると、「最初に起動して、イメージセンサからの信号が
一定時間来ないと、発振が停止する」という記載がありましたが、発振はちゃんと継続してるようです。

次に、トランジスタのベース信号を拾ってみます。(Arduinoオシロです。)

Q1・Q2同時に計測してますが、どちらも50ms間隔で、非常に短いパルスが出ています。正常と思われます。(←パルスは非常に短そうです。これだと、カメラで確認が厳しいかも。)

ちょうど日本おもちゃ病院協会の掲示板に話題が上がってて、「錆が原因で表面実装抵抗8Ωが正しい抵抗値で無い事が有ります。抵抗値を測定願います。」という書き込みがありました。だいぶ傷んでますが、「8R2」のマーキングの抵抗が2つ付いてる。多分8.2Ω、これの事と思います。
計ってみると、片方が14Ω、もう1個が25Ωぐらいと怪しいので、取り替える事にしました。

(ちなみに、下に映ってるのが、定規の1mmのメモリですw)
右の2つが外した抵抗。Aliでちょうど同じサイズ(インチで0603、ミリ表記なら1608)の抵抗買ってましたが、8.2Ωはないので、10Ωと47Ωを2階建て並列接続で、ほぼちょうど8.2Ωとしました。
(買ったSMDの抵抗、変わった表記です。「01X」の方が10Ωです。もう片方の「470」は、470Ωかと思いきや、「47×10の0乗」で47Ωでしょうか?怪しいので計ってみましたが、確かに47Ωでしたw。)

これでもまだ改善しない、LED点灯も確認できない…。
えーい、トランジスタも替えてしまえー!

下が取り外したトランジスタ。基板上でテスタで、B-C、B-Eの導通を確認した結果では大丈夫そうな気がするのですが、懸念箇所を1個でも消すべく、取り替えます!
マーキングは「1AM」。見た記憶があります、Aliで10種セットで買った中のNPN-Tr「MMBT3904」が1AMのマーキングです。
写真上の2つがそれ。元ついてた奴は、小さいRの添え字があってピッタリ一致しませんが、とりあえず「1AM」を信じて取り替えました。

トランジスタ外した状態の基板。(ICに書き加えたPIN番号は、のちほど使います。)

トランジスタ外せば回路が確認できるかと思ったのですが、液漏れでレジストが変色してる感じで、部品外しても回路の確認が困難…。しかたなく、取り替えるだけにします。
さてこれで操作確認…まだ改善せず…。

こうなったらヤケw。手持ちの940nm、φ5mmの赤外LEDで別途照らして、読めるかどうかやってみよう!……
読めるじゃないかっ!だったら絶対に直せるはず!がんばんべ~!
(50ms間隔で一瞬しか点灯させないのは、多分省電力だけのためではないかと思います。)

で、点灯確認ができないので、LED外してみたり、手持ちのφ5mmを無理やりつけてみたりとなんだかんだ。
しかし結局、点灯時間が短すぎて、iphoneのカメラで確認しづらい。久々にデジカメで見てみたら、こっちの方がいい。散々いろいろやったあと、キャップ外した状態でセンサー取り付けて点灯確認したら、やっと2つとも点灯(点滅)が確認できました。
それでも、絵の認識はしたりしなかったり。キャップ外して角度調整してみたり…。何度かごそごそチャレンジしてたら、やっと確実動作になりました~。

という事で、最終的には、ちゃんと動くようになりました。
どれが効いたか定かではないのですが、結局やっぱり、ピンソケットの接触が一番怪しかったような気がします…w。ピン側がだいぶ腐食してたので、見えないソケット側も状態が悪いと思われます…。(取り替えたかったのですが、2.54mmよりも狭いピンで、手持ちがありませんでした…。)

さて、修理は終わりですが、いろいろ調べたので、ちょこっと補足しておきます。
参考にさせて頂いた、はしもとおもちゃ病院「ドクターNの診療室」の「アンパンマンおしゃべり動物ずかん」の修理記事によると、画像処理素子はSONIX社製で、48PINの「SN9P701FG-303」で、ネットでデータシートが見れるとのこと。
しかし、今回やったヤツは「SN9P700ANG」と書いてあり32PIN。ネット上で探しても、ピッタリなデータシートが見つかりませんが、48PINのSN9P701Fとかなり近いかもしれません。

LEDコントロールの信号は、28と31から出ているようです。
SN9P701Fのデータシートによると、44と47がそれに相当します。

間の45と46は「IREDのVoltage Feedback」と書いてあります。オシロで測ると、LEDコントロールよりもレベルが低い50ms間隔のパルスが確認できます。
結局回路確認できなかったのですが、8.2Ωの両端電圧差あたりを戻してるような気がし、28~31と44~47が一致している感じです。

SN9P701Fのデータシートによると、このICは「OPTICAL ID IMAGE Decoder」で、「Support dot pattern format : OID_Code_v2 」との事。
拡大鏡で見ると、肉眼は判別できない「ドットパターン」が描かれてるのは知ってましたが、もうちょっとよく見てみます。
OID_Codeは、英語版のwikiには記事がありましたが、現物のパターンを見てみると、同じかどうかは分かりませんでした。

現物のパターンこんな感じです。

「くるま」のゾーンと、隣の「ビル」のゾーンの間に、写真ではちょっと分かりにくいですが、何か違うパターンのゾーンがあります。
拡大鏡でみると、こんな感じ。

「く」の左側に、2ブロックほど「くるまゾーン」のパターンで、その左からは違うパターン。
この「ちょっと違うパターンの箇所」は、ペンを当てても無反応のようです。

色が付いてるところは、なんか色のドットも打ってあって見にくいので、色のないところでドットを見てみます。
くるまの下の「スーパーマーケット」のゾーンです。

その下の「としょかん」のゾーン。

う~ん、ドットが違うのは分かるんだけど、よくこれが読めるもんだww。

さて、すっきりしない面もありますが、とりあえず完治して良かった~。
眠れぬ夜の心配事が1個消化されました~ww。
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10/5 象印コーヒーメーカーEC-TC40修理

2019-10-06 | 家電
(※宇部おもちゃ病院では、おもちゃ以外:家電等の修理は、基本的には受け付けておりません。)
会社で使ってるコーヒーメーカーが動かなくなりました…。
象印の「EC-TC40」という型番のコーヒーメーカーです。(ポットは外してます。)

会社で使ってますが、部署で毎月コーヒー代を集めて、そのお金から買ったものなので、一応「共用私物」になりますw。
前のも壊れて、すぐ同じの買ってきて、これは使い始めて2年。
平日毎日9時間ぐらいつけっぱなしで、20杯分ぐらいコーヒー入れるので、個人で使うよりはるかに負荷が高い。
毎日使うので、維持を引き受けてくれてる人が、壊れて即その日の夕方に新しいの買って、次の日からは新しいのを使ってるんだけど、修理をなりわいに(←してない!)してるのに「壊れたら新しいのを買えばいい」では情けないw。
ヒーター断線すると厳しそうだけど、それ以外なら治せるはず、と、持って帰りました。

まず底板外しますが、星型ネジ「トルクス」で、しかも真ん中に通称「いじり止め」と呼ばれる突起のあるヤツ。ただのトルクスならマイナスドライバーでがんばればいけますが、突起の出たやつはタチが悪い。

しかし、以前にAliで1,150円ぐらいで買ったドライバーセットで楽勝w。(左下に見えてる緑色のケースのヤツ。)

底板外すと、中は超かんたんなつくり。

制御基板もなんもなしですw。
導通確認すると、コンセントはOK。中央に押さえ金具でつけてある部品、多分サーモスタットと思われます。機能と回路から「常時閉-温度上昇時開」のはずですが、導通がありません。
押さえも外すとこんな部品。

バイメタルと思われます。これを正常にすれば直るはずです。
密林で「温度制御スイッチ」で検索すると、最安170円程度。Aliなら100円程度。しかし、側面になにか数字は書いてあるものの、動作温度が分からない。
湯沸かしと保温は、ヒーターもサーモも共通。115℃ぐらいでいい気もするし、130℃ぐらいないと足りない気もするし…。

ネット調べると、分解できるタイプのヤツで、分解してカーボンを除去したという記事あり。また、「コツコツ叩いたら良くなった」という記事もあり。
まあそうだよね、100V6Aぐらいを「ブチッ」と入/切するんで、接点負荷はだいぶ高いよね。
という事で、分解できる構造になってないんだけど、どうせダメ元なので、分解する。

アルミのキャップがしっかりカシメてあって、だいぶ苦労した。精密のマイナスドライバ突っ込んでもビクともしないので、端の方全周を1mm程度ヤスリで落としたら、なんとかマイナスドライバが突っ込めた。

案の定、接点が真っ黒。(「カーボン」と書いてる人がいるけど、金属の酸化物と思う…。)
キャップの方にバイメタルが入ってると思われる。バイメタルが直接接点になってると思ったのだけど、キャップから棒が出てる。バイメタルが温度で変形すると、この棒がニョキっと出てきて、接点を押して開放する作りになってる様子。
(蓋の縁に引っかかって外れにくかったので、バイメタルは確認してない。)

接点はカシメてあって、これ以上分解は厳しかったので、接点復活剤吹いてティッシュで吸い取ってペーパーで磨いて、を何度か繰り返して、ほぼ抵抗ゼロまでなんとか復旧。
汚れてたとこをきれいにして組み戻したら、ちゃんと動作しました~。

さて、持って帰ってバラしたついでに、あちこちきれいにしておきます。
上部のお湯が出るところがめっちゃ汚れてますww。石灰質の析出と思われます。

外して、ブラシで軽く磨いてみたものの、全然きれいにならない…。で、放置して出かけてる間に、ウチの奥さんが勝手にクエン酸につけてくれました。
しかし実は…、事前にネットで取説確認したところ、本体は3ヶ月に一度ぐらいでクエン酸洗浄をお勧めしてあるけど、問題の部品は「浄水フィルター」で活性炭が入ってるので、クエン酸洗浄時は外してね、って書いてあるのよね…w。
まあ、クエン酸で活性炭がやられるとも思えないし、「浄水フィルターは、1日1回の使用で2年程度が寿命、取り替えてね(別売り有料)」と書いてあるので、まあいいや、どうせもう大して仕事してないだろう。めっちゃきれいになったし。
ついでに、本体タンク~配管のクエン酸洗浄をしておきました。
これで再び、しばらくは使えるかな~
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