koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

1/9 宇部定期開院

2021-01-11 | おもちゃ
大雪の中、宇部おもちゃ病院定期開院でした。
いや~大雪でした。全国的にも記録更新の所があったようですが、宇部も30年に一度クラスの積雪でした。(まだ宇部に住んで30年は経ってませんけどw。)
自宅から会場まで3km程度、半分は自転車乗って、半分は押して行きました。

さすがにドクターもお客も少ないw。ドクターは4人、来院は1件でした。
その1件は、「超絶自動変形 大鉄人ワンセブン」です。

来た瞬間「oh!ワンセブン、懐かし~~~」と叫んでしまいました。小学校の頃見てた特撮ロボット物です。
番組としては約40年前のはずですが、依頼者さん曰く「おもちゃは20年前の物です」との事。箱を確認すると、確かに1999年製のようでした。

背中のスイッチを押すと腕を収納してしゃがんだ形態に変形する、もう一度背中のスイッチを押すと再び立ち上がって元に戻る、という動きらしいですが、腕が収納されない&立ち上がれない、といった状況の様です。複雑そうですが分解していきます。

ギアボックス分解の状況。

複雑な動きですが、1モータです。モータはギアードモータでした。電気的なリミットスイッチは2カ所に付いてます。基板にはCOBが乗ってますが、あまり複雑な制御はしておらず、シーケンスの切り替えは機械的と思われます。

立ち状態からしゃがみ状態への動きとしては、
①頭が下がる②腕が回転する③しゃがむ の3シーケンスです。
分解して概ね仕組みが分かりました。
蓋を外してる赤いケーシングの中、水色の円盤が見えてる部分、この中にギアードモータ出力軸のピニオンに噛む小径ギアがついていて、それが回転して、回りの3つの小径ギアのどれかと噛み合って、①②③のどれを駆動するかが変わります。
①動作の限界まで行くと、トルク増加でギアが次の位置に変わって②の動作になる、
②動作の限界まで行くと、またトルク増加でギアが次の位置に変わって③の動作になる、
③の動作はトルクオーバーでも止まらずに、リミットで検知して停止させる、
という構造です。

逆に立ち上がるときも、③→②→①まで行って、頭が上がったことを検知するリミットを蹴って終了となります。
箱に説明が書いてありました。

ふむふむ、推定通りと思われます。(普通、箱に機構の説明なんてしないのに、よっぽど自慢の構造だったんでしょう。こんな事書いたって普通の人には理解できないのにw。)

まず、上の分解写真の一番右、腕を回転させるための10Tピニオンが割れて、ピッチが開いてました。軸はローレット加工されてるので滑りはしませんでしたが、おそらく引っ掛かる程度にピッチが開いてたので、これは時間内に取り替えました。
これで腕は動くようになったっぽいのですが、立ち上がりの動きがいまいちで、手でアシストしてやらないと動かない…。そうこうしてるうちに、しゃがんだ状態から全く動かなくなってしまい、入院となりました。

家に持って帰って次の日、リミットを超えて動かしたせいで、過負荷でヒューズが切れたりしたかなぁ…と思いつつ再度分解しましたが、しゃがみ位置のリミットを蹴った状態で、そのまま立ち上がり切れずにギアが切り替わって頭上昇まで進んで、頭上昇位置のリミットも蹴ってしまうと、通常では起こりえない「上と下のリミットを両方蹴った状態」になってしまって動かなくなるんですね。どこも壊れてなくて良かったw。
外部電源でモータ直接動かして解除しました。

さて「立ち上がれない」問題ですが、ギアボックスの足の付け根を駆動する一連のギアの中で、左列の上から3番目のギアにちょっと亀裂があります。口は開いてない様ですが抵抗になってるかも…。

しかし、上の写真まで分解してひらめいた!
「過負荷」でどのようにギアが切り替わるのか? 回転するギアの方(水色の円盤部)に3カ所窪みがあります。赤い蓋には水色のポッチがついてます。この水色のポッチをバネで押して回転ギア部に押し付ける構造になってます。負荷が上がって、バネで窪みにストッパーを押し付けてる力を超えたら、ギアが次の位置に切り替わるんですね。
つまり、この「ポッチ」を押し付ける力を上げれば、切り替わる際のトルク閾値を上げることができるはずです。

この押さえのバネを少し引き延ばして再組立てしたら、思惑通り、ちゃんと立ち上がることが出来ました!
(これでダメなら、まず割れてるギアの取替と、足を分解して各部のグリスアップぐらいかぁ…と思ってました。)
腕を一回分解してギアの位置が変わっちゃってたので、再度分解して位置調整して、全体を組み戻して終了しました。
(ギアボックス分解の為には、一旦足を外す必要があるのですが、下部:底板や足を固定するあたりのプラスチックがすっかり劣化して、ポロポロ折れてしまいました。底板固定のネジが全てダメでしたが、まあ底板はドライバーでちょっとコネないと外れないぐらいなので、とりあえずネジ無しでご勘弁頂きたいと思います。)
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