koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

12/26 リユース出張開院

2021-01-10 | おもちゃ
1月になってカルテの確認・取り忘れ写真の撮影が終わって、やっとブログが書けます。
日にちが前後してますが、12/26に多世代ふれあいセンターであったリユースでの出張開院の報告です。

前回(11/14)程は多くありませんでした。ドクターが5人も来て、16件の受付でした。
電池消耗のみの3件は除いて6件を担当しました。
1件目、ドミノの車…との事です。(背中にドミノを乗せて走るらしいです。)

機能は分かりませんが、内部にマイクロスイッチが見えます。接着止めされていて、側面のネジを解いても分解できませんでした。下を無理やり広げて一部を外してなんとか補修。

マイクロSWの部分で断線してました。
接続が謎でしたが、メインのスライドSWとパラにマイクロSWが入れてあり、メインのスライドSWを切っても、中のレバーみたいな機構が端っこに行くまではモータが回り続ける構造でした。
指で広げながら何とかハンダ付けして、なんとか動くようになりました。

2件目、アンテナの折れたラジコンのコントローラ。

付け根の所で被覆が折れてます。被せて補強するのが楽そうな気がするのですが、依頼者さんが何故か「切り縮めて」という要望だったので、切り縮めてみます。

外して折れたところまでの被覆を剥いだ状態。アンテナの中はコイル状なので、このまま押し込めないかと思ったのですが、全く押し込めず。接着止めもしてあって金具がなかなか外れませんでしたが、なんとか外して切り縮めて、再度がんばって金具を突っ込んで、なんとか形になりました。

ここから入院で対応、3件目、アンパンマンのノートパソコン。

これは、時間内に他のドクターが対応していたものを預かった物。ごそごそしてる間に1回は起動してたようですが、「電源ON」のボタンが効かないとの事。時間内の確認で、電源SWのラインを直接短絡しても起動しない…。マトリックスシート以外にも不具合があるのでしょうか…。

電源SWラインのキーボード側には何もなくて、液晶側に直接行ってるようだったので、液晶側を(苦労して)分解してみたのですが、無駄でしたw。
液晶側に入ってるメイン基板に電池電圧が来てない。キーボード側に付いている抵抗型ヒューズが切れてました。(いつ切れたかは分かりません。ぼくが電源SWラインの直接短絡した際かもしれないし、それより前だったのかも…。)
ヒューズ短絡したら、すぐ起動しました。最初に電池を入れた時(or画面側にあるリセットボタンを押した時)は、電源SWを押さなくとも起動する様です。

ヒューズを復旧したら、電源SWラインの直接短絡で起動しました。不具合はマトリックスシートに確定。電源SWラインの2本のうちの片方が、すっかり変色して断線状態でした。

「パターン上に針金波縫い」で、基板との接続部は銅箔テープ貼り付けで復旧。これでちゃんと直りました。
(会場で分解時にキーをバラバラにされてしまったので、動作を確認して全部元通りに並べました。)

4件目、赤い汽車のおもちゃ。

これも屋根や煙突周りが接着止めで分解困難…。下を無理やり広げて、なんとか中身を引っ張り出して補修しました。

モータ線が切れてました。ギアも一応確認。

油っ気がなかったので、しっかりシリコングリスを足しておきました。

電池BOXのフタの部分が壊れてたので、ここも直しておきますが、苦労しました…。

なんという事でしょうw、木ネジが突っ込んであります。ナット側をペンチで押さえてなんとか外そうとしたのですが外れず、プラ側を破壊して取り外し。フタの側も割られてたので、プラリペアで塞いで、本体側も代りのナットを埋め込んでプラリペアで補修。これできれいに直せました。

5件目、トーマス。

どんなおもちゃか分かりませんが、とりあえず全く動かないので分解。

爪ではまってて、なかなか分解困難でした。後部(写真左側)の電源ONのスイッチは、鉄片リミットSWです。前方(写真右側)にも、常時ONの鉄片リミットが付いてます。前方のSWは、先端が障害物にぶつかると切れる作りで、このSWの導通不良でした。細かいペーパーで磨いて直しました。

6件目、これもトーマスですが…、どんなおもちゃか分かりません…。

水を入れて蒸気が出る様な作りと思われます。スイッチの所に何やら、手押しのマークとコントローラの様なマークがついてます。

(電池フタがなくなってました。写真はフタ作って取り付けた状態です。)
分解すると、中に赤外受光モジュールが付いてました。「じょうきがでるぞ!RCサウンドトーマス」というおもちゃでした。

全く動かないので分解していきます。

結構複雑な作りです。とりまえずまずSWを疑い。2回路3ポジションの複雑なスイッチでした。

接点で挟んで導通を取るタイプでしたが、接触面が若干変色してたので、ペーパーで磨き。仕戻しして電源SW入れるも、無反応…。しかし、ごそごそしてると時々「ポー」と汽笛の音がします。COB自体は動いてる様です。

SWを左にすると手押しで遊べるはずなのですが、ギアが噛んでて手押しできない。ギアボックス分解して確認します。

プラレールのギアボックスの様に、SW入れると軸が押されてギアが噛む、SW入れてないとギアが外れてフリーになる、という構造ですが、SW切りの状態でも写真の上の矢印の所で微妙にギアが噛んでしまってる様です。
位置調整して何度も組んでは動作確認するも、どうにもちゃんと外れてくれず…。結局、写真の左側の所にスペーサ入れての位置調整で、やっと外れてくれるようになりました。

車体の下に、車輪が回転すると定期的に蹴られるリミットがあって、ある程度のパルスでサウンドが起動する仕組みでした。ギアの修正で「手押しするとサウンドが鳴る」までは復活しました。
依頼者さんに確認しましたが、貰い物でリモコンは無いとの事。あとはリモコンをどうするか…。

回路の健全性を確認します。

部品面側はトランジスタが6個並んでます。ドライブが2SC1815で、ハイサイド側:S8550、ローサイド側S8050の6-Trフルブリッジモータドライブ回路です。

パターン面・表面実装面は、結構複雑です…。

とりあえず、2SC1815のベースに500Ω経由で電圧掛けると、正転も逆転もちゃんと回り、ブリッジ回路は生きています。ネットで調べると、以前にもリモコンであった、正転で前進、逆転で「その場ターン」というギアの作りになってます。(リモコンにはあと「蒸気を出す」のボタンがあるようです。)

以前に見た赤外リモコンで「前進/その場ターン/放水」の消防車の送信機はTX2だったので、赤外受光ユニットの信号ラインに、GR-SAKURAでちょいちょいっとTX2/RX2プロトコル信号を作って注入(念のため正論理/負論理両方)してみたのですが、残念動かず…。

せっかく生きてるモータドライブ回路やギアBOXの正逆機構を生かすため、検討の結果、リモコン側にスイッチを入れると、ブリッジに制御電圧を入れて強制的に走らせる、オルタネートのSW付けて、正転と逆転を切り替える、という計画にしました。

車体の屋根の中、スピーカの真上に付いてる赤外受光モジュール基板を外して、そこにオルタネートSWを設置。

裸のSWだけでは押しにくいので、道具箱の中あさくって、端材から押し釦を作りました。これで、屋根に穴をあけて押せる構造に。

高さ調整になかなか苦労しました。ボディを仮はめして確認するとうまくいくのに、ネジを全部締めるとオルタネートが切り替わらくなる。屋根に押されて切り替わりのストロークが確保できなくなるみたいで、取り付け側を何度か削って高さ調整が必要でした。なんとか、簡単に方向転換できる状態に漕ぎつけましたw。

これで返却しようと思ったのですが、「今日の午後、センターに持って行こう」という日の午前中に、蒸気が出ないのが気になってきました。(事前の確認で、タンクに水を入れても蒸気が出てくれないのは確認していた。)
単純な断線程度ならもったいないので、蒸気発生部の確認をしておきます。

基板の蒸気発生部への配線取付部には「PZ1/PZ2」と書いてある。これは…ピエゾ=圧電素子による、超音波蒸気発生器ですね。
分解してみると、棒にぐにゅっと押しつけられた状態で振動板がセットしてある。

振動板部分も分解。

やはり圧電センサとよく似た材質で、表・裏とも塗料状の圧電材料が塗ってあり、それにハンダ付けがされてます。とりあえずハンダが外れたりはしてませんでした。

圧電素子への印可電圧を確認。

130kHz程度で、15~20Vぐらいが印可されるようです。
ピークレベルにちょっと変化が見られますが、理由は不明…。回路の確認はしてませんが、一応ちゃんと発振電圧が印可されてるようなので、回路的にはOKと思われる。あとは圧電素子の性能劣化でしょうか…。
圧電素子の劣化だと厳しいので、蒸気発生はあきらめて返却とします。とりあえず「貰ってから動いてるところを一回も見た事ない」という状態からは、随分とよくなった、という事にしますw。
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