大阪、中之島。
川と川に挟まれた中洲で、大阪市の中心にあり、
文化施設や公的機関、大手企業やホテルが林立する、
大阪市に於ける行政・ビジネスの中枢地区である。
それだけに政界人や外国からの賓客、大金持ちや芸能人のようなVIPを見かけ、
それら社会の上層に行き交う情報を拾うマスコミや諜報員なども暗躍する場所で・・・
俺はこの地区の一角にあるホテルのロビーで、ある人物を待っていた。
先にチェックインしたその人物宛てに、「サクラガサイタ」のメッセージを
フロント・レディに預け、約束の時間を待った。
そろそろ、フロントからの暗号メッセージを聞きつけて下りてくるはずだが・・・。
── エレベーターが開く。
・・・きた！ あの男がターゲットだ。
これから何が起こるかも想像だにしていない平和ぼけした顔の男。
そいつに向けて俺は歩み寄り、そして目の前に立った時・・・
「ど～～～も～～～！！はじめましてっ、闇の都"ミッドガルド"さん！
僕です～、生命の樹"ユグドラシル"ですっ！！
今日はこの度の北欧神話オフ会に招いて頂いて
ありがとうございます～～っ！！！」
── 声高らかに言い放ってやった。
声量には自信があるので全力を尽くしてやった。
俺がいきなり大声を張り出したのとは裏腹に、
人もまばらで物静かなロビーの空気が、
一層の冷たい静寂に包まれた気がした。
当然、ロビーにいる背広姿のビジネスマン風の人たちや、
フロントの係員たちの視線は一斉に俺たちに向けられる。
クククッ、これでこのターゲットの男は、次にこのホテルに帰ってきた時、そしてルームサービスを頼むとき、チェックアウトするときにも、
なにやら北欧神話系のオフ会の為にやってきた痛いハンドルネームで呼び合う集団の一人という冷たい視線を従業員たちから浴びせかけられることになるのだ。
まずは先制奇襲攻撃により精神的ダメージを与えることに成功したといったところか。
彼の名前はpesくん、共に活動している長年のクラン員である。
彼とは今年で付き合いが7年目になるが、会うのはこれが初めてである。
石川県から大阪に、友人の結婚式ということで来ることになり、
そのついでにオフ会しよーぜという流れに。
身内の間ではアフロ系男子として有名であり、そのファンキーな髪型から、
地元でもスチールウール、ウィンドジャマー、石川のパパイヤ、侍魂 など、数々の異名で有名である。
ちなみに今の彼は丸くなったのか、（アフロのほうが丸いけど）
既にアフロではなくなっている。
そんな彼だから昔話をするときは
「俺がアフロにする前の話なんだけど～」
「あ、これはアフロ後のことなんだけどね」
と、アフロ前とアフロ後という独特の時代区分を持っていたりもする。
それの前か後かが重要な時代区分となっている点では、戦艦でいうとドレッドノートみたいなものだと思えば受け入れやすい。
なんせ7年、付き合いは長い。
彼の大学生時代から社会人デビューと転職、結婚を経ての出産までも、
ネット上の付き合いとはいえ、それら全てを見てきたのだ。
やはりそれだけ付き合いが長かったことを思うと、感慨深いものがある。
そんな彼が友人の結婚式で大阪に来ることになったのはなんの因果か。
彼が結婚式を挙げたときは、本当かよ！と思うと同時に、先を越されたという思いと、
これからはあまり一緒にゲームできなくなるな・・・という寂しい気持ちもあったのは本当のところだが、
しかし、心から祝福の気持ちが沸いたこともまた事実なのだ。
なので彼の結婚式は・・・こう書くのは恥ずかしいが、正直泣いたね。
だって、あれだけ出席する意思を何度も伝えたのに、頑なに招待してくれなかったもの。
まあそれも、ネット上の付き合いの人は誘わない、という方針ならまだ理解もできたが、
うちのクラン員が出席してたと知ったときはもう・・・号泣したね、色んな意味で。
俺のほうが付き合い長いのに。
まあそれももう、昔の話だ。
結婚式に絶対に呼びたくないという態度はとられたが、（絶対に頑張って盛り上げてやったのに・・・）
元々彼はこのブログを通じて連絡をくれたファンであり、「ゆっきぃブログ信者」を自称してくれているほどである。
物書きとしてこれほど嬉しいことはない。
今は彼も就職して結婚し子を持ち、落ち着きもある立派な大人の男だが、
なんせ当時は
このようなファンレター的文章をくれるほど、
これは大切な絆なのだ。
いや～、もう一度「ゆっきょんたん(´・ω・｀)」とか呼ばれてみたいなあ。
「～～なんだおｗ」とか久々に聞きたいなあ。
（これは彼との付き合いの長さを表現しているだけで、結婚式の復讐で痛い時代を晒しているわけでは、ないおｗ）
おっと、彼についての紹介が長くなりすぎた。
今回のオフ会はpesくんだけではなく、クラン員のtotoさんもきたのだけど、
totoさんとは一緒にサバイバルゲームをやったりとかで何度か会ったことがある。
オフ会についての詳細は次回書くことにするおｗ
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