こんばんは、ゆっきぃです。
今日Twitterで、更新すべき軍事ネタが見つからない旨をつぶやくと、
フォロワーさんから興味深いテーマを頂いたので、それについて書いてみようと思います。
まず戦争という事象は非常に広範に渡り甚大な影響を及ぼすので、
一個人だけでは予測もつかない分野もあるでしょうが、
他国や戦史上の例として、そして一般論として、
表面的に予測できる範囲で考察してみようかと思います。
戦争が起こると市民生活はどうなるか。
これは戦争の場所・規模・形態に依る。
例えば一番実現しそうな線として、自衛隊の海外派遣の延長から、
国連軍のような、アメリカの一同盟国として遠いどこかの戦争に参加する場合。
これから有り得そうな、イラン制裁や空爆といった米軍の活動に自衛隊が積極参加した場合である。
これは遠い他国に武力行使をしているので、言うまでもなく立派に戦争行為である。
しかしこの先進国として最も有り触れたケースの場合、市民生活レベルでいうと、
日本人は戦争している実感を得ないだろう。
ニュースや新聞や街角で騒がれはするだろうが、イランやそれらの遠い国が日本に攻撃しようもないので、
疎開したり避難したり灯火管制したりといった、市民生活レベルで何かが変わるということはない。
せいぜい、戦争相手によっては多少の輸入不安が起こり、石油やその他原価が上がったりとか、
もしくは政府が財源確保で贅沢品やその他の税率を上げる可能性などはあるが、
その程度の影響にとどまるだろうと思う。
今年のリビア制裁に乗り出したアメリカやその他諸国の国民と同じである。
テレビを全く見なく他人と関わりも持たず都市部に行かない人などは、
戦争が起こっていることすら知らずに暮らすだろう。
次に第二次世界大戦のような、近隣の国家総力戦に日本が巻き込まれた場合。
例えば中国との戦争に突入したケース。
それも南方の島でやるような小競り合いなどではなく、文字通りの総力戦の場合である。
戦争の趨勢、そして核兵器の使用状況、米軍や他国軍の介入状況にも大きく依るが、
情勢如何に依らず、中国と日本の戦争なら、
現代戦として最大クラスの兵力規模・質のぶつかり合いとなる。
中国からは通常弾頭であったとしても巡航ミサイルが何百発と飛来するだろうし、
第二次世界大戦のような戦略爆撃的効果を狙って、そのミサイル攻撃は工場や軍事基地のみならず、
都市部やもしくは鉄道やダムなどインフラ設備に着弾する可能性がある。
また実際に航空優勢が掌握できるかに関わらず、
中国と日本なら爆撃機による大規模爆撃も十分に視野に入る距離となるし、
中国海軍空母の活動状況によっては実際に爆撃機が要衝やもしかしたら都市部に飛来する。
このような一般市民レベルで総力戦の戦火に巻き込まれる可能性がある場合。
島国の事例としては第二次世界大戦の日本とイギリス、
現代の国家総力戦の事例としては中東戦争のイスラエル、
イラン・イラク戦争でのイラン・イラク両国のケースが挙げられる。
そこから考えた場合、まずは都市部から地方へ集団疎開が実施される。
そして灯火管制が敷かれ、爆撃機の視標とならないように努力される。
学校の講堂や市民ホールなどが避難所として機能し、集団的な避難生活が始まる。
都市部にある地下鉄、特に東京・大阪・名古屋・福岡・札幌などに存在する巨大地下街などは、
対爆撃用・核戦争用のシェルター・防空壕として機能し、ここでも避難民の集団生活が営まれるだろう。
今回の震災でもあったように、水や食料、その他生活必需品の買い占めが起こり、これらの物価が急騰する。
また中国海軍による海上封鎖も実施され、趨勢によっては米海軍や海自の活動によって海上封鎖が絶対的な効果を挙げないとしても、
船舶が攻撃に晒される可能性が高い戦地なのは変りないので輸入不安は必ず生じる。
今回の震災が比較にならぬほどの未曽有の品不足が全国的に発生し、
ガソリンなどは軍用に徴用され、インフラの低下もしくは部分的な停止は避けられない。
発電所などは最優先攻撃目標となる。
実際にこれらへの攻撃が成功した場合、今回の震災以上の電力不足となる。
灯火管制も合わさり、1日を通して電力使用が制限される。
テロ懸念から、もしくは実際にミサイルなどでの攻撃を受け、新幹線や鉄道の主要路線なども停止する可能性がある。
幹線道路も攻撃を受けるか、もしくは避難民の大渋滞、またはそれを避ける為に主要道路は軍用として確保され、あらゆる道路が機能不全に陥る。
これらの影響を甚大に受け、通常業務を一切停止する企業なども多く出てきて、大勢が休職もしくは失業者となる。
第二次世界大戦時での赤紙のような、徴兵制は恐らく施行されない。
現代戦はハイテク戦争であり、素人を数だけ集めても無駄が多く、特に日本の場合は島国という地勢上、
陸戦よりは海上戦や空中戦が戦争の大部分を占めることから、その傾向がことさら顕著となる為である。
イスラエルやイラン、韓国などの陸戦が主体となる国は現代でも徴兵制がある程度有効と判断され施行されているが、
日本では当てはまらないのである。
しかし歩兵などの徴兵はないにしろ、一部企業は軍事活動への協力が求められる可能性が高い。
例えば海運を握っている重工企業は船での輸送を求められるし、航空会社も同様、
もっと身近な企業で言えばセブンイレブンや佐川急便など、
全国的に展開しているコンビニや配送業者のトラックは兵站業務に従事することを求められる。
また弾薬や兵器生産の関係から、工場などの求人が多くなる。
もちろんこれらの混乱に乗じ、強盗や略奪、殺人などが横行し、
闇市場なども形成され、治安が劇的に悪化することも無視できないし、
今回の震災でみられた以上の自殺増加率の急上昇も起こり得るだろうと考えられる。
暴動などもあるかもしれない。
といった感じかな。
日本が総力戦に巻き込まれた場合、大きくは
集団避難・物資不足・エネルギー不足・インフラ停止・失業・徴用・治安低下
などが一般市民レベルで深く関わってくるだろうとまとめることができる。
これらは戦争の趨勢によってその度合いは大きく変わってくるが、避けられないものである。
国土の一部が占領されたり、もしくは空爆により一部都市が焦土となった場合、
または核攻撃が行われた場合はもっと深刻なレベルでこれら全てが発生し、
戦後復興もそれだけ遅れることとなり、戦争に勝ったとしても負けるとしても大きな傷跡を残す。
と、ざっと大きく想定されるのはこんなところではないでしょうか。
もっといろいろな部分で作用し合い、また考えも得ない事態が発生することもあると思うけど。
まあ国家基盤そのものが破壊される、戦争は怖いってことです。
こういうブログテーマの提供は面白いし助かる。
他にも軍事ネタについて書いてみて欲しい質問者さんなどいたら、
どしどしネタ提供、お待ちしています。