Thorens社はオーディオ以外でもハーモニカやオルゴール、ライターや髭剃りまで製造していたスイスの老舗メーカーで(途中で生産拠点を西ドイツに移している)特に有名な製品は1957年発表の「Thorens TD124」で10年という長きにわたって製造されていた。長期間なので途中の細かな仕様変更がありシリアルNo,50000台にはMKⅡとなった。
TD124 MKⅡへの移行はそれまでのモノラルLPや78SPレコード主体からステレオ再生に対応するためとされる。 またターンテーブルの材質が非磁性体になって強力な磁石のDECCAカートリッジも問題なく使用できるようになった。
「Thorens TD135」は「Thorens TD124」の廉価版という位置付けで1961年に発表された。それ以前にも1959年発表のTD134やTD184といった廉価バージョンがあるがこれらは主にThorens社が発売していたいわゆる「電蓄」として使われたようでオークションなどでもよく見かける。TD134やTD184は廉価版といってもTD124の2/3くらいの価格だったので結構高価な電蓄だったと思う。余談だがこの電蓄はebayで見ることがあるがなぜかほとんどがフランスから出品されていて当時のフランスは小型高級オーディオがトレンドだったのかもしれない。
TD135はコンパクトなデッキ上にターンテーブルやアームなどを配したものでデッキ部のサイズはTD134らと同じでアームリフターのコントロールレバーが加わっている。ターンテーブルの直径は30cmだが重量はTD124のほぼ半分の2.8kg(TD134らは1kg)。しかしここでまた不明な点があり30cmのターンテーブル以外でもTD134らと共通の25cmのターンテーブルも見ることがある。2つのバージョンがあったのか単に入れ替えただけなのかはわからないが両者ともに装着することは可能。デッキは鉄のプレスでダイキャストのTD124とはかなり異なる。金型は多分TD134とTD135は共通だと思われる。TD124とTD134の中間に後発として加わったわけで共通部品を多用することで開発コストを抑えた巧みな戦略かと思う。
「Thorens TD124 MKⅡ」の登場は1962年で「TD135 MKⅡ」もその頃と思われる。もともと非磁性体のターンテーブルを搭載していたので主な変更点は「TD124MKⅡ」を彷彿させる意匠と組み合わせたトーンアームだがその他細かい改良点があるのかもしれない。
1962年はTD224とTD121も発表されThorens社のまさに最盛期。TD121はTD124のデッキにTD135のターンテーブルを組み合わせた331/3専用機で回転数切り替えのほかストロボも水準器もついていなかった廉価版で先日初めて知人宅で拝見した。傑作オートチェンジャーTD224のデッキは別設計されたキャスト製でとてもお金がかかっていて当時の同社の高い技術力と隆盛を物語る。
「Thorens TD124
25cmのターンテーブルのデチューン版「Thorens TD135 MKⅡ」も存在したが当時の映像を見ると25cmターンテーブル搭載のTD135はポータブル電蓄のプレーヤー部だったようだ。単品版との違いは気づいたところでは、ネームプレートが無いものがある、内蔵アンプ用の放熱穴が開けられているのもある(ただしネームプレートで塞がれているので紆余曲折があったらしい)、電圧切り替えプレートが異なる(100V〜120V 200V〜250Vの2種類対応版、モーターの外観は共通だが巻線が異なっているのか単に配線されていないだけなのかは不明)。パーツの組み合わせでいかようにもなるにもかかわらずTD134とTD184にはMKⅡはなかったと思います。時代はローコンプライアンスカートリッジに向かっていて電蓄のショートアーム「BL-104」ではカバーしきれないと判断したか。
Thorens TD135 MKⅡ
なぜかTP-14アームがガタガタしている。。
早速分解してみると
表面にはボールが入っておらず(!)裏面も足りない、、さすがに驚いた。わずかに残っていたボールを測定して
インチ換算すると1/8、早速注文した。(これは間違いで実際は7/64inchで注文しなおした。40個が無駄になってしまった。)ヘッドシェルも欠品なので別入手した。モーターを含めて分解整備すると特に変わった所はないが各パーツがキラキラしていて軽い気がするし打ち抜いたままのような断面の荒さも感じる。軸受ははめ込みで簡素化されている。
このタイプのアームの経年変化として100%現れるお尻下がり。ウエイト軸とアーム軸との接合部にはゴムが使われているため劣化とともにくの字型に曲がってしまう。
交換用のゴムが入手できればいいが(ご存知の方がおられたら是非教えてください)。適当な代替部品がないかと探すがホームセンターでは発見できず。仕方ないので0.5mmのゴムシートを両面テープを使って巻きつける。
押し込んで完成。耐久性はわからないが具合が悪くなったらまた作り直しましょう。アームを外さなくても問題なく作業できそう。
このところよく利用する海外オークションが不調。立て続けに未着、確信犯と思われる破損品といい所がない。未着については到着予定日から1週間〜2週間は様子を見ていたがオークションサイドにトラブル発生の申し立てを行った。すぐに反応があり3日間売り手から解決のための連絡を待ってほしいと。しかし応答がないため(オークションサイドから親切にも「連絡はありましたか?」と尋ねてくる)その旨伝えると審議、即日全額補償(送料も含めて日本円で同額)するとのことで返金はPAYPALによって即日手続きされた。2ヶ月続けてなので以前は期間の縛りがあったような気がしていたが問題なく実行された。商品が未着なのは残念だが利用者の保護はしっかりしているようだ。商品説明に「トラッキングナンバー付きで送る」とあったのにナンバーの提示がない。これが無条件に払い戻された要因かと思います。
もう一件については説明文と写真の一部しか送ってこなかったのと、送ってきたものの重要部品が大きく変形していたこと。輸送時の変形ではなく明らかに以前からその状態の確信犯。ただしこちらは検討して受け取ることにして破損パーツについては別手配した。この3件はいずれもフランスから。以前からあまり取り引きがスムースでないことが多い一因は輸送事情が悪いのかもしれない。昨年も説明と異なるものを送ってきたので写真付きでその旨説明したのだがあくまでシラを切るヤカラもいて、、こちらも補償されたが、、世の中いろんなことがあります。語学力は甚だ心許ないが翻訳ソフトなどを使えばそれほど不安は感じない。でも怪しそうなものには手を出さないのも重要。自戒とします。
ところが次の週には同じ売り手がまったく同じ内容でオークションに出している。。これはどういうことなのだろうか?すでに送り手の元に輸送トラブルが解決して送り返されてきたのか、はたまた最初から送るつもりがなかったのか、、?未着だった事についても買い手側に説明があっても良いと思うが。。今後はこの売り手には近づかないようにしよう。
ボールベアリング(ボール)が届きました。7/64はマイナーなサイズなのかちょっと時間がかかった。8/64インチと並べて写真。モノ◯ロウで10個単位で販売しています。1個あたり15円ほど。
早速表と裏に9個ずつ入る。給油は迷ったが一応粘度の低いオイルを入れた。
やはりプラッターの違いは大きくてTD134と比べても低域の出方がまるで異なる。TD124と聴き比べしてみたい。高感度アームのオート機能は調整が厄介だ。終端の検出時にはどうしても横方向の負荷がかかるのだが軽針圧だと再生音に影響が出るし針跳びしやすくなる。TD135MKⅡの軸はTD134,TD184,TD224と同じだが軸受は数種類あるようでTD135のそれは簡易型。3kg台のプラッターの重みを受け止める軸受の構造としてはちょっと役不足かもしれないし色々と大人の事情があったのかも知れない。長期間安定して使うには耐久性はどうだろうか。また全体のパーツの質感がそれまでのものとは異なり時間が経過してもピカピカしていて更にカチカチ、ペラペラ、な気がする。これは改良なのか単にコストカットなのかは不明だがなんとなくありがたみが薄いのも事実。大切に使い続けて軸受部に寿命がきたら新たに交換できるような軸受がアフターマーケットから供給されるかも知れない。
お読みいただきありがとうございました。
アームは929のベースになりましたので良く出来ています。しかしウエイトのダンパーゴムの劣化はお手上げで、小生はEMTと
同じ形状にナイロンを切削加工して変更しました。EMTは927、930に初期オルトフォン製を使ってましたが、ダンパーの劣化でお尻が下がるのを見越してか、ウエイトの真下にゴムローラーの支えを付けてウエイトの重量を保持していました、しかしそれでも下がるので929ではナイロンになったらしく、997はウエイトが大型のため分割して内部にダンパーを入れてあるのはご存じのとうりです。
トーレンスのシェルコネクターはアーム側の接点が酸化しやすく変色するので、小生のトーレンスアームはシェル、アームとも
互換性も考えて通常のコネクターに変更してあります。
それからアームレストはY字が折れてる個体が多いです。これはエンプラの中から適当な材質を選び切削加工後研磨仕上げでオリジナル同様にしてあります。
TD135MKⅠとMKⅡ両方をお持ちとのこと。アームと意匠以外の違いにつきまして教えていただければ幸いです。私はMKⅠはTD134と共通のメカニズムという認識なのですが(間違っていましたらご指摘ください)MKⅡは材質などが異なるのではないかと思っていますが如何でしょうか?(MKⅠを所有しておらず両者を並べて比較したことはありません)MKⅡはデッキやパーツの表面性状が異なり塗膜も薄くなり全体に(感覚的には)軽く(重量や響きが)感じるのですが。もしそうであればコストダウン以外の狙いがあったのでしょうか?BTD-12SとTP-14とでアームが異なりますが音の傾向の違いはどのようでしょうか?
お手隙の時にでも宜しくお願い致します。
相違点はアームでBTD-12SとTP14ですから当たり前田のクラッカー(古いネー年が解る)、BTDはリード線はアーム下のオッパイ状(はしたなくゴメンナサイ)の後部の穴に通してデッキ内部に入れているのに対しTPはアーム水平ベアリング横に半円のミゾがあり、アームの動きに従ってリード線も移動します。それからリフター、アームをリフトアップするのは両者とも水平軸の中の細軸の上下動ですが、124,135MK-I,はデッキ右のレバー直結のリンク作動、124,135MK-IIはリンクの途中にダンパーが
入ってます。このダンパーは優れものでヴィンテージカーのサスペンションの摩擦ダンパーと同じ!で2枚の円盤の間にグリスを塗ってスプリングで両者の滑り具合を調節し、1枚がアーム側、他方は操作レバーに連結してあり、モダンなシリコンオイルでピストンを動かすより確実。オイル抜けナシ、温度に影響されず安定して作動します。ただしシリコンシリンダーよりスペースはとりますが。塗装は両方とも同じレベルでサーっと一度吹いただけ。従って小生のMK-Iは全塗、MK-IIも現在中塗り中。実は125MK-I購入前に124MK-IIを当時の代理店さくら屋経由で求めましたが、開けてアラっビックリ、ダイキャストにペーパーがけしてヤスリ目も露わにそのまま塗装してあるではありませんんか。でも確か¥66000でしたから音出しはしました、頭に来たのは立ち上がりがメチャ遅い、ゴロは出る、一週間ほどで処分し、暫く後125を入手し、やっと納得です。今考えると124は自分で塗装をやり直せば良かったのです、当時エアーコンプレッサーとガンはもってましたから、下地を整え根気よく塗装すべきでした。若気の至りです。さてBTS,TPの音の違いはBTSのほうが下が厚いかなと感じます、もちカートリッジはおなじで。小生は124より135を好み、さらに125は代えがたい、でも928はサイコー!
長文多謝
使わなくてもアイドラーはプラッターとプーリーに圧着されたままで、通常とは違います。アームと電源の連動を外し、速度レバーで停止とアイドラーを離脱を連動するように加工すれば124と同じ操作で簡単に使えます。出しゃばりでスミマセン。
930のベークライトの本体は、局での可搬を目的に軽量化したため、中古では割れた個体が少なからず存在します。プレス鉄板とベークの共振は比較したことが無いため結論がでませんが、小生の125は特にそのために加工をしておらず、その他135、150、160については鉄製のベースなので裏側に鉛板を接着してあります。イワシの頭も信心とやらでこうすれば効果があるだろうと自己満足で、755を家庭内で聴く音量で共振は感じ無いです。機械の響きを活かすかは、音次第で終わり良ければすべて良しと割り切っています。