ヘボのアルバム (続編)

四季折々の戯言を・・・
そこから何が読めて来るか?

     『 時計師の業!!! ② 』 

2014-01-30 21:25:20 | 日記

             


時計と言っても色々ある!
大は柱時計から置時計、懐中時、腕時計、腕時計の中でも御婦人用の腕時計は、二回りも小さい!!!
これ等の時計で精度を出すのに結構苦労して来た・・・
取り分け携帯用の腕時計は、常時、時計の位置が変わり、これを日差1~2秒の精度に収めるのは至難の技だった。
携帯条件にも依るし、春、夏、秋、冬等外気温の影響も加味しなければならないので並の心構えでは実現が困難だった。
このような時間制度を確保する事を「等時性」等と呼んでいた。

今日、色々は諸技術が飛躍的に向上しているのでそれ程の難易度はないと思われるが、当時は大変な技術開発が要求された。
歯車の精度は勿論のこと、動力源の「ゼンマイ」の出力均一化、一定方向の力を交互に分離駆動させる「脱進機」:雁木車とアンクルの精度:脱進機誤差、そして、一定往復回転させる調整機:「テンプ」、テンプには「ヒゲゼンマイ」が付いていて、この捩じり回転力を利用して往復回転力を得ていた・・・
時間精度は、この「テンプ」の片重り、つまりアンバランスが一番精度維持に関与していてこの重り取りの善し悪しで、制度がかなり影響された。そして、そして、この「テンプ」についている「ヒゲゼンマイ」の偏心、ヒゲの巻き込み角等も微妙に寄与していたので結構厄介な理論時計学が要求された。
こんな事書いていると50年前の若かりし頃の向学心が思い出される・・・
グロスマンの「理論時計学」は、こういう精度の分析、解析を微分方程式を使って解読していた。

一時的なブームで電子式腕時計、クォーツが流行りメカ時計は葬り去られた時期もあったようだが、昨今では、逆にメカ式時計が脚光を浴び、珍重がられている!!!
スイスのメカウォッチ復活!!!
Omega、Lorex、Longin等のメカ式超高級時計が高値で取引されている。
Seikoでもグランド・セイコーの復刻版が脚光を浴びているようだ!
後に触れたいと思うが、このグランドセイコーに超ハイテク技術を使ったメカ・エレキ混交のスーパー時計:スプリングドライブが有る!!!!!

これはメカ機構を使った時計では世界最高級の精度を持っている時計だ!!!

話を元に戻そう・・・
腕時計の等時性を得るのに時計設計者や技術者は、死ぬ思いで日夜精度向上研究に没頭していた。
其処には脱進機や調整機構テンプ~ヒゲ周りからくる厄介な、また、手に負えない誤差要因の因子が存在していた!
老い耄れ爺もその一員だった。
これ等を取り除く為に開発された非常に複雑な時計:「ツールビヨン」という時計がある。
調速系の姿勢差を取り除くメカ機構で惚れ惚れする機構を採用している。
大昔、スイスのピゲという時計師が発明したものでメカ好きの老い耄れ爺等は惚れ惚れする!!!
昨夜の番組で日本の若き時計師がこの「ツールビヨン」メカ時計を手造りで造り上げ趣味家に提供販売すると言う話を聞いた・・・
正直、凄ゲ~~~!!!!!! と、思った。
ピゲの「ツールビヨン」より優れた機構を取っているように見えた・・・
因みに価格は1000万円で、年間2個しか出来ないと言う・・・
価格は兎も角、時計師個人が誰の助けも借りず造り上げるという事実にを送りたくなった!
この御仁、和時計の試作品も、既に、造り上げていて、近々、手造り化したいと話されていた・・・  

大分前だったが、「満年時計」の話をカキコした事があったが、これも卓越した技術でである。
その機構たるや想像を絶するメカ機構を持っている。

そう言えばSeikoにミニッツリピーター:「ソヌリ」という腕時計がある!!!
設定した時間に京都のお寺の鐘のような音がリンリンと鳴る仕組みでスイスのバーゼルで一躍有名になった。
これも想像を絶するメカ機構を採用していて、趣味家の注目を集めている。
因みの金時計とはいえ1500万円すると言う・・・

昨今、多くの著名人がこのような超高級時計を使うようになり、世界中で注目を浴びるようになった。
昨夜の番組はメカ好きな老い耄れ爺の好奇心を擽った・・・ 
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     『 時計師の業!!!  ① 』

2014-01-30 09:57:11 | 日記

             


昨夜 NHK で10時から「腕時計の魅力徹底解剖」という番組があった。
時計好きの老い耄れ爺、昔を思い出しながら興味深く見た!

子供の頃から機械イジリが大好きで家にある時計を片っ端から分解駄目にしていた。 元に戻せなかったのである!!!
親父さんの Longins 懐中時計も眺め込んでいた・・・
カチカチと言う心地イイ音に酔いしれていた。。。
国民学校1~2年の頃何処で覚えたのかブリキを切り刻みエナメルコイル線を撒きモーター造りに嵌っていた時代があった。 このモーターを動力源に色んな玩具を造ったもんだ!
こんな工作は中学生になっても続けていた。
高校時代は卒業したが大学は工学部の機械科を考えていた。 親父さんの友人は、土木科を奨めていたが土木に行く気はなかった。
大学時代の教授で怖い谷口先生という恩師に出会い色々な面で扱かれた。
何時も、教養学部の数学や物理の先生の教育がなっておらん!!!と、小言を言い専門の自動制御の時間にCGS単位のゴチャ混ぜコンガリ知識の修正をさせられたものだ!!!
先生は時計が大好きで当時の服部時計店や第二精工舎の幹部役員を行き来があるらしく自動制御の時間でも時計学の一部を引用して興味深く抗議してくれた。
テンプだとか脱進機だとかの話は興味深かった。

4年生になり就職の時期を迎えた。
今の時代と違い学問は4年の前期までビッシリと学び夏休みが過ぎてから就職活動勃々と言った時代で今日の3年生になると就職活動!という何処で学るのか判らない変梃りんな制度とは違う良き時代だった。
一寸出来が良かった事もあり狙いは東芝か新三菱重工を考えていた。
母親は家に近くに居て欲しい様子でセイコー舎はどうか?等とよく話していた・・・
9月に入り就職活動は、愈々、本格化する。
面白制度で親と就職担当の教授先生の面談が持たれた。
教授先生は谷口教授で母親に第二精工舎を進めていたと言う・・・これは後に会社を決める間近になって判った事だった。
第二精工舎の初任給は他の電機や重工業に比べ抜群に高かった。 
学生の間では結構人気有る企業で、チョッカイを出したがる奴が何人かいた!

人間の成り行きというモノは変なモノで、結局、自分の好きだった機械イジリと腕時計:セイコーという組み合わせの道を選ぶ事となった。
今考えると谷口教授が居られた事が帰路の分かれ目だったような気がしてならない。
それからというモノ会社から送られてくる社内報に「時計学入門」という連載物が有り、これに見入るようになる!!!
腕時計は、実に、複雑怪奇な構造をしていて見るモノ学るモノすべてが新鮮で卒業するまで時計学入門を自分のモノにして行った・・・

卒論は谷口先生ではなかったが、後々考えて、また、卒業してからも谷口先生には、時々、声を掛けられ影響力が大きかった恩師の一人だった。

さて、第二精工舎に入社すると、運も味方!!! 技術部の組立技術課という部門に配属され時計と、毎日、会話が出来るようになって行く。
毎日が新鮮で社内報の時計学入門講座を座右に勉強を重ねる・・・
この頃購入した「理論時計学」:グロスマン、も良く愛読した。
時計学に関しては兄貴分の亀戸工場に蒼々たる人材がいて、此方から学ぶ事の方が多かった。
今、こうした先輩達はどうしておられるのだろうか? 懐かしい人達ばかりだ。

当社の設計部門には優秀な技術者が居た!!!
彼等の設計した腕時計は毎月のように新製品として世の中に出て行く・・・
yの仕事は、これ等の時計を精度良く、止まること無く安定させて量産化する組立外装の生産技術者。
手巻き時計、自動巻時計:(5・フアィブ、マチック)、べルマチック、クロノグラフ等等手塩に掛けて来た。
時計が一巡すると精度の高い時計に注目が!!!
時計の生命線は等時性!!! 
如何にしたら如何なる持ち方でも時間制度が保てるか?という究極の原点との戦いであった。
ゼンマイの出力、テンプのアンバランスとの戦い、ヒゲゼンマイの巻き込み角と温度計数、脱進機の構造等々その要因は計り知れない。

この頃から電波時計、水晶時計、音叉時計、高振動(ハイビート)時計の研究は並行して進められていた!!!
これ等の総てでセイコーは世界の先端を走っていたと言っても過言ではあるマイ?
そのイイ例が水晶(クォーツ)時計!!!
第二精工舎:諏訪工場技術陣の発明だった!!!

一方、メカ時計では、等時性の研究は果てしなく続いていた。
老い耄れ爺は、寧ろ、この方面で悪戦苦闘した。
ゼンマイの出力平準化、ヒゲゼンマイの温度計数向上、ヒゲゼンマイの巻き込み角、 テンプの重り取り、これ等は腕時計の基本中の基本!!!
この研究なくして並時計の精度向上は考えられなかった。
これ等の研究のお陰で日差いや月差1~2秒の精度時計が確立されて行った!!!

一方、昨夜の放送内容でも話題になっていたツールビヨン腕時計も興味深い!!!
これは時間を精度良く維持する為にテンプという調速機構を回転させると言う超難易技の機構を有した時計で超高級時計として君臨していた・・・

此処まで延々と経過説明して来たのはこのツールビヨンを説明したかったからだ・・・
機械好きな老い耄れ爺、このツールビヨンには前々から興味を持っていた!!!


< つづく >



コメント (2)
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