前回からの続編です。
工事の為の素屋根も杉の木を使い木との接合には針金が使われています。
①白書院
白書院は、ご門主さまと対面の儀式や賓客をお迎えする大広間として使われていました。
白書院の奥には廊下で繋がる「黒書院」がありますが、門主さまのプライベート空間の意味合いが強く、今回の特別拝観でも公開される事はありません。
24畳敷の一の間を主室に二の間、三の間が一列に配されています。
一の間は付け書院や帳台構などを備えた書院造りで天井は折り上げ格天井です。
主室と二の間には極彩色で描かれた帝鑑図が描かれ、三の間には樹木と孔雀をメインにした金碧障壁画が描かれています。
また、畳を上げると室内能舞台になる工夫も見られます。
②北能舞台(国宝)
向かって左側が北能舞台です。
天正9年(1581)の銘がある現存する最古の能舞台で国宝に指定されています。
南能舞台は降誕会で使われますが、北能舞台は現在では使われていないそうです。
③虎渓の庭(名勝庭園)
対面式の東山にある虎渓の庭は国の特別名勝庭園に指定されている桃山時代を代表する枯山水庭園です。
"虎渓"とは中国江西省廬山(ろざん)にある渓谷で御影堂の屋根を廬山に見立て借景とし、北側に配された巨石の枯滝から水が大河となり大海に流れ込む様子を表現しています。
蘇鉄も植えられています。
蘇鉄は権利の象徴とされ、冬の寒さに弱い為冬の季節には菰が巻かれていました。
④飛雲閣(国宝)
境内の南東隅にある名勝庭園「滴水園」に建つ三層構造の柿葺楼閣建築です。
鹿苑寺金閣、慈照寺銀閣と並び「京の三閣」のひとつに数えられています。
工事の為の素屋根も杉の木を使い木との接合には針金が使われています。
これも伝統技師を次代に継承する為です。
平成29年(2017)7月から令和2年(2020)4月までの修復工事を終えて、往時の姿がよみがえりました。
舟の出入口がある事から池泉庭園の中島に建っていたのが想像できます。
一説には豊臣秀吉が京都の中心に築いた聚楽第の遺構との説もあります。
(内部の写真は西本願寺HPからお借りしました。)
今回は滴水園からの外部だけの見学で内部を見る事は出来ませんでした。
降誕会の時には茶席として使われるようで機会を見て一度、内部を見てみたいものです。
⑤唐門(国宝)
唐門は高さ8.7m、幅5.4mで西本願寺が1591年に現在地に移転した後に造られたようです。
日が暮れるのを忘れてしまうほどの美しさから「日暮門」の別名があります。
2018年6月から昨年10月にかけて40年振りに修復工事が行われました。
屋根の檜皮葺の葺き替えを始め、黒漆の塗り替え、107点にも及ぶ彫刻の彩色の復元など現代の匠の技により、桃山時代を象徴する華麗な姿がよみがえりました。
唐門の修復が終わりましたが、今度は唐門の両脇の築地塀の修復が行われています。
文化財を次代に継承する大変さを思います。
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