9月14回は芦屋市にあるヨドコウ迎賓館(旧山邑邸)を見学しました。
帝国ホテル旧本館の設計で知られる20世紀建築の巨匠と呼ばれるフランク・ロイド・ライトの設計です。
母校アメリカ以外では数少ないライトの設計した作品が兵庫県芦屋市の丘陵地にあります。
六甲山系に溶け込むように建てられた四階建ての洋館ですが住宅建築らしく周囲に馴染んでいて、ロイド設計の威圧感は全く感じない建物です。
この邸宅の由緒は大正年間に帝国ホテル設計・建設で来日中だったライトに設計が依頼され、灘で酒造業を営む山邑家の別邸として建てられました。
ライトは設計図は完成させていますが、工事開始前の1922年に急遽帰国してしまいます。
ライトの弟子の遠藤新(あらた)と南信(まこと)の手により24年に完成しています。
47年には現在の所有者の淀川製鋼所(ヨドコウ)が購入しました。
その後、71年にはマンションへの建て替え計画が浮上しましたが、建築史研究家の有志たかが保存の要望書を提出し、邸宅の文化的価値を認識されたヨドコウ社長の英断で存続が決まりました。
国の重要文化財にも指定され、建築時の姿に戻す調査と修復工事を終えた89年から毎週水、土、日曜日に一般公開されています。
この素晴らしい洋館を見ようと年間1万6000人もの見学者があるそうです。
ヴォーリズ設計の建物とはひと味もふた味も違ったロイド設計の貴重な洋館です。
これからも大切に守り保存して貰いたいものです。