庭園と館内見学を終え、お待ちかねの京懐石の料理です。
料亭長は長年、京料亭の名店「祇園丸山」で腕を振るわれてこられた渡辺誠さんです。
①先付
すっぽんの煮凝り、生うに 玉子豆腐 花穂紫蘇 忍生姜
②碗
清汁仕立
はも道明寺粉揚げ 束ね湯葉 あらせと
賀茂うり 柚子
7月の京都は、祇園祭一色、、、しかし、今年は神事のみ行われ、賑やかな宵山もお神輿の巡行も山や鉾の巡行もない寂しい祇園祭となってしまいました。
しかし、碗物は祇園祭一色です。
お椀にも八坂神社の神紋が、お椀の裏には長刀鉾の長刀が満月に映えています。
祇園祭は"はも祭"とも言われ"はも"が欠かせません。
道明寺粉をまぶして揚げているので"はも"淡白な中にも旨味が閉じ込めていて旨味を感じます。
お出汁も素晴らしいです。一滴残さず頂きました。
③向付
甘鯛うす造り あしらい一式
京都では"晴れの日"にはお祝い事にはさば寿司やお稲荷さん、甘鯛(京都では"ぐじ"と呼ばれます。)を頂く風習が色濃く残っています。
甘鯛のお刺身は初めてです。
醤油にぽん酢、お塩(たぶん藻塩)が用意され、あしらいにはネギ、長芋が付いています。
藻塩で頂くのが魚本来の味が一番よく分かると思います。
(上賀茂 お料理 秋山のご主人に教えて頂きました。)
ぽん酢で頂くのもまた、一考です。
④八寸
祇園祭り 粽寿司(たい) 汲み上げ湯葉 くこの実 加減醤油 ほおずき(小芋・とうもろこし)
懐石の花形ですね。季節感、彩りも美しいです。
"蘇民将来子孫也"の護符の通り、早くコロナの終息を願うばかりです。
粽の中には鯛寿司が。さばでないところがにくいですね!
ほおずきの中には小芋の煮物とボイルしたとうもろこしが入っています。
⑤焼物
すずきオイル焼き 胡瓜おろし 酢取り茗荷 加減酢
すずきは本来淡白な味の白身魚です。
オリーブオイル、胡瓜のおろし(大根も入っていると思います。)との相性がいいんですね、、美味しかったです。
⑥お凌ぎ(おしのぎ)
いちじく田楽 柚子
お凌ぎとは懐石料理の中ほどに出される料理で、茶そばや寿司、あるいは芋類や季節の野菜や果物が出されます。
そもそもは食事の合間にだされ、空腹を凌ぐ(しのぐ)軽食という意味合いがあり、茶懐石の"点心"と同じく意味です。(京都では"むしやしない"とよばれます。)
今回のお凌ぎはいちじく田楽、、、田楽味噌とすり白胡麻、ゆずの風味が絶妙で大変美味しかったです。
⑦炊合わせ
賀茂茄子 松坂牛 伏見とうがらし 粉山椒
京の伝統野菜を使った一品です。
賀茂茄子は京都上賀茂付近で栽培されている野菜で形は丸く、中味の詰まったていますが水分の多い野菜でこの時期は京料理にはよくでます。
松坂牛の赤身をあまり火を通さずに添えられています。伏見とうがらしとのマッチングにも合い、山椒の風味と共に食欲をそそられる一品です。
⑧香物
胡瓜 牛蒡 塩昆布
⑨止椀
合わせ味噌 あわ麩 粉山椒
⑩土釜
あゆ御飯 蓼こまごま 胡麻
今年、二回目の鮎ですが"香魚"の別名通り、香りを楽しみながら頭から全て頂きました。9月に入ると子持ち鮎が楽しめますが、しばしの我慢ですね。
⑪菓子 水ようかん
⑫一服 お薄
茶碗は松に太陽。
最後に水ようかんにお抹茶を頂き大満足の京懐石料理でした。
"高台寺土井"が祇園新門へ移転の予定をされる中、この地は取り壊されプールを中心にしたリゾート地に変わる予定でした。
しかし、フランス料理を手がける"ひらまつ"に譲渡の話があったそうです。
この地を見学した社長は"これは残さなければならない!"と即断され"ひらまつ"さんへの譲渡が決まったようです。
南禅寺"菊水"や"京大和"など有名どころが次々に譲渡や土地信託で変わって行く中、大変な英断だと思います。
譲渡から三年が経過し、数寄屋建築の改修、庭園の整備、、、大変な維持費がかかる施設です。京都東山のこの地に残りホント良かったです。
来月は岡崎"つる家"さんに伺う予定です。
大正天皇の御大典時に創業された名旅館でイギリスのエリザベス女王が来日された際、その宿にもなった料理旅館です。