高校公民Blog

高校の公民科(現代社会・政治経済・倫理)教育に関連したBlogです

生徒による授業評価の目的

2009-08-12 08:27:04 | 総合学習

対生徒の目的

 生徒による授業評価はきわめて重要である。それは本校のような選択を生徒の責任のもとに行っている学校では不可欠といっていい。
 おそらく、生徒の分類は二種類になる。一つは進学希望者=受験対応である。もう一つはいわば履修をまずは目標とする=教養対応とでもいうものだ。簡単には一年間履修することだ。そのとき、自分にあった教員や講座を研究することを生徒は訓練されなければならない。現実はまったくその訓練をなされていない。彼らは中学以前にそうした訓練を一つも受けていない。カントに言わせれば『責任』はほとんど脅迫である。私たちはこの脅迫的な責任を負いつづける主体を創造するという行為の意味を考えなければいけない。
 去年はなぜ、履修がうまくいかなかったのか。今年はなぜはかばかしくないのか。何の授業の何が自分に履修を促さないのか。この観点から自分をチェックするのだ。なぜ、授業へと出るということが障害となるのか、それを年間を通じて問うのがおそらく本校のHR担任の存在理由の重要な一つである。そのときに、他の生徒が残した教員評価が意味を持つ。これを参考にして、究極の選択をさせる。もはや、それがなされれば言い訳はきかない。とりわけ私たちの公民や国語のような科目の選択を十分にする資料は現在生徒にはほとんど提供されていない。この授業はどのような生徒に向けて設定されているのか。

 私は自分の教科を生徒に4つの項目で評価させている。(すべて生徒から出てきたものである。)

1 わかりやすい
2 おもしろい 
3 公平性 
4 履修促進

 このそれぞれを5点満点で評価してもらっている。これに「進学者」と「教養希望者、つまり、とりあえずは履修を」という生徒のニーズを加えてみよう。さらに、その教科が「苦手」な人と「得意」な人に分類してみよう。
 何と4×2×2=16の分類が5段階で評価される。
 「進学希望者」で国語の「苦手」な人が「おもしろさ」をもとめる、この評価の高い先生を選択する。・・・たとえばこうだ。
  参考までにこの16種類を書いてみると下のようになる。

進学-得意-おもしろい
進学-得意-公平性

進学-得意-わかりやすい
進学-得意-履修促進
進学-苦手-おもしろい
進学-苦手-公平性
進学-苦手-わかりやすい
進学-苦手-履修促進
教養目的-得意-おもしろい
教養目的-得意-公平性
教養目的-得意-わかりやすい
教養目的-得意-履修促進
教養目的-苦手-おもしろい
教養目的-苦手-公平性
教養目的-苦手-わかりやすい
教養目的-苦手-履修促進

対教員の目的

 私たちが考えなければいけないのは、現在、教員はその授業の責任をまったく問われることはないという事実であり、外部の議論はここを急速に求めようというところにある。私が先にあげた、16種類の評価のどれも低い教員はこれからの学校では生活できないと考えるべきである。「進学者」を募集する、自分の授業は「興味深い」ぞ、といって募集する、しかし、進学者は見向きもしない。そういう教員はこれからの学校では生きていけない。こうした能力考課制度が東京都をはじめとして打ち出されてきている。能力制の大きな評価基準として東京都が出してきているように、生徒の評価は不可避となるだろう。しかし、考えようによっては、こうして、初めて教員も責任を問われるのだ。生徒は選択の失敗を単位未履修や未修得というかたちで受けているのだから。ちなみに、生徒のニーズは多品種、少量であるばあいは実はまれである。まれなのだ。
 こうした選択制をより有効に機能させるためには、私たちは生徒への授業のコマーシャルを研究する必要がある。その好むと好まざるとにかかわらず、教員への評価は厳格に求められることは間違いない。「聞かないてめえたちがわるい」という〈武士の商法〉はおそらく通用しなくなる。君の授業は何が売りなのか、どういう生徒が自分の対象なのか、同じ「倫理」という科目が設定されていて、それぞれがどういう生徒を対象に、どういう生徒のニーズに答えようとしているのか、それをシラバスに明確にし、生徒に選択の意味を教育する、という教育力を私たちは求められることになる。シラバスをそういうものへと改訂することがもう一つの努力対象となる。その上で、生徒を公募する。この段階で生徒が集まらない教師は中央高校では存在の意味を失う。また、当然公募したのだから、一体生徒がどの程度の評価をし、何をニーズとして欠いているのかを確認しなければならなくなる。これが教員にとっての生徒評価の意味である。したがって、教員は本校の生徒のいかなるニーズに適合し、適合しないのかをこの評価をとおして確認できる。
 この生徒評価が公開されたとき、私たちは外部に自分の情報を発信し、さらに外部に自分と同様の目的を持って生徒から高い評価を得ている教員から学ぶチャンスも生ずる。


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