安倍首相曰く、「女性の活躍を促す」ことは日本経済を成長させる最重要課題だそうです。
そのために首相が指示したのは「配偶者控除の縮小・廃止」。
「配偶者控除」とは、扶養される配偶者がいる人が受ける所得控除で課税所得から38万円(70歳以上は48万円)を控除することができる制度です。
首相は夫のいる女性パート労働者の約2割が働き方を調整しているデータを持ち出し、その原因となっている配偶者控除を廃止すれば、女性がもっと働きに出るという理屈です。
※パートやアルバイトで働いていても年収が103万円以下の場合、給与所得控除65万円+基礎控除38万円の合計103万円が控除され所得がゼロになり、扶養家族にすることができます。そのために、年収が103万円以下に働き方を調整する人もいます。
しかし、配偶者控除をなくしたところで、さまざまな事情によりパートやアルバイトでしか働からざるを得ない女性の条件を取り除けるわけではありません。
安倍首相の言う配偶者控除の縮小・廃止の真の狙いは、パートで頑張る女性(男性も)がいる世帯への増税でしかありません。
本当に女性の活躍を促すというなら、ブラック企業のような過酷な働き方が横行する労働環境の改善、安心して子どもを預けられる保育所の増設、そのほかさまざまな面ではびこる男女差別の撤廃など・・・社会保障の充実や人間らしく働き暮らせるルールづくりに向けた政策を行うべきです。
一方で安倍首相は所得税の納税額に2億円の上限を設けるとも言い出しています。
税理士の浦野広明氏によれば、年間1億800万円の報酬と96億円の配当を得ているソフトバンクの孫正義社長の税金は、「総合課税」で計算した場合38億7800万円ですが、株式配当が分離課税のため、実際は7億1000万円で済んでいるそうです。
課税上限が2億円になれば、軽減される税額は35億円以上になるとか・・・
日刊ゲンダイは納税上限2億円の対象となる上場企業の役員は、日産自動車のゴーン社長をはじめ13人、「非上場でも・・・億単位の報酬を得ている経営者はわんさかいる」と報じているそうです。
もし、納税上限2億円が実行されれば、その優遇税制で減った税収を誰が負担するのか・・・
「女性の活躍」などと女性を利用して姑息な増税を考えるよりも、富豪にこそ応分の負担をしてもらうべきではないでしょうか。