ささやかな日記ブログ「果樹園のティータイム」。
猫ブログ再開しました「ももとあんずの Spring has come」。
共によろしくお願いいたします。
※ ※ ※
「私の漫画史、水野英子編」で、ひとつ前の記事は「「白いトロイカ」☆私の漫画史」です。
水野英子氏のHPの年表を見て、私はちょっと混乱しました。なぜなら「ローマの休日」は「白いトロイカ」よりも一年前の1963年に描かれたたことになっていたからです。そうすると、私は幼稚園・・・・。ウーム…絶対にそんなわけはない…と思いながら、Amazonでのレビューを読んでみたら、謎は解けました。
昔の月刊誌などには、付録でさらにまた別の漫画が付くことがありました。漫画雑誌に漫画の付録って、少々奇妙な感じはしないでもないのですが、ただインパクトが強かったことだけは確かで別格の漫画のような気がしました。
映画を描き下ろしたこの「ローマの休日」は二回、リボンと言う雑誌の付録として付いたらしいです。二回目は1966年、8ページの修正が入って更に良くなっていたらしいのですが、そちらの良くなっていた方を読んだので、何処が良くなっていたかは分からない事です。
私はその漫画をテレビで映画を見た後に読みました。後と言っても直後ではありません。だいぶたってから。それでも映画に忠実に描かれたその物語は再び王女とパパラッチの青年とのつかの間の時間を楽しく描き出していました。
そしてそんな別冊付録の漫画は長く本箱に存在することが許され、気が向くまま読み返されたのかも知れません。
それがいつの事だったかよく分からなくなってしまいましたが。ある日私は夢を見ました。
カツーンカツーンと青年が靴音たてて、記者会見の終わった教会を去っていこうとしています。入口で彼は立ち止まり振り向いてみます。もちろん壇上にはだーれもいません。そして係の人たちが忙しく椅子などを片付けているのでした。青年は誰もいなくなった壇上をじいっと見つめ、そしてまた前を向いて歩きだしたと言う夢だったのです。
ぱちりと目が覚めた私は、凄く悲しくて切ない気持ちになりました。
それまでの幼い思考の私は、その時まで「ローマの休日」は楽しいラブコメディだと思っていたのです。
「ローマの休日」はそんなお話ではなかったのだと、夢が教えてくれたのです。
そしてそんな夢を見させたのは、水野英子氏の漫画だったのだと思いました。
映画の再現漫画ではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、小説などが原作の漫画があるように、(近頃では漫画が原作の実写映画も多数ですね。)、原作が映画だと言うだけなんですね。見せる力は、やはり氏の画力とセンスだと思います。
![]() |
ローマの休日 (Feelコミックス ロマ×プリコレクション) |
水野 英子 | |
祥伝社 |
今はどうか知りませんが、昔の少女漫画はページを開くとヒロインが歌いだし郡部が踊り出すと言うシーンが良くありました。それを持ち込んだのは宝塚に生まれた手塚治虫氏らしいのですが、トキワ荘紅一点だった水野氏はその影響を受けたと言います。
だけど私はそのヒロインが歌いだすと言うイメージはあまり記憶にはないのですが、ただリアルには、彼女の漫画のコマ割りからは映画のそれと同じではないかと言う事を思っていました。
ヒロインがブロードウェイの入り口に立つ。バーンと両手をあげて。もろに映画のシーンそのものです。
映画が大好きだった私が、彼女の漫画を好きにならないわけはないと言えたかもしれません。
ラブコメディも好きでした。
昔助けてもらった村人に祖父の代わりにお礼にやってくる富豪になった少女。気持ちはたくさんあるのに、やる事はトンチンカンなことばかり。
村人の奥さんが、赤ちゃんのオシメが足りないと聞くと届けるのは良いのだけれど、トラックでいっぱい運びすぎて家から溢れてしまうとか、大好きなお医者さんの為に食事を作ろうとするのは良いのだけれど、やった事がないものだから、キッチンは焦げたお鍋で山のようになってしまい、食事の時には、
「これは、焦げて苦い・・・・でもうん、これは美味しいよ。」と言うと
「それ缶詰なの。」とうつむくヒロイン。
「あっ、いや、こっちのもイケル。」
「それもさっきお店から届けてもらったやつなの・・・・・・」
もうね。女の子の心を鷲掴みです。
![]() |
こんにちは(ハロー)先生(ドク) (下) (珈琲文庫 (9)) |
水野 英子 | |
ふゅーじょんぷろだくと |
水野英子氏の代表作と言ったら、実は「ファイヤー !」だと思います。
だけどこの作品が出た時には、私がこの作品には追い付く事が出来ませんでした。最初の頃はまだ小学生だったような気もしますし、中学になってもやっぱりロックやヒッピーとか、受け入れる素養が自分の中になかったのかも知れません。もう少しお姉さんになってからちゃんと読もう。そう思っていたと思うのです。ただ最終回は読みました。その時、いつか全篇を読みたいものだと思いながら未だにそれは達成していません。
世の中には「破滅型」と言う言葉があると思いますが、この漫画の主人公の青年はまさにそんな感じがして、思春期には近づきたくなかったのかも知れません。ナイーブで触れれば壊れてしまうかのような繊細な心。そう言う者に魅かれながらも、実際には強く逞しいものに憧れていた現実が拒んでいたのかも知れません。
この漫画にも映画的なシーンが多数あったように思います。
何部かの最終回の時、仲間と口論になり街を彷徨う青年。
雑踏の中で歌が聞こえてきます。
思わず青年は歌を追いかけて行き、口ずさんでいた少女の腕を掴んでしまいます。
「その歌をどうして知っているんだ ?」
「ラジオで聞いて、いい歌だと思ったから歌っていただけよ。」
「それ、僕たちの歌だ。」
ー僕たちの・・・・。
たった一回だけ出たラジオで歌った歌を、雑踏の中行きずりの少女が口ずさむのが耳に入ってくるー。
なんと言うか、ドラマチックな展開ですよね。
記憶の中に仕舞っているものだけで記事を書いています。いい加減な事を書いていると叱られてしまう事もあるかもしれませんが、ご遠慮なく訂正してください。
だけど、私的には、このように記憶に残った部分がつまり私の財産でもあるかなと思ってはいるのです。
それでもやはり「ファイヤー!」は、子供の時に思った通りにいつかちゃんと読んでみたい作品の一つです。
![]() |
ファイヤー! 1~最新巻 [マーケットプレイス コミックセット] |
水野 英子 | |
朝日ソノラマ |
そう言えばですね、大事な事を思い出しました。
水野英子氏のツイッターをフォローしていたのですよ。無料で読める作品紹介などもしてくれていますよ。
「マンガ図書館z」に私の作品『ビーナスの夢』(1965)と『ムッシュウ泥棒(ボルール)』(1968)が掲載中。購読無料。ぜひご一読を♪ http://www.mangaz.com/book/detail/126491 … http://www.mangaz.com/book/detail/126501 …
ピアノの先生のお宅で順番を待っている時にうっとりとしながら読んでいました^^
あの絵もう憧れそのものでしたね!
それをノートというか白い紙に描くんですよ^^
着ている服も夢のようだったし バラの絵も好きでね
私はとてもへたくそだったんだけれど 一緒に先生のお宅の
日本間の座卓で描いていた一つ上の学年の女の子が
それは上手にまねるんでしたよ
どうしたらあんなにうまく描けるのかなあって
それにも憧れていました^^
水野さんの絵から色々思い出す事が多いですね
思い出させてくださってありがとう。:*:・(*´ω`pq゛ポワァン
あの金髪の髪の描き方、「ノノノノ」を細かく入れる技術は、水野英子さんのものだったような気もしますね。
そしていましたよね。本当に上手に描く人が。
いろいろ懐かしい~。
水野英子さんの漫画はまた、今読んでも、遜色ないのが、素晴らしいと思います♪