森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「日日是好日」を見てきました。

2018-10-16 17:28:56 | 映画

※ 正確に言うと、樹木希林さんの最後の作品は来年公開を予想されていう「エリカ38」らしいのですが、そちらは浅田美代子さん主演なので、主演としての遺作は、やはりこの「日日是好日」だと思います。

 

10月14日、またも映画友に復活した義母と見てまいりました。

だけどチケットを買う時、ワタクシ、失敗しました。

シネコンのどちらかと言うと小さ目なシアターで上映されるのかと、けっこう後ろの席を取ってしまったのです。「よく見て買いなさいよ、あなたは。」と言う所なのですが、イメージ先行で、この映画には小さ目なシアターが似合うと思い込んでしまい、迂闊な事をしてしまいました。だけど実際には公開日直後の作品のための一番大きなシアターでの上映で、義母をたくさん歩かせてしまったのでした。

老いた義母には悪い事をしてしまったと思いました。しかしながら、やっぱりこの映画、私のイメージはあっていたと思うなぁ。

 

ワタクシ、こう見えても(どう見えるかは謎 ? )学生時代から結婚するまでの数年、お茶、しかも表千家を習っておりまして、そのような者がこの映画を見ると、本当にすべてが懐かしくて、そして

「ああ、あの時、私の先生もこうおっしゃっていたなあ。」

「ああ、あの時、私の先生も同じような事をしてくださったなあ。」

そしてまた、みんなでおしゃべりが止まり、炉の釜が立てる音に耳を澄まし、部屋がシーンとなったなあと言うような想い出がたくさん蘇りました。

たった数年でも得たものは大きかったと、再び思いださせてくれた、本当に素敵な映画でした。

 

もっとそこにある小さな美しさに目を向けよう、もっと毎日の暮らしをいつくしみ大切に生きよう、そんな風に感じる事が出来る映画だったと思います。

 

ただワタクシ、思ってしまいました。

この映画は、お茶を習っている人、習っていた人、または習おうかなと思っている人には、凄く素敵な映画に感じるのですが、まったく興味のない方には、すこぶる眠くなる映画なのではないだろうかと。

いつもなら、私はこう思います。

「興味ない人は、最初からこの映画を選択しないから大丈夫なのさ。」と。

だけれど、この映画の感想以外でも時々書いている事ですが、樹木希林さんは年配の方を映画館に呼ぶことが出来る女優さんなのです。しかも遺作です。お茶に興味のない方もいらっしゃるかもしれません。

90%以上の場面は茶室です。

うら若きヒロインたちの少々の違った場面での会話で、背景と世相を読み解くと言う、大きく揺れるような場面転換はないのです。だからなのか、女性たちの会話の場面は遊びに行った先の海や川。原作はエッセイゆえに、かなり工夫されていると思います。

もちろんエピソードはありますが、驚くようなとか息を飲むようなとか雷に打たれたようなと言うような描き方はされてはいません。

 

つまり何が言いたいのかと言うと、もしお茶などにまったく興味はないけれど、樹木希林さんの遺作ならぜひ見たいものだと劇場に行かれる方は、ゆったりと時が流れて行くような空間で、お茶会にうっかり参加してしまったような気分で、「へえ」とか「ふーん」とか思いながら楽しまれたら如何でしょうか。

袱紗が「パン」と音を立てると、思わずどや顔になるとか、掛け軸とかお花とか見るところがたくさんあります。

ただせっかくの表千家だったので、いきなり正座からスクッと立つところを映して欲しかったです。

 

だけど本当に素敵な映画で、タイトルの言葉が心に刻まれました。

 

物語のネタバレ感想などは書くつもりはないのですが、一か所だけ、思わず涙をぬぐってしまった所についてだけ、画像の下に書きますね。

 

戌年の茶碗。

「じゃあ、この茶碗を使うのは一生に3、4回 ?」

お茶の世界は、こういうゆったりとしたテンポが存在していて好きです。

ヒロインがお茶を習いだして、あっという間に24年が経ち、この茶碗を次に使う時には世の中はどんな風になっているのかしらなどと、皆が話していると、樹木希林扮する先生が、

「じゃあ、私はその時100歳になってしまうわね。」

ラストシーンのこの時88歳と言う設定だったのか・・・・・。

最初に顔を見せた時は(映画の中でヒロインたちに)、64歳と言う設定だったのか。

そこの違い、もう一回見てみたいな。64歳の時は、ちょっと老け過ぎじゃない?

私はそんな事を思いながらも

「100歳になってしまうわね。」と言うセリフが、とっても悲しく感じたのでした。

 

 

 

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
森下 典子
新潮社

 

コメント (2)
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