だれでも心の底には、消すことのできない生きることへの飢えかわきと、死に対する激しい恐れがあります。 ですから、私たちは死ぬことより、困難や不自由に耐えるほうがよいと思うのです。 人間の心にとっては、どんなことでも、死よりはよいのです。 しかし、人生でどうしても避けることのできないのは死です。 私たちが持っているもののうちで、最も不確実なのは命です。
聖書はこう言っています。「あなたがたは、あすのこともわからないのです。あなたがたのいのちは、いったいどのようなものですか。 あなたがたは、しばらくの間現れて、それから消えてしまう霧にすぎません」(ヤコブ四・一四)
福音の使信は、イエス・キリストに立ち返り、限られた命を主にゆだね、その代わりに主の無限の命を受けるるよう、勧めています。 「その永遠のいのちとは、彼らが唯一まことの神であるあなたと、あなたの遣わされたイエス・キリストを知ることです」(ヨハネ一七・三)。
キリストに対する信仰は、死をも究極的なものではなくし、永遠の世界を私たちの前に開いてくれるのです。
ポールB.スミス著 山口昇訳 日ごとの福音より