バラの住人

花弁の中の小人を探す そんな小さな日記です
もしもあなたが見つけても どうぞ秘密にして下さい(笑)

二人の夕べ

2014年02月05日 | 料理日記
 昔ばなしに今ばなし、外出の道中は色んな事を話しながらの道行きで、神戸にはあっと言う間に到着します。
昨日は“酒”の話しをしました。
Jは親族、仲間内、誰もが知る左党ですが、最近は砂糖も好むようになり、彼の甘辛人生は傍目からは幸せそうに見えます。
そんなJに酒の悲劇(?)があった事を、わたくしはこの日まで思い出す事もありませんでした。
酒飲みのほろ苦さを知る事になりました。

その昔、夫はプレミアが付いて、中々手に入らない新潟の銘酒「越乃寒梅」大吟醸を、東京の得意先に今なら手に入ると言われ、一本手配をして貰ったそうです。
彼は真冬でもビール党で、日本酒を飲む事は殆どありませんでした。
頂き物のウイスキーも手付かずでありました。
このウイスキーは以前の所属野球チームの若い青年達が貰って下さいました。
日本酒は残しました。
お酒の値打ち等、わたくしは殆ど分かりませんので、ある時料理酒が無くなり、こうして飲まない酒を置いておくのももったいないと、料理に使い始めました。

「○ちゃん、越乃寒梅どうした?」
「コシノカンバイ?知らない」
「ここに置いていたのだけど・・・」
「そこのお酒は料理に使っている」

「ええっ!!」そうは言いましたが、Jは怒りませんでした。
それっ切り、当時は手に入れるのも難しい酒であった事を昨日知りました(エエッ!笑)
Jはずっと忘れられない事だったようです。
「そんな高いお酒を使ったのに、料理(の味)は普通だったよね?」
「・・・」

泣いているような笑っているような、高倉健のマタイトコ似(笑)の横顔を見ながら、仕方がないので神戸の市場で珍しい湯葉を買う事にしました。

「いいの?○ちゃん」
「いいよ、Jさん!」

さしみでどうぞ、とお店の方は言われましたが、塊りの湯葉は初めてです。
色々あるレシピの中から、串に刺して「柚子みそかけ」の田楽風にして見ました。



◆ゆばをほんの軽く焼きます。みそに砂糖と酒、ゆずを皮ごとすって練り込みました。

悪かったわ。今ならそんな事はしないのに・・・
私がケーキにハート目になるように、酒好きにもハート目があったのね・・・

この夜はやけにしんみりで、鍋がやけにぐつぐつと、
安い焼酎ちびちび飲んで、湯気の向こうにJがゆらゆら(笑)



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