「えっ」
「・・・行きたいんだ」
「どこへ?」
「・・・」
<私はもうこれで分かっているのです>
「温泉へ行きたいんだ!」
夫がそう言って、私達は二週間前に帰ってきたばかりの道をまた北上することになりました。
5月29日(土)~30日(日)のことです。
雨男でも、雨女でもない私たちは、いつものように好天に恵まれ、
野球でひと練習を終え帰ってきた夫と、兵庫県美方郡新温泉町 七釜(しちかま)温泉 「あかね荘」のあの可憐な若おかみに会うべく、高速道路を乗り上げます。
3時間弱で、玄関でたたずむ天女と思われる人との再会。
優しい声で、「遠いところをようこそ・・・」 夫のみならず、鬼女の顔も崩れます。
「お世話になります」
待望の温泉に足をつけ、「アッチチ!」
大好きな “ひろみGO” の一節が口を突き、源泉かけ流しのお湯が体を刺します。
<ふぅ~んここのお湯は最高だわぁ>
野球で打てないことが続くと、連れは私を温泉旅行に誘います。
こうやって、県内はくまなく回りました。
「兵庫県人たるもの、そのお金は出来るだけ県内に落とすべし」
夫のわがまま旅行にも、一縷の理があり、いつしか乗せられわたくしも、但馬を愛し、豊な食にも魅せられ、愛・燦燦の但馬行きが続いています
手入れの行き届いた 「あかね荘」のお庭
心づくしのお料理
<今日のお魚> いし鯛 のどぐろ
刺身盛り合わせ 但馬牛サーロイン
八寸 朝食
今回もお湯を三回楽しんで、次は秋にと、天女と約束を交わし、少し賢くなって帰る予定の、今日の研修先に向かいます。
兵庫県美方郡新温泉町浜坂 先人記念館「以命亭」
七釜温泉出身の庄屋「森家」の住まい。多くの文人が排出されました。今は浜坂町が保存。感じの良い建物です。住居の見学は通り一遍で終わってしまうことの多い中、こちらは職員の方でしょうか、うら若き女性が付きっ切りでガイドをして下さいます。充実した研修になりました。「ご自由にどうぞ」とコーヒ・お茶類の用意もしてあり、心にくい配慮です。「山田風太郎記念館」を訪れたときも、お茶を出して下さり、土地柄でしょうか、但馬の方々の思いやりを感じたものです。
いきなり五月人形のお出迎え 造り酒屋でもあった
浮世絵の収集 「広重」もあり 著名な外交官沢田廉三は末裔
同じく 加藤文太郎記念図書館
「以命亭」の裏にあり、槍ヶ岳で遭難した郷土の登山家加藤文太郎を顕彰して建てられた図書館。登山の蔵書がたくさんあり、新田次郎著 「孤高の人」のモデル。山好きの方には心引かれる場所ではないかと思います。
“ 磁石の針 ふり乱さんは無益なり 磁石はついに北をさす針”
もう一人の浜坂の忘れえぬ人 歌人前田純孝の歌碑が清流・味原川(あじわらがわ)のふもとで、当舘への来訪者を出迎えてくれます。
<田はみどり 風もみどりよ純孝の 北さす針はここに止まりて> バラ
槍ヶ岳 加藤文太郎塑像
彼の登山靴 小説
遭難を報じる新聞 書架も山の形をしている
いつまで続くか知れない今日の健康を感謝して、夫のバットから快音が響きますようにと願いつつ、その日も夕日を背にして帰路に着きました。
騙され上手はしあわせものよ・・・但馬が ニヤッと片目をつむる。
未熟者ですがランキングに参加しています
およろしければクリックを♪