バラの住人

花弁の中の小人を探す そんな小さな日記です
もしもあなたが見つけても どうぞ秘密にして下さい(笑)

但馬 燦燦

2010年05月31日 | 旅 紀行

 「・・・打てないんだ」

「えっ」

「・・・行きたいんだ」

「どこへ?」

「・・・」

               <私はもうこれで分かっているのです>

「温泉へ行きたいんだ!」

夫がそう言って、私達は二週間前に帰ってきたばかりの道をまた北上することになりました。

5月29日(土)~30日(日)のことです。

雨男でも、雨女でもない私たちは、いつものように好天に恵まれ、

野球でひと練習を終え帰ってきた夫と、兵庫県美方郡新温泉町 七釜(しちかま)温泉 「あかね荘」のあの可憐な若おかみに会うべく、高速道路を乗り上げます。

3時間弱で、玄関でたたずむ天女と思われる人との再会。

優しい声で、「遠いところをようこそ・・・」 夫のみならず、鬼女の顔も崩れます。

「お世話になります」

待望の温泉に足をつけ、「アッチチ!」

大好きな “ひろみGO” の一節が口を突き、源泉かけ流しのお湯が体を刺します。

                <ふぅ~んここのお湯は最高だわぁ>

野球で打てないことが続くと、連れは私を温泉旅行に誘います。

こうやって、県内はくまなく回りました。

「兵庫県人たるもの、そのお金は出来るだけ県内に落とすべし」

夫のわがまま旅行にも、一縷の理があり、いつしか乗せられわたくしも、但馬を愛し、豊な食にも魅せられ、愛・燦燦の但馬行きが続いています

                手入れの行き届いた 「あかね荘」のお庭

            

                         心づくしのお料理                  

  <今日のお魚>  いし鯛                      のどぐろ          

    

          刺身盛り合わせ                但馬牛サーロイン

    

             八寸                        朝食

    

今回もお湯を三回楽しんで、次は秋にと、天女と約束を交わし、少し賢くなって帰る予定の、今日の研修先に向かいます。

            兵庫県美方郡新温泉町浜坂 先人記念館「以命亭」

七釜温泉出身の庄屋「森家」の住まい。多くの文人が排出されました。今は浜坂町が保存。感じの良い建物です。住居の見学は通り一遍で終わってしまうことの多い中、こちらは職員の方でしょうか、うら若き女性が付きっ切りでガイドをして下さいます。充実した研修になりました。「ご自由にどうぞ」とコーヒ・お茶類の用意もしてあり、心にくい配慮です。「山田風太郎記念館」を訪れたときも、お茶を出して下さり、土地柄でしょうか、但馬の方々の思いやりを感じたものです。

         

      いきなり五月人形のお出迎え             造り酒屋でもあった   

     

       浮世絵の収集 「広重」もあり         著名な外交官沢田廉三は末裔

     

                    同じく 加藤文太郎記念図書館

         

「以命亭」の裏にあり、槍ヶ岳で遭難した郷土の登山家加藤文太郎を顕彰して建てられた図書館。登山の蔵書がたくさんあり、新田次郎著 「孤高の人」のモデル。山好きの方には心引かれる場所ではないかと思います。

      “ 磁石の針 ふり乱さんは無益なり 磁石はついに北をさす針”

もう一人の浜坂の忘れえぬ人 歌人前田純孝の歌碑が清流・味原川(あじわらがわ)のふもとで、当舘への来訪者を出迎えてくれます。

      <田はみどり 風もみどりよ純孝の 北さす針はここに止まりて>  バラ

           槍ヶ岳                  加藤文太郎塑像

             

         彼の登山靴                     小説

                 

       遭難を報じる新聞              書架も山の形をしている

                 

                             

いつまで続くか知れない今日の健康を感謝して、夫のバットから快音が響きますようにと願いつつ、その日も夕日を背にして帰路に着きました。

騙され上手はしあわせものよ・・・但馬が ニヤッと片目をつむる。

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独白

2010年05月26日 | 記事日記

 昨夜のことでした。

面白いことは割りと多いのですが、昨日もおかしなことがありました。

私の夫はいつも何かを話しかけてきます。少し黙っていてと思うことも多々あります。

「あなたはおしゃべりね」と私が言いますと、「僕は外では無口で通っているんだ!」と言います。

昨夜も台所中の私に、なにやら話しかけてきました。

私は集中したいことがあったので、相手にしませんでした。

そしたらなんとマイパソコンの前に置いている私の小さな写真を食卓の前に置き、話し出したのです

「君はどうしてそんなに僕に冷たいんだ!僕はこんなに君のことを思っているのに・・・

それにしてもこの写真はいい写真だね。誰が撮ったんだ!

僕か?そ~らごらん これだけでも僕が君をどれだけ大事にしているか分かるだろ!

君は二言目には、もっと金持ちがよかったと言うけれど、金持ちにはそれ以上の苦労がついて回るんだ!

僕は君にそんな苦労はさせたくない・・・

君のような女は僕しか勤まらないんだ。君はしあわせだと思うよ・・・

                       <沈黙>

お嬢ちやん ごめんね・・・

苦労かけたね。僕は君を一生大事にするからね。

・・・だから飲ませてね」

本気なのか 嘘なのか。 私はいつもこのあたりで匙を投げます。

「・・・あの~ もう一本いいですか? お嬢さん・・・?」

「いいですわ だんなさま。今度生まれて来ても 私はあなたを外しますから・・・」

「冷たいねぇ 君は」

シュパァ~

「うん。冷えてる。君以上だ!」

こんなことを もうずうっとやって来て、これからも同じことを ずうっとやって行って、いつかさよならするのよね。

段々少なくなる日めくりを いとしく思うようになって、私たち やっと夫婦になれたかしら・・・

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この先、10年。

2010年05月23日 | 記事日記

 残念ながら、この写真は私たち夫婦ではありません。モデルさんです。

私はこのコピーが好きで、大事に隠し持っていました。

粉会社のPRで、新聞で見つけました。

ご存知の方もたくさんいらっしゃると思います。小さな字でサブに、このように書かれてあります。

                   やっとたどり着いた、ふたりのためのとっておきの人生。

                   せめてこれから10年間は、お互い元気で健康で、

                   思いっきり楽しく生きようじゃないか

いい文章だな。60代にぴったりのコピーだ。

あいにくの雨の日曜日、私は話題づくりに、この問いを夫に投げかけてみました。

「この先の あなたの10年て なぁに?」

「うん 僕はね 野球でね 僕の力で勝ったという試合を 一つでいいからやってみたいんだ。 野球で一度だけ ヒーローになること・・・」

この人は10歳から死ぬまで野球少年なんだ・・・こんな小さな夢を大事に暖めていたんだ。

「君は なぁに?」

「・・・」

私は答えませんでした。ちょっと恥ずかしいから。

「私はね  80歳になっても 6cmヒールが履けること・・・」

台所でそっとつぶやいてみました。

もっと大きな夢が出てくるのかと思ったら、二人ともかわいい夢でした。

こんな小さな かわいい夢を

この先、10年。

大事にしていきましょうね。

ふたりして・・・

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研修旅行

2010年05月18日 | 旅 紀行

 5月15日(土)~16日(日)は快晴に恵まれ、以前から予定していた所へ“研修旅行”に出掛けました。

我々夫婦はちょっと出掛けることを研修旅行と称して、こっそり英気を養って参りました。

単なる食いしん坊旅行と考えられますが、周りで誰も非難する人もなく、有難いことだと思っています。

今回は「若葉茂れる丹波・但馬二城めぐり」と銘打ち、大将に家来一名、 「いざ出発じやぁ~」と殿が申して、さあ出陣です・・・

          5月15日 / 京都府福知山市 丹波の国 福知山城

    

城の成り立ち、盛衰はわたくしの下手な説明よりも、リンクをご覧頂くとして、約24年前にリニューアルされたようで、大変美しいお城でした。

明智光秀公が意を決し、隣接する居城、亀山城から京都本能寺の主君織田信長公に奇襲を掛けた距離感は絶妙であったのではと、この天主に立ち思いを深めました。

辛酸をなめた光秀公の心中を、今美しきこの青葉が、なにもかもを包み込み、歴史の奥深くに眠らせようとしているのでしょうか・・・風があまりにも優しすぎる・・・

     

          

美しいお城をゆっくり散策し終えた私達は、今夜のお宿、とある温泉地の、とある旅館を目指し、丹後の国を抜け、北上します。

          

隠れ家のため、公表できませんが、翌朝出てきたところを支配人がパチリ。この夜の殿の王冠は四個。少し弱くなって来ました。

           5月16日/ 兵庫県朝来市 但馬の国 竹田城跡

    

    

何度も何度も通りながら、一度も登らなかった日本のマチュピチュ「天空の城跡」を目指します。

360度全山、緑茂れる中、おや?少し異変が現れました。

  

「君、一人で行ってくれないか」

「ええっ どうして?頂上はもうそこですよ?」

「僕はここがいいんだ・・・」

<おかしな人。もう少しでマチュピチュが見えるのに・・・>

歩き出して私は思い出しました。<そうだ。夫は高所恐怖症なのだ>

私は但馬の誇る城跡を十分楽しんだ後、夫に言いました。

「ごめんなさい。私すっかり忘れていました」

「いや。僕も忘れていたんだ。この場所に来るまで」

                         私の帰りを待つ夫

                

          __________________________

こうして何もかも忘れていくのね。

姫路城の天主閣で、「僕について来てくれるか?」 と紅潮して言った殿も、 今は青冷めて「一人で行ってくれ」と言う。 

いいのよ あなた。

人生の高い山道も平気だったあなたを

私わすれていないから・・・

こうして我が家の研修旅行は、その日も夕日を背にして、無事帰路に着いたのでした。

めでたし・めでたし。

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2010年05月12日 | 記事日記

 少し前に木村拓哉主演の「HERO」(ヒーロー)というTVドラマがはやりました。

映画にもなったのでご存知の方もたくさんおられることと思います。落ちこぼれ人間が、後に検事になって大活躍する、痛快現代版ヒーロー物語です。

その中で、毎週エンディング近くに、久利生検事こと木村拓哉が立ち寄る、居酒屋らしきお店が出てきます。そこのマスターに久利生がこう言うのです。

          「マスター、さすがそれは・ないですよね?」

                  <微妙な間>

          「あるよ・・・」

そして、あるとも思えないメニューや、品物が出てくるのです。私はこの場面がとても好きでした。

そして私もその手品が少し出来るのです。

長い主婦生活の間にわたくしは、色んなものを拾い集めて、こっそり保管をして来ました。

それは世事であったり、我が家の出来事であったり、それをほどよい量に仕分けして、一年分のファイルを作ります。

A3ファイルなのでかなり記録が出来ます。「あれ、なんだっけ?」 と言われても 「・・・アルヨ」 とおもむろに出すことが出来るのです。

ヒーローになったようなちょっといい場面でしょうか。

                                  世の中の出来事

     

       真央ちゃん 銀メダル               荒川静香 金メダル

     

        星野阪神 優勝                   やったね! 

     

       阪神淡路大震災                     旅行

     

           テロ                        四季の花

     

 そしてこちらが・・・

ここには幼児期から大学までの二人の子の落し物が入っています。

時間割・作文ノート・ちょっと頂く小さな表彰状・学生証・子供達がすっかり忘れているもの、落として行ったもの、母は集めて各学年別にケースボックスに保管しています。

帰って来たときいつでも見られるように、それぞれの愛する人に見てもらい易いように、母は無い頭をひねって、整理整頓しています。

      “おとなになってから、老人になってから、あなたを支えてくれるのは、

       子ども時代のあなたです”

最近にこんな言葉も聞きました。私たちがヘトヘトになったように子供達も人生に疲れるときが、望まなくてもあるでしょう。

ここが、この場所が、子供達の駅になったなら・・・

私のして来たなんでもないこの事が、少し役立つようならば、空に昇ったわたくしは、そこから雨を降らしましょう・・・

あとに虹が立ち上り、希望が見えたらいいのにね・・・

                            

                          

                          

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スポットライト

2010年05月07日 | 記事日記

  連休が終わって、今日は関西地方は雨になりました。

今年伸ばした金目孟宗竹がすくすく成長して、フイリの美しい姿を見せています。

拙宅の庭には4基のスポットライトが入り、夜間にはこれらの竹が浮かび上がる設計になっています。デザイナーはわたくしです。

銅版をぐるりと巻き、隣家に根が行かないように養生してありますが、迷惑をお掛けしないかハラハラしています。

新芽が生え揃うと美しく、夏はとても涼しげでそれなりに、効果があるのですが、それまでの病葉の庭掃きが大変です。

これから歳がいき、これが頭痛の種になるのではと心配しています。

5月~6月は百花繚乱の季節ですが、私はあえて、花という花を付けるでもなく、目立つでもなく、そんな“庭の人格者”に今日はスッポトを当ててみることに致しました。

     

 

ヤマアジサイ・フッキソウ・ナルコ・フイリジュウヤク・イネ・オオバ・各種シダ類がひっそりと、しかしながら力強く、隠しようのない緑の命を現しています。このように花こそ少ないですが、魅力的な植物です。

 

 

 

 

この緑が隠し持つ力のように、山河を乗り越えてきた私たち世代も、物事を良く見つめ、考え、脇を固める立場で、次世代の人々を盛り立てる働きをしたいものだと思います。

日本がよかれ、子がよかれ、孫がよかれと死ぬまで考えられる余力を持ち続けたいと願っています。

こんなわたくしに、生涯一度だけスッポトライトが当たったなら、そんな奇跡が起こったなら、言ってみたいことがある・・・

君がよければ・・・そう思い続けた人生だったと。

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花を禁じる!

2010年05月04日 | 記事日記

 ここは夫の遊び場です。

当住宅地は山地の造成地で、石がゴロゴロのとても畑をするには向いていない土地でした。少し投資をして、畑用の黒土に入れ替え、裏庭に二畝の野菜畑を作りました。

たった二畝ですが夫婦二人では、それでも食べきれないくらいの季節の収穫があり、ご近所にも食べ助けをして頂いています。

今は夏野菜の植え時で、今回も私にもリクエストを聞いてくれました。

トマトだけは妙に好きですので、とりあえずそのことを言いますと、12本の苗木を植えてくれました。

毎年結構良いものが出来、感謝しています。

ただ一点、この中に絶対花を植えてはいけないと堅く言われています。何の理由か分かりませんが、彼のポリシーなのでしょう。

たいがいの言うことは聞きませんが、そんなに言うならと、花を植えないのが我々を今日まで引き止めている理由でしょうか?

         

              出掛けることもやめ、一生懸命畑を耕しておりました

               トマト

              

               ナス

              

               オクラ

              

               シシトウ

              

               キュウリ

              

                そして奮闘の甲斐あり夏畑の完成です。

              

「ああかわいい・ああかわいい」と言いながら、これからしばらく夫の水やりが始まります。文句の一つも言うでなく、かわいいのは認めましよう。

夏には真っ赤なトマトがポコポコ稔り、さすがの私もかわいいなぁと思います。

ごくろうさまでした。あなた。

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