10月17日(日)
白みかけた、福井県若狭三方五湖は、人の心もかくありなんと、穏やかに、たおやかに、その姿を見せ始めました。
今日はこの湖を遊覧致します。
「僕は乗らないからね!」
昨夜からそう言い張っていた夫も、あまりの穏やかさに心が動いたようです。
宿にお別れをした後、部屋の窓から見えていた若狭町観光船「レイクルーズ号」に乗り込みました。
・ガタッ・
出航のため船が一瞬揺れました。
「あ~~ッ 揺れる!」
夫がこわばり始めました。
「あなた。今だけですよ。波はありませんよ。空を見ててね」
私の夫は船も恐いのです。
・ボ~~~~
爽やかな風を受け、今日も快晴の中、船は三方五湖を巡り始めます。
綺麗ですね。
約40分の船旅は無事終わりました。
無事でなかったのは夫だけのようです。
「さぁ 気を取り直して、楽しみなレインボーラインに行きましょう」
「そうだね。早くさよならしよう」
わたくし達は湖を上から見るためにドライブウェイに乗り上げました。
夫の恐怖は実はここからが本番だったのです。
可哀相なことをしました。
上から見る五湖はまた違った美しさで、生きる力や、希望さえも与えてくれそうな景観美です。
バラ園もあり、恋人たちが愛を誓った“永遠の鍵”がそこかしこに掛かっています。
<そうか。ここはそういう場所なんだ>
極度の緊張で、目を閉じたまま、丁度ま真ん中のベンチで身動きしない人がいます。
どちらかに偏ると下が見えて、この真ん中にしかいる場所のない我が夫です。
「待っててね あなた。もう少しだけ写真を撮らせてね」
今私たちはケーブルに乗って、こんな場所にいたのでした。
178㎝・78k、「こいつだけは死なない」と野球部の先輩を言わしめた闘魂の男 “J ” は高所恐怖症だったのです。
楽しみにしているわたくしをガッカリさせたくない一心で、この恐怖のケーブルに乗り込んだのでした。
たった2分の乗車時間もどれほどの恐ろしさだったことでしょう。
ごめんなさいね。
あなたが目を閉じている間にこんなプレゼントを用意しましたよ。
天空のバラ園に咲いていました。
「もうこれが最後だからね」
ケーブルを飛び降りた夫は、一目散に車に飛び乗りました。
ランキングに参加しています
およろしければクリックを♪