to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

最後の忠臣蔵

2010-12-30 20:55:20 | the cinema (サ行)
          
生き尽くす。
その使命を、その大切な人を、守るために。

製作年度 2010年
上映時間 133分
原作 池宮彰一郎 『最後の忠臣蔵』(角川文庫刊
監督 杉田成道
出演 役所広司/佐藤浩市/桜庭ななみ/山本耕史/風吹ジュン/田中邦衛/伊武雅刀/安田成美/片岡仁左衛門

赤穂浪士の吉良邸討ち入り事件で大石内蔵助率いる四十六士が切腹して主君に殉じた中、ひそかに生き残った二人の男の知られざる物語を描く。
忠臣蔵として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りでは46人が主君に殉じ切腹するが、二人の男が生き残った。討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。正反対の運命を背負う二人が16年ぶりに再会。瀬尾はなぜ討ち入りから逃げたのか、寺坂は元同志が抱えてきた秘密を知る。

大石内蔵助から密命を受けた為に、心ならずも名誉の死を遂げることが許されなかった二人の男の、
討ち入りから16年後の、16年を掛けた物語―。
とっても良かったです!大好きな作品に出会えました

大石内蔵助という人物がいかに深慮遠謀の人であったか、
序盤の吉良邸討ち入り後、寺坂吉右衛門の働きをねぎらい、すぐさまお家断絶後の家臣の家族のその後のフォローを命じ、
後に明らかとなる瀬尾孫左衛門へは、まだみぬ吾が子の行く末を細かに指示した上で託すなど、
先に観た「十三人の刺客」の明石藩主や、「必死剣 鳥刺し」の海坂藩主のような暴君とは大違いの、人望厚き赤穂藩家老であったことが伝わってくる。

年末にはお馴染みの『忠臣蔵』は、その忠誠心、武士道の犠牲的献身など、
現代の誰もが忘れてしまったような、むしろ軽視されがちなその一途さが、3百年の時を超えてなお人気があるのは、
やはり日本人の中に否応なく繰み込まれているDNAもあるでしょうが、
まず一つに、この大石内蔵助というリーダーが、尊敬に値する人物として描かれているからだという気がしています。

その内蔵助に「お前は生きろ」と言われてからの16年を、「切腹を免れた者」として殉死した家族の冷ややかな目線に耐え続けた吉右衛門の孤独な旅が終わる時、親友の孫左衛門をみかける。
ここは・・心が揉みしだかれる武士のココロ。。

大石家の用人だった孫左衛門の16年は―・・・
誰にも知られずに、ひっそり主君の忘れ形見を育てる、緊張と使命感と、ある意味愛に満ちたものだった。
託された赤子だった可音を、慈しみ、傅き、導く。。。
だけれど、ひっそりとしたその生活も、美しく成長した可音に変化が訪れ、
孫左衛門に新たな試練と決断の時が近づいていた・・・

桜庭ななみちゃん、初々しかったです♪

共に密命を受けながら、誰とも心を寄せ合えない旅をしてきた嘗ての親友同士が、
巡り会い、すれ違い、また心をひとつにするも、待っていたその時―。


任務を果たしながらも、16年のやるせない息苦しさから抜け出れない心の欠落した吉右衛門、佐藤浩市さんに胸が締め付けられました。

全てを捨てて殿の隠し子を育て上げる。そうしながらも、いつも主従関係を崩さない孫左衛門の脳裏に人形浄瑠璃が甦る時・・・
お髭に白いものが目立とうとも、役所さんはとてもセクシー!とてもチャーミング
迷い、悩み、怖れ、愛でる・・・全ての心情表現がビシビシ伝わってきました。

京都・大覚寺敷地の竹林は、孫左衛門が様々な想いで何度も歩く、隠れ家へと続く道。
本当にいい折々の竹林のシーンでした。
人形浄瑠璃「曾根崎心中」の舞台が上演されるのは、香川県仲多度郡琴平町に1835年に建てられた現存する最古の芝居小屋「金丸座」。
オフィシャルサイトを見るまでは素晴しいセットだと思っていましたが、ホンモノだったんですね~。
他にもこの作品の隅々まで、美術の数々が素晴しかったです

安田成美さん演じる夕霧邸も小粋で素敵な佇まいでした。
女たちも、男たちも美しい。。

静かで、美しく、哀しい物語・・・
途中からぽとりぽとりと、泪が止まりませんでした。すてきな素敵な日本の映画です

  


恭子ちゃんと金城さんの『神様、もう少しだけ』の小岩井宏悦プロデューサーのお名前を
この作品の製作陣にみつけて、それも期待したところでした。
小岩井P、次は恭子ちゃんの「豆腐小僧」ですね♪また期待して待っています