観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
※無断転載は一切禁止。

「忠臣蔵」。

2011年09月03日 | 映画・ドラマ
 2004年のテレビ朝日開局45周年記念企画作品。
 言わずと知れた赤穂浪士の討ち入りものですが、良くできています。しかしねえ、皆さん良くここまで吉良上野介を悪役にできますよねー。今回の伊東四朗もこ憎たらしい上野介ぶりでした。
 ドラマは豪華キャストで演者も巧みな方揃いなので、今回は実際の赤穂事件について。第一、最初から刀を抜いたら切腹ですよってな殿中で刀をぬいたために切腹になったのに、「吉良が仇」といった、史上最大の逆恨み事件。
 これは実際に荻生徂徠が言っています。このドラマの中の荻生徂徠は切腹を進言してましたが、大きな誤りですね。
 しかも仇討ちと言いながら、やったことは夜襲ですよ。年寄りの寝込みを大勢で襲っただけ。
 また、大石内蔵助は多くの役者が台詞で、「狙うは上野介ただいちにん」。と言っていますが、実際には、「上野介が見付からねば、左兵衛の首を上げよ」と言っていたそうです。左兵衛とは、吉良義央の孫にして養子の吉良義周のこと。わずか十九歳です。
 これが時代が変わろうが日本中の心を虜にしている忠義の義士ざんす。最も日本人って太古の昔から、独特のよじれた感覚で生きていますからね。
 因にこのドラマでは内蔵助の二男が、討ち入り直後に本家芸州浅野家に家老で迎えられると明るく終わりますが、これも嘘。二男は累が及ぶのを避ける為に出家させられていましたが早世。内蔵助の死後に産まれた大三郎が後に浅野家家老になります。ただこの三男は、親父(内蔵助)から女好きな面を受け継ぎ、離縁を繰り返した挙げ句に品行も宜しくなく、梅毒を患ったとされています。
 因に討ち入り当夜、戦った吉良側はほとんどが上杉からの家臣だそうで、上杉家の義を感じます。ほかの皆さんは、武家長屋に押し込められていたそうです。まあ、出ようと思えば出られるんですけどね。
 それと、女子供は当夜吉良邸にはおりませんでした。上野介の妻の富子さんが引き揚げさせています。
 いずれにしても、この事件で名を残した浅野家家臣の皆さんは念願成就で万々歳でしょうが、一方的に逆恨みされた挙げ句に夜襲をかけられた吉良家ではお家断絶。その上、左兵衛は諏訪に流され三年後に死亡。上杉家も当主(上野介の実子)と嫡男は謹慎処分(直ぐに解けますが)ってこれおかしくないですか。
 そもそも内匠頭を評定所での調べもなしに即日切腹からしておかしなことで、これ全て、幕府の責任なのですがねえ。
 「よってそれがし、忠臣蔵とは、忠義の武士道の話ではなく、片手落ちの理不尽な裁定にも屈しなければならなかった、世の中の矛盾として考えて候也」。

出演
大石内蔵助    松平健
りく       田中好子
浅野内匠頭    沢村一樹
瑤泉院      櫻井淳子
堀部安兵衛    宇梶剛士
不破数右衛門   寺島進
岡野金右衛門   要潤
小山田庄左衛門  高知東生
大高源吾     石丸謙二郎
片岡源五右衛門  羽場裕一
宝井其角     高橋長英
吉田忠左衛門   寺田農
堀部弥兵衛    佐野浅夫
垣見五郎兵衛   江守徹
多門伝八郎    片岡鶴太郎
清水一角     松重豊
戸田局      野際陽子
荻生徂徠     橋爪功
吉良上野介    伊東四朗
千坂兵部     夏八木勲
天野屋利兵衛   藤田まこと
脇坂淡路守    村上弘明
土屋主税     北大路欣也

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