何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

金乗院-(1) (所沢)

2019年08月14日 | 寺社巡り-埼玉

【埼玉・所沢市】寺伝では、平安時代の弘仁年間(810~824)、奈良の高僧・行基によって創建されたとされる。 正式な寺号は吾菴山金乗院放光寺で、この辺一帯の古い地名・山口から山口観音として崇高を集めた。
鎌倉時代末期、新田義貞が鎌倉を攻める際にこの寺に戦勝祈願をしたという。 また、鎌倉攻めにお供をした馬が、後生はこの地で余生を送ったとされる。 安土桃山時代の天正十九年(1591)、寺領10石の朱印状を拝領したとされる。 宗旨は真言宗(豊山派)で、本尊は千手観音像。 武蔵野三十三観音霊場13番札所、狭山三十三観音霊場初番札所など。

不動寺から、近くに鎮座する金乗院に向かう。 道を跨ぐ「山口千手観音」と朱書きされた白いゲートを通して遠望すると、少し霞んだ樹林から頭を出している五重塔がえる。
「増上寺」の刻がある大きな石灯籠が置かれた南北朝時代創建の仁王門に着くと、筋骨隆々だが少し腹が出ている感じの仁王像が迎えてくれる。 道を挟んだ門前には弁天様を祀る弁天池があるが、最後に拝観することにして仁王門をくぐる。
直ぐ後方の石段を上りつめると、道を挟んで義貞霊馬堂と手水舎が建ち、その奥に、丘陵に向かって堂宇境内が広がる。 義貞霊馬堂には、新田義貞の鎌倉攻めでお供した白馬像が祀られていて、正面に張られた五色幕の中に少し漫画チックな白馬が顔を見せている。 手水舎後方の石垣に沿って幾つかの石造物が並んでいるが、その中に笠を乗せた単制六面石幢があり、六面に六地蔵尊像が浮き彫りされていて興味深い。
十段ほどの階を上がると、「増上寺」刻の石灯籠と回向柱、そして回向柱の傍に龍の装飾を施した唐様の常香炉があるが、本堂から少し離れた所に置かれているのが少し気になった。
周囲に縁を巡らした小棟造りの本堂は丹塗りで荘厳さが漂うが、少しゴチャゴチャした感があって落ち着かない。 向拝の軒先に下がる鎖樋の下の天水桶の姿に驚いた。 石塊の中に十数本の石柱を縦に円状に並べただけの桶(?)で珍しい。 「圓通殿」と読める扁額が掲げられた中央間から堂内に....内陣と外陣は硝子入りの格子で仕切られ、「五七桐」と「輪違い」の紋を入れた幕が下がる格子から内陣を覗いたが、よく見えずだ。

入母屋造桟瓦葺の仁王門....南北朝時代貞治三年(正平十九年)(1364)の建立(昭和九年(1934)改築)
 
珍しい造りの軒下....突き出た梁に軒天井を設け、梁の先に丸桁を乗せている、また組物がない
 
仁王門脇間の格子の中に鎮座し、仏敵の侵入を防いでいる仁王像....少し腹が出ているが力強い姿だ
 
仁王門前の石燈籠は正徳二年(1712)の造立/仁王門後方の石段下の両脇に鎮座する六地蔵尊像....全て享保三年(1718)の造立

仁王門から40段ほどの新しい階を上り詰めると一般道を挟んで本堂境内がある

切妻造銅板葺の手水舎....大棟端には「卍」を入れ大きな鳥衾を乗せた鬼板
 
手水舎は二軒繁垂木で拝に蕪懸魚、妻飾は虹梁大瓶束、組物は出組で中央に詰組、木鼻は江戸期の唐様

切妻造本瓦葺の義貞霊馬堂....建立年代不詳(平成十一年(1999)改築)
 
参詣者を迎える新田義貞の霊馬像....鎌倉攻め時にお供した馬で、後生はこの地で余生を送った

本堂境内の石垣の前に建ち並ぶ石碑・石仏などの石造物群
  
笠を乗せた単制六面石幢....文化七年(1810)造立で、六面に六地蔵尊像が浮き彫り/安永九年(1780)造立の丸彫りの地蔵尊石仏/元禄十一年(1698)造立の舟光背型地蔵石仏

10段の階を上ると直ぐ石燈籠と回向柱が立ち、正面に本堂が鎮座

小棟造りの寄棟造銅板葺の本堂....宝暦十二年(1762)の建立、本堂前の石燈籠は正徳二年(1712)造立で増上寺から移築されたもの
 
六注銅板屋根の唐様の常香炉....屋根に6頭、側部に2頭の龍像を施し、炉体と脚部に龍の顔が配されている (同様の常香炉が各堂宇の前に置かれている)/向拝の軒下に下がる鎖樋の下の天水桶は、石塊に十数本の石柱を縦に円状に並べた珍しい形

三間の向拝の方柱上に出三斗、水引虹梁上に格狭間風に彫り窪めた板蟇股が乗る....向拝に大きな鰐口が下がる
 
本堂内陣に行基作の本尊千手観音菩薩像を安置....扁額の書は「圓通殿」は?/外陣と内陣が格子で仕切られ、「五七桐」と「輪違い」の紋を入れた幕が下がる....欄間に大きな額絵馬が掲げられている

軒廻りは三軒繁垂木、組物は出組で中備は蟇股、黒塗りの軒支輪がある

大きな鰐口が下がる向拝から眺めた本堂前境内....建物は左が義貞霊馬堂で右は手水舎
 
参詣者から鰐口の大きさが分かる/本堂周囲に擬宝珠高欄付き切目縁を巡らす

本堂後方の欄間に多くの額絵馬、周囲の板壁にマニ車が取り付けられている.....中央に裏観音が鎮座
 
ネパール製のマニ車は「プレイグベル」(祈願用の鐘)と呼ばれ、本堂周囲に108個ある/本堂後方にある「裏観音の由来」の説明板....藤原時代作の本尊と同じ像容の観音菩薩像を祀っている

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