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【滋賀・大津市】第38代天智天皇が天智天皇六年(667)、琵琶湖西岸のこの地に古都・近江大津宮を創建して飛鳥から遷都した。 大津宮に遷都したのは大和政権が天智天皇二年(663)に唐・新羅連合軍に攻められた百済を救援するため水軍を出したが、唐・新羅連合軍と戦った「白村江の戦い」で惨敗、そのため連合軍の日本侵攻への危機が高まり、海に近い難波京や飛鳥では不安なため国土防衛上と考えられている。
天智天皇は皇太子(中大兄皇子)として大化の改新を断行し、第37代斉明天皇没後に称制をとり大津宮に遷都したのち即位した。 大津宮は遷都5年後の天智天皇十一年(672)、皇位継承をめぐって起こった「壬申の乱」により廃都になった。 この由緒に因み、明治三十年(1897)頃から天智天皇を祀る神宮の創建運動が滋賀県民の間に高まり、昭和に入って昭和天皇の勅許を賜わり、皇紀2600年の佳節にあたる昭和十五年(1940)、近江大津宮跡に天智天皇を祭神として創祀された。
社殿は「近江造り」と呼ばれ、山麓の傾斜地に本殿・内拝殿・外拝殿を回廊が囲む造りで、近代神社建築の代表的なものとされる。祭神は天智天皇。
◆時々小雨が降る中、京阪石山坂本線近江神宮前駅から徒歩で近江神宮に向かった。 県道47号線に面した表参道入り口に、樹林を背にして一の鳥居が立つ。 一の鳥居は木造の明神鳥居で、亀腹の上の柱に大きな根巻を設けている。
鳥居をくぐり、深い緑の中に延びる厳かな空気に包まれた広い参道を進むと、数十段の石段の上に木造の二の鳥居が立つ。 中段の境内に立つ鳥居をくぐると、山裾に数基の歌碑・句碑が参詣者を迎えるようにひっそりと立ち並び、その先に大きな屋根の手水舎そして上段の社殿境内への石段がある。 石段の上に建つ鮮やかな朱塗りの楼門を見上げながら上りつめると、門前は静寂につつまれ、神々しい雰囲気が漂っている。
楼門を通して荘厳な外拝殿がみえるが、中央部に大きな唐破風そして左右に翼廊がある割拝殿だ。 石段前の左右に火袋や中台などに装飾彫刻が施された立派な石燈籠が佇み、下側の広い石段の上に大理石で造られた白い狛犬が鎮座する。 狛犬は左右いずれも阿形像で、左が子取り、右が玉取り。 石段左手に、約4000年前の古代中国で使われていたとされる龍の姿をした「古代火時計」の模型がある。
石段を上って外拝殿に。 外拝殿は中央入口に大きな唐破風、左右に翼廊を設けた割拝殿の造り。 中央の通り抜け通路は全て唐破風の天井で、4本の梁の中央に天井の荷重を受ける大瓶束を配している。 外拝殿で振り返って見ると、深緑を背にして朱塗りの楼門が神々しく鎮座している。
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△県道47号線に面した近江神宮の表参道の入口
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△入り口に立つ「近江神宮」の社号標石/一の鳥居の木製明神鳥居....鳥居は亀腹の上に大きな根巻を設け、額束に社号額がない....奥に続く広い表参道
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△表参道の途中の石段の上に建つ二の鳥居の木製明神鳥居/二の鳥居を通して眺めた境内には現代建立の石碑群が建ち並び、右奥に手水舎がある
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△表参道の山裾に立ち並ぶ現代建立の歌碑・句碑群....手前左は平成二十年(2008)建立の「高市黒人歌碑」
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△切妻造銅板葺の大きな屋根の手水舎....屋根を支える四方の柱に各々2本の補強柱がある....右隣に切妻屋根を乗せた由緒高札がある
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△自然石を用いた手水鉢....上部を掘り窪めて水溜を作っている/清水を吐き出す3本爪の龍の水口
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△手水舎の右隣に切妻造銅板葺屋根の由緒高札があり、樹林の間に社殿境内への石段がある
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△石段上の社殿境内の入口に建つ鮮やかな朱塗りの楼門
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△入母屋造銅板葺の三間三戸の楼門
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△軒廻りは二軒繁垂木、組物は三手目が尾垂木の三手先で中備は中央間に蟇股、脇間は間斗束....軒天井と蛇腹支輪がある
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△上層の周囲に組高欄付き切目縁を巡らす....切目縁を支える腰組は三手先
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△楼門を通して眺めた外拝殿
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△入母屋造銅板葺の外拝殿....昭和十五年(1940)建立
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△外拝殿の石段下に狛犬、石燈籠、古代日時計
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△両方共阿形の大理石製狛犬....左は子取りの狛犬/右は玉取りの狛犬
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△見事な装飾が施された平成二年(1900)造立の石燈籠(皇紀2640年の銘がある)
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△古代火時計.....古代中国(約4000年前)で使われていたと伝えられる....昭和五十四年(1979)ロレックス社が奉納
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△石燈籠越しに眺めた割拝殿造りの外拝殿
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△通り抜けできる中央部に大きな唐破風、左右に翼廊がある
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△翼廊は組高欄付き縁を巡らし、前面は全て蔀戸
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△外拝殿の中央の通り抜け通路は全て唐破風天井....架かる4本の梁の中央に天井の荷重を受ける大瓶束を配している/左右翼廊側の梁の中央に脚間に彫刻を配した本蟇股を乗せている
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△外拝殿を通して眺めた内拝殿
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△外拝殿から眺めた楼門
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