何気ない風景とひとり言

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日本民家園-(1) (川崎)

2017年05月04日 | 史跡探訪-日本編

【神奈川・川崎市】川崎市立日本民家園は古民家の野外博物館で、「急速に姿を消しつつある江戸時代の古民家を後世に残す」ことを目的に生田緑地に造園され、昭和四十二年(1967)に開園された。
園内は現在、「宿場」「信越の村」「関東の村」「東北の村」「神奈川の村」の5つのエリアからなるが、開園当時は「信越の村」と「神奈川の村」の2エリアのみで、移築されていたのは僅か三棟(伊藤家・清宮家・野原家の旧住宅)だった。 昭和四十年(1965)の『旧伊藤家住宅』の移築に始まり、昭和四十八年(1973)に『船越の舞台』の移築が行われて現在の敷地が完成した。

某文化会館で入手した神奈川県の史跡資料で川崎市立日本民家園のことを知り、四月後半の晴れた日に訪問した。 長年神奈川県で暮らしているが、この日本民家園については全く知らなかった。
3つある門のうちの正門から入園した。 最初の古民家は『旧原家住宅』で、その先の「宿場」エリアには3棟の古民家と『佐地家門・供待』があるが、旅籠(馬宿)に『旧鈴木家住宅』に足を踏み入れた途端、江戸時代にタイムスリップしたような感覚になる。 『旧鈴木家住宅』の前向かいには商家の『旧井岡家住宅』があり、店頭前に品物を並べた折り畳み式の「揚見世」がり興味深い。
一段高い所にある佐地家門をくぐると無数の石が置かれた板葺屋根の『旧三澤家住宅』(商家)があるが、耐震補強工事中とのことで持ち上げられて宙に浮いた状態にあった。
「宿場」エリアを過ぎると「信越の村」に入り、右手の低い高台に『水車小屋』がある。 『水車小屋』に直径約4メートルの上掛け式水車で取り付けられているが、水の流れがなく動かずなのが残念だった。 ただ、『水車小屋』の周辺に一石六地蔵・庚申塔・馬頭観音・道祖神など多くの石仏が入園者を見守るように佇んでいて癒された。

■正門■ 切妻造桟瓦葺で身舎に桟瓦葺の裳腰を付けている
 
「日本の民家」の展示室..平場、山地、海辺、町それぞれの古民家の違いが分かり興味深い

■旧原家住宅(市重歴)-住宅■ 入母屋造桟瓦葺で木造二階建(一部下屋、銅板葺)..明治四十四年(1911)建築..旧所在地は川崎市中原区

正面の式台に桟瓦葺唐破風、庇桟瓦葺屋根、東脇に切妻造銅板葺中門と板塀その奥は座敷から眺める庭園
 
土間から眺めた「上り間」                      「上り間」から見た「中の間」と「座敷」
  
座敷の前庭に鎮座する石祠..正面屋根は唐破風/敷地内に置かれた「石橋」..明和九年(1722)造立

■旧鈴木家住宅(県重文)-旅籠(馬宿)■ 前部は寄棟造茅葺、後部は入母屋造茅葺(一重、一部二階)..19世紀初期建築..旧所在地は福島県福島市
  
「馬宿」の看板..馬商人や馬方を泊めた旅籠/深い軒下は「せがい造」..一階は格子窓/窓は上に揚げて開く「揚戸」

街道に面した前部は中二階..建屋前部と後部に榑板葺の庇付..庇付馬屋あり

■旧井岡家住宅(県重文)-商家■ 切妻造桟瓦葺(一重、一部二階)..17世紀末期~18世紀初期建築..旧所在地は奈良県奈良市
  
店頭前に折り畳み式の「揚見世」..この上に品物を並べた/井岡の字が入った暖簾/黒漆喰塗りの竈

正面に桟瓦葺庇が設けてある

■旧佐地家門・塀・供待(市重歴)■ 切妻造り桟瓦葺の棟門と塀、左に入母屋造桟瓦葺の門番部屋と供待..19世紀初期建築..旧所在地は愛知県名古屋市

棟門左の白壁の格子窓は門番部屋..家門はもとは武家屋敷の出入口
  
塀は土壁・腰下見板張りで屋根は桟瓦葺             門番部屋に置かれた長持(行李?)

■旧三澤家住宅(県重文)-商家■ 切妻造石置板葺(一重、一部二階)で耐震補強工事中..19世紀中期建築..旧所在地は長野県伊那市
 
正面に門(桟瓦葺)・塀(板塀)付..背面に庇付..無数の石が置かれた石置板葺

■水車小屋(市重歴)■ 寄棟造茅葺で妻入..19世紀中期建築..旧所在地は長野県長野市
 
水流の取入れは上掛け式水車で、車輪の直径は約3.6メートル

小屋内は左から粉挽、精米臼、わら打ちが設置

水車小屋傍に鎮座する舟形一石六地蔵(左)..右は合掌する舟形一石三仏
  
寛政十二年(1800)造立の青面金剛庚申塔/享和二年(1802)造立の地蔵菩薩像/舟形光背の弘法大師像は巡礼道道標

水車小屋傍に鎮座する3基の馬頭観音石像
 
寛政三年(1791)造立の舟形馬頭観音石像  舟形馬頭観音石像

水車小屋前の園内道脇に佇む3基の石仏..旧所在地はいずれも長野県南佐久郡
 
道祖神                 万延元年(1860)造立の自然石文字庚申塔
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