児童の心身を鍛錬する場でもあった国民学校 身体検査と称するものが重要視された戦時中の話。
爺の出身校H国民学校も検査当日は、学校医のM先生が隣村から人力車でやってくる。
検査内容は身長 体重 視力などの測定 校医による診察とお決まりのコース。
眼鏡を鼻の先まで下げて一通りの聴診の後 胸部をたたいて「栄養 可」 次に背中を撫でて「脊柱 正」 今度は瞼をひっくり返して「眼疾なし」 最後に「はい よし」の一声で終わる簡単な診察である。傍らで養護の先生が記録をとっていたようだ。
田舎の発音なので 「い」を「え」と 「し」を「す」と読み替え、静かに、ゆっくりと、少々震え声で唱えるとM先生の雰囲気に近くなる。
M先生 生徒から好かれ、特徴もあるので意味も分からずに口調の物まね、そっくさんもいたな。
今時 こんな診察風景はないだろう。 穏やかな、おじいちゃん先生を思い出したので。