まだ考えがまとまっていないが,Weston 氏の興味深い論文に触発されて考えたことの一つを記しておく。
ベクトル空間 X があり,X のベクトルに対して実数(たぶん複素数でもよい)を対応させる線形汎関数 f があるとする。
このとき,f が何であれ,X 上で定義されるノルムの中に,f が連続(つまり有界)になるようなものが必ず1つは存在することが示せる,ような気がする。
※ 続きを書いていて,やはり気のせいだったことが判明した。
昼食後にぼんやり線形汎関数のことを考えていたら,線形汎関数とノルムはかなり似た性質を持っていることに気づいた。
しかし,線形汎関数自体はもちろんノルムではない。最大の違いは一般に負の値も必ず取ることである。
そこまで考えたとき,ひょっこり,では 0 以上の値しか出てこないように絶対値を取ればどうかと思いついた。
f の線形性から,ノルムの公理のほとんどが満たされることは自明である:
|f(0)|=|0|=0,
|f(kx)|=|kf(x)|=|k||f(x)|,
|f(x+y)|=|f(x)+f(y)|≦|f(x)|+|f(y)|.
しかし,一つだけ一般に保証されない公理がある。それは
|f(x)|=0 ならば x=0 が言える
という性質である。これは言い換えれば f の null space f-1(0) が一般には 0 以外のベクトルも含んだ X の1次元以上の部分空間になるからである。
ちなみに,なんとなくだが,
(△)ある線形汎関数 f で,f(x)=0 ならば x=0 が言えるようなものが存在したら,X はたかだか1次元である
ことが言えるような気がする。これは,少なくとも有限次元なら
dim(X)=dim(ker(f))+dim(img(f))
が成り立つので,仮定から dim(ker(f))=dim({0})=0 で,しかも f は実数への写像だから dim(img(f))≦dim(R)=1 なので,dim(X)≦1 がわかる。X が無限次元かもしれないという設定の下ではこの等式が使えないかもしれないので修正が必要かもしれない。修正しなくてもよいかもしれない。恥ずかしながら,今の僕にはなんともわからない。
最初の設定に話を戻そう。f=0 だとこれは X にどんなノルムが入っていようともそのノルムに関して連続だから,f≠0 の場合を考える。
f≠0 のとき,ker(f)=Y とおく。f は Y の全てのベクトルに対して 0 になってしまうので,Y 上で 0 以外で 0 にならない線形汎関数を補助的に追加して f を補強することを考える。つまりぽっかり空いた Y という穴を埋めようという発想である。
そのような都合の良い線形汎関数 g をどう見出すかというと,Zorn の補題から保証される Y の基底 B をまず用意して,Y の任意の元 y に対し,y を基底 B の有限個の要素の一次結合で表した際
y=αa+βb+...+γc
となったら,・・・,あれ?右辺の係数α,β,・・・,γを利用して g を都合よく定義できると思ったのだが,どうやら勘違いだったようだ。
ボツにすべき記事だが,ちゃんと成り立っているらしい事実(△)も述べたので,気にせず投稿してしまおう。
上のアイデアはぽしゃったので,別のノルムの導入法を検討しなければ・・・。
ベクトル空間 X があり,X のベクトルに対して実数(たぶん複素数でもよい)を対応させる線形汎関数 f があるとする。
このとき,f が何であれ,X 上で定義されるノルムの中に,f が連続(つまり有界)になるようなものが必ず1つは存在することが示せる,ような気がする。
※ 続きを書いていて,やはり気のせいだったことが判明した。
昼食後にぼんやり線形汎関数のことを考えていたら,線形汎関数とノルムはかなり似た性質を持っていることに気づいた。
しかし,線形汎関数自体はもちろんノルムではない。最大の違いは一般に負の値も必ず取ることである。
そこまで考えたとき,ひょっこり,では 0 以上の値しか出てこないように絶対値を取ればどうかと思いついた。
f の線形性から,ノルムの公理のほとんどが満たされることは自明である:
|f(0)|=|0|=0,
|f(kx)|=|kf(x)|=|k||f(x)|,
|f(x+y)|=|f(x)+f(y)|≦|f(x)|+|f(y)|.
しかし,一つだけ一般に保証されない公理がある。それは
|f(x)|=0 ならば x=0 が言える
という性質である。これは言い換えれば f の null space f-1(0) が一般には 0 以外のベクトルも含んだ X の1次元以上の部分空間になるからである。
ちなみに,なんとなくだが,
(△)ある線形汎関数 f で,f(x)=0 ならば x=0 が言えるようなものが存在したら,X はたかだか1次元である
ことが言えるような気がする。これは,少なくとも有限次元なら
dim(X)=dim(ker(f))+dim(img(f))
が成り立つので,仮定から dim(ker(f))=dim({0})=0 で,しかも f は実数への写像だから dim(img(f))≦dim(R)=1 なので,dim(X)≦1 がわかる。X が無限次元かもしれないという設定の下ではこの等式が使えないかもしれないので修正が必要かもしれない。修正しなくてもよいかもしれない。恥ずかしながら,今の僕にはなんともわからない。
最初の設定に話を戻そう。f=0 だとこれは X にどんなノルムが入っていようともそのノルムに関して連続だから,f≠0 の場合を考える。
f≠0 のとき,ker(f)=Y とおく。f は Y の全てのベクトルに対して 0 になってしまうので,Y 上で 0 以外で 0 にならない線形汎関数を補助的に追加して f を補強することを考える。つまりぽっかり空いた Y という穴を埋めようという発想である。
そのような都合の良い線形汎関数 g をどう見出すかというと,Zorn の補題から保証される Y の基底 B をまず用意して,Y の任意の元 y に対し,y を基底 B の有限個の要素の一次結合で表した際
y=αa+βb+...+γc
となったら,・・・,あれ?右辺の係数α,β,・・・,γを利用して g を都合よく定義できると思ったのだが,どうやら勘違いだったようだ。
ボツにすべき記事だが,ちゃんと成り立っているらしい事実(△)も述べたので,気にせず投稿してしまおう。
上のアイデアはぽしゃったので,別のノルムの導入法を検討しなければ・・・。