A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

夜の夢 第五幕

2008-02-10 09:08:39 | たわごと
 ……こんな夢を見た。
 とある駅で乗り換えをしようとしている。この駅で乗り換えをすれば、自宅の最寄り駅まで1本で帰れる。
 しかしその乗り換え経路がやたらに遠い。駅の改装をしたのか、昔改札口として使っていたらしい場所を通り、殺風景な、広告や看板が一つもない、無機質な白い壁の続く乗り換え通路を歩く。

 やがて目的のホームが見えてくる。なんということだ。目的のホームには無数の老婆があふれている。頭の中でざっと考えると400人はいる。駅のホームにあふれかえる400人の老婆。これはまともに乗り換えができそうにない。
 踵を返して別のホームに向かい、ちょうど滑り込んできた電車に乗る。遠回りだが、もう少し先の乗り換え経路から回り込もうという魂胆だ。

 僕は間違いなく電車に乗っていたはずなのに、いつの間にか道路を車で走っている。左側に街路樹が続いたあまり広くない田舎の道だ。すれ違う車も人も全くない。昼なのか夜なのか、季節はいつなのか全く判らない平坦な印象を感じさせる道だ。

 ふと気づくと、僕は木で土が崩れないように止めてある、山道の階段を登っている。目の前に数段上の階段が見えるから、かなり急な階段のようだ。右手、数十メートル下に渓谷が見える。崖っぷちというほどではないが、結構急な傾斜が右手にあり、渓谷の下を流れる川に続いている。川は比較的上流のようで、大きな岩がゴロゴロと転がっているのが見える。

 いつの間にか、僕が歩いていたのは階段ではなく、石や岩を積み上げた仮設の通路のようなものになっている。石の積み上げ方が緩く、そのまま上に載って歩こうとすると、石が崩れて道が崩落しそうである。
 僕は足で石を思いきり蹴る。石は崩れて、そのためしっかりと固定されて、道として機能する。僕がその石に乗ると、次の通路はそのはるか下方にある。どうやって足を乗せようか僕は思案する。下にある次の経路は、また石の積み上げかたが甘く、そのまま乗ると僕の体重で崩れて一緒に渓谷に落ち込むように思える。
 ふと振り返って後ろを見ると、僕は崖の上に支えられた石の上に乗っている。今まで歩いてきた通路はもはやなく、僕は、足元の危うい次の経路に進むべきか、どうすべきかの判断を迫られている。
 振り返って下方を見ると、僕の荷物と、なぜかライディング用の赤いグローブが見える。色のない夢の中で、グローブの赤だけが鮮やかだ。
 なぜこんな危険な状況にはまり込んでしまったのかと考える僕に、急に布団の柔らかさと暖かさの感覚が戻ってくる。よし、もう大丈夫だ。これは夢だったんだ。

 きちんと夢の内容を覚えていて、しかも段階的に覚醒するという珍しいパターンで僕は夢から目覚めたのであった。