A Rider's Viewpoint

とあるライダーのものの見方

代車を返す~やっぱり自分の車はいいな

2008-02-17 17:02:21 | つれづれ
 6ヶ月点検のためディーラーに車を預けていた。
 かわりに借りていたのがオートマチック・トランスミッション(AT)の軽自動車。ディーラーの営業さん曰く「重ステ」の車だった。
 「重ステ」とはパワーステアリング=ハンドルを動かすのに動力のサポートを使わない、「ステアリングの重い車」という意味だ。
 「不便な車で申し訳ありません」といわれたが、なに、こちらはただで車を借りる身である。贅沢なことは言ってられない。預かった車をそれなりに楽しんで運転してやろうと思っていたのだった。

 この軽自動車は「車の原点」みたいな感じだ。遊園地のゴーカートのように、エンジンとタイヤとハンドルという走るための単純な構造で構成され(……とはいえ、ATというのは複雑ですごい仕組みなんだけどね)、それに屋根と窓が着いた車体。窓の開閉も手動だしラジオもAMだけ。本当に「走るだけの箱」というようなシンプルな車体だった。

 キーを回してエンジンをかけ、ギアを「D(ドライブ)」に入れてアクセルを踏み込む。エンジンはうなりをあげてぶぉーんと回り、ゆっくりと車体が動き出している。しかしその速度は遅く、時速40kmの巡航速度に達するには思い切りアクセルを踏み込んでやる必要があるのだった。

 一生懸命に走るこの車に慣れた頃、点検が終わったという連絡がディーラーから入った。
 改めて受け取った自分の車は、代車に比べてみると、やはり格段に進歩している車であると思わざるを得ない。

 それは単にオーディオとかナビゲーションシステムとかの装備のことではない。
 軽く踏み込んだだけで回るエンジン。小さい力では優しく柔らかく、踏み込みを強めると締め付けるようによく利くブレーキ。いや、そのまえに社内に入り、ドアを閉めた瞬間に感じる静寂感。
 車の「車体」としての作り込みの質の高さを感じる。
 それは「走る」という基本性能に加え、人が乗り込んで操作する~その操作のしやすさを車の基本機能として追求して具現化してきた結果というか、いわゆる「マン・マシン・インターフェース」の向上というか。

 それに加え、「走る気にさせる」というような演出がある。ドアキーを解除すると点灯する室内灯と、ブルーにぼんやりと光るメーターパネルのイルミネーション。ドアを閉める厚みのある音と、コクピットと呼びたくなるような程よい閉塞感のある室内。

 なんのことはない、やっぱり自分の気に入って選んだ車だけのことはある。
 ただ単純に、またこの車に乗れることが嬉しいのだな、と改めて思った。

 代車ってのはそんな気分を、自分の車に新鮮な気持ちを味あわせてくれるという意味では、とても刺激的な効果を発揮したようだ。