四月も後半に差し掛かって寒い。
昼過ぎに止むはずの雨が、止みかかりながらシュブシュブと終日降り続く。
井上寿一『理想だらけの戦時下日本』(ちくま新書 2013)
戦前昭和史三部作が終わった井上センセイ、また上梓されて今度は戦中である。
国民精神総動員運動(略して精動運動)について。
叙述がエピソード主体で面白い。戦時下の日本人のありようが、その精神生活においてもいかに現代と似ているか、というようなことをモザイク状に瞭かにしていこうというようなことみたいだけど、そんなことヌキニしても新知見たくさんで愉しめる。
愛国婦人会と国防婦人会とふたつあって、「愛国」のほうは上流階級の、「国防」のほうは庶民階級の婦人団体で両者は仲が悪かった、とか、勤労奉仕には厚生省と文部省の対立があって、社会の平準化をねらう厚生省と高等教育を守ろうとする文部省、とか、さらには勤労奉仕によって深窓の令嬢を戸外にひっぱりだす狙いもあったとか、知らなかったよなあ。
庶民の暮らしにおいて戦争の影響が物資不足という状況であらわれたのは、1939年(昭和14年)の夏以降らしい。ノモンハンの大敗の年だ。
なんか、まだまだ耕作地はあるなあ、と感じた一冊。
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