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川音や「名誉の家」の蕗開く

2013年04月28日 | Weblog


 黄金週間に入らんとして風寒し。
 草取り開始。
 午後お出かけ。

 今泉宜子『明治神宮 「伝統」を創った大プロジェクト』(新潮選書 2013)
 新刊本屋にあっておもしろそうだから買ってしまった。
 著者は明治神宮で研究職にある人らしい。東大出て、就職して、それから国学院入りなおして神道学をやった人のようであるが、いろいろな経歴の人がいるなあ。
 著者が明治神宮の中のひとだけに、ちょっと広報用詳細資料みたいな感じもあるが、面白くサクサク読めてしまった。神宮に関わった人たちの列伝といった書き方がよかったのだと思う。


                   


 彦根藩下屋敷と青山練兵場の跡地である荒蕪地が、大正期をかけて明治天皇を祀る神社となって、ただの野ッ原が人工林として鬱蒼たる森になり、プロ球団の本拠ともなる球場その他を持つ公園地にもなる。まさに創られた伝統の最たるものでもあるが、そこに関わった人たちのありようがとても興味深い。
 個人的には、田澤 義鋪の名が帯にあったので買ってしまったけれど、その他本多静六とか伊藤忠太とか佐野利器とか、気になる名前が次々に。
 そんな彼らにほぼ共通しているのが、みな西洋を見た者であること。西洋留学によって得た知見を明治神宮という「伝統を創る作業」に注ぎ込んでいるわけだ。この辺、例の地方改良運動あたりが透けて見えてくる気もするが、照射角を変えればまた違う面差しをみせる気もする。

 というわけで、愉しい読書でありましたが、明治神宮って一度も行ったことないな。いつか行く機会あるだろうか。


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