「悪禅師」阿野全成の話になる。兄の頼朝が旗揚げしたときに初めに参陣した弟。この時28歳。頼朝は34歳。初めて対面したとき、頼朝は涙を流した。大河の全成とは違って、少し心に闇を持っている、ひねくれた人物になっている。やがて義経も参陣する。22歳だ。反っ歯で、受け口と、一般的に言われている美形には描かれていない。しかし実際そうだったようだ。義経と初めてあった時も頼朝は涙を流した。それを聞いて全成は兄を軽蔑する。
政子には弟の四郎義時、妹の保子(大河では実衣=宮澤エマ)がいる。頼朝は、全成と義経とが必要以上に繋がらないように、政子の妹、保子を嫁にするよう仕向ける。保子は政子や義時のような勝ち気さはなく、天真爛漫で無邪気。父は北条時政で後妻の牧の方(大河ではりく=宮沢りえ)北条の兄弟にとっては継母になり、政子や義時とは反りが合わないが、保子とは合う。頼朝の側女である亀の前(=江口のりこ)に嫉妬した政子が、牧の方に相談したところ、牧の方の一族の者で宗親と言う男をして、亀の前を匿っていた伏見広綱の家を破壊したと言うエピソードが出てくる。怒った頼朝は宗親の髻を切って恥をかかせたという。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を見ているからこそ、演じている俳優を思い出せるので、理解しやすい。ただドラマを知らず読んだら、登場人物の名前さえピンと来ず理解できたか怪しい。
ただドラマと違い阿野全成は、タイトルの悪禅師が表すとおり、野心を持った人物だ。ドラマでは段々悪どくなっていく主人公の北条義時のようだ。頼家を失脚させ自分がめのととなっている、頼朝の弟千万を担ぎ上げようとして、結局(妻の保子や政子、義時たちの)罠にはめられ流罪、そして八田の者により殺害される。
木曽義仲討伐の際、自分は大将に選ばれず、範頼と義経が選ばれた。兄弟のうち年長の自分が選ばれてもよかったはずなのに。保子を通じて政子に頼んだはずだが、保子は全成が大将となったとしても負け戦dw帰ってこないことを心配し、大将にはさせないよう働きかけたようだ。
全成は討ち取られるとき、全てを悟り、何の申し開きもしなかった。あっけない最期だ。
阿野と聞いて思い出すのは、阿野廉子だ。後醍醐天皇の側室であるが、まさに祖先は阿野全成につながる。
「黒雪賦」
梶原景時の話。なぜ敵方にいた彼が頼朝からの信頼を得たのか?石橋山での一件で劣勢に立つ頼朝を見逃したからとも噂される。実際は旧知であり、頼朝の側近だった土肥実平と闇夜に出くわす。旧知であったため景時は実平を見逃してやった。その際に頼朝の居場所を尋ねたが、それだけは聞かないで欲しいと頼まれた。景時は後で知るのだが、実平と頼朝は一緒にいたのだった。実平を助けたことは頼朝を助けたと同じ意味なのだ。やがて頼朝側が勝利した後、敵対者はほとんどが処罰されたが、実平のとりなしにより景時は降人としてではなく御家人として迎えられる。
初めて頼朝に接見したときの印象は良くなかった。しかし頼朝の家人になった以上は、過去のいきさつは一切口にしないと心に誓う。
頼朝は広常に傲岸な振る舞いに対するときに、薄い笑みを浮かべることがよくある。それを景時はいらだたしげに思っていた。武家の棟梁としてもっと毅然とすべきではと。やがてそれは頼朝自身が自分に不甲斐なさを感じるときにそんな笑みを浮かべることに気づく。そこで景時は広常を何とかしなければと思うようになり、それとなく頼朝に何とかしようと考えていると言うことを匂わせる。そして、2章でいきなり、例の景時が広常を双六に誘い、その機会に誅殺(と濡れ衣を着せ)してしまう。実は広常は神社に頼朝の先勝祈願をしていたことから潔白であることを家中の者から訴えられていた。頼朝は景時の匂わせに合意していたくせに、自分は間違った情報を伝えられていたとごまかす。景時は嵌められたと感じた。
頼朝が生きているときに、畠山重忠(大河では中村大志)が反抗的だった。それを梶原景時は快く思っていない。全く頼朝に敬う気持ちのない景時は、重忠を処分しようと考えていた。
景時は結局、いらだたしいと思いながらも頼朝の意志を代弁しようとしていた。自分の権力のためではく、天下を取ろうと思ったわけでもなく。
「いもうと」
保子(宮澤エマ)24歳は政子(小池栄子)25歳とひとつ違いの妹。四郎義時は19歳で義時(小栗旬)の方がかなり年下の弟となる。牧の方(宮沢りえ)と、政子や義時とは仲が悪いが、保子はなぜか合うようだ。
政子は、かなり年下の18歳の妹高子を下野一の豪家である足利太郎義兼に嫁がせようとする。保子を差し置いて。それがなぜと思う保子だが気にしなかった。次にその妹の元子と稲毛重成との婚約。次にはさらに妹の12歳の栄子と畠山重忠の縁談が進められていた。保子を差し置いて。
「覇樹」
時政が始めに登場。頼朝が急死し頼家が後を継ぐ。頼家には比企が関係を強め、北条は相対的に弱くなっていく。頼家のめのとが比企であり、比企の娘が頼家に嫁いでいる。また梶原景時も頼家のめのとである。阿野全成の策によりまず景時が排除される。全成は次に比企を排除しようとするが、何かしくじり、比企に捕えられ斬首される。
足利義氏という足利姓の人物が出てくる。この頃から足利家というのが出てきていたのだ。
「悪禅師」
20220831読み始め
20220905読了
「黒雪賦」
20220914読み始め
20220919読了
「いもうと」
20220920読み始め
20220923読了
「覇樹」
20220928読み始め
20221002読了