『シルヴィ・ギエム 最後のボレロ』と銘打ち、
《チャイコフスキー記念東京バレエ団ジャパンツアー2005》として 22公演/全国14ヶ所を巡る公演です。
ギエムのボレロが最後! となったら これは触手をそそられるわ☆...と 公演プログラムを見ると、以前首藤康之が踊った『ボレロ』を観に行った時と同じものが AプロとBプロに 半分ずつに別れて入っているのです。ふふ...巧いことを...東京バレエ団め...(^^;) どうしようかなぁ...と 思っていたら 追加公演の情報が 入って来ました。い~じゃない‘Cプロ’というわけで...
昨日、東京文化会館に行って参りました。
【Cプロ】
★ スプリング・アンド・フォール ★
振り付け:ジョン・ノイマイヤー 音楽:A・ドヴォルザーク
小出領子 後藤晴雄
高村順子 高橋竜太 門西雅美 古川和則 加藤文 平野玲 他
★ 小さな死 ★
振り付け:イリ・キリアン 音楽:W.A.モーツァルト
シルヴィ・ギエム マッシモ・ムッル
★ シンフォニー・イン・D ★
振り付け:イリ・キリアン 音楽:ヨーゼフ・ハイドン
井脇幸江 木村和夫 門西雅美 氷室友 田中結子 小笠原亮 他
★ ボレロ ★
振り付け:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル
シルヴィ・ギエム
木村和夫 平野玲 古川和則 大嶋正樹
他
一度は その踊る姿を生で観たいと 思いつつも、何を観るのがベストかしら...予算に限りの在る身としては つい慎重になり...やっとやっと念願叶って 今回初めて観ることになったダンサー シルヴィ・ギエム───
今回のプログラムの中で『ボレロ』に期待を寄せて行ったのは もちろんなのですが、イリ・キリアンがギエムの為に振り付けたと噂に聞く『小さな死』これも楽しみ☆ とは 思っていたのです。思ってはいたのですが...これはもう 始まるやいなや 全身に鳥肌が立ち始め寒気さえしてくるほど...それほどギエムというダンサーは、凄いダンサーでした。
二重関節の持ち主 六時六分のポーズ...彼女の人間離れしたテクニックは あまりにも有名ですが、その人並み外れたテクニックが テクニックの羅列やアクロバティックに走るのでなく 高い芸術性に裏打ちされている...そこが感動を呼ぶのでしょう。『小さな死』というタイトルも 根底にあるテーマも 何にも知らなくても そんなことに関係なく 気持ちに直接訴えかけてくる...観ているうちに目が潤んでくる様な強いエネルギーを感じる そんなダンサーなのです。
プログラムのトリを飾った『ボレロ』は、首藤氏とは又違った素晴らしさがあって、アンコールの拍手は鳴りやむことを知りませんでした。場内が総立ちになる中、隣の殿は ギエムに手を振っていました(これっ! 向こうからは見えないのよ!)。彼の母親は、ディズニーランドのエレクトリカル・パレードで ミッキー ミニーに 一生懸命手を振っていましたから 遺伝でしょうか...。
ギエムの出ていない 他の二本に関しても どちらも面白く『シンフォニー・イン・D』などは、笑いの起きる楽しい作品でした。実に充実したプログラムであったといえます。
さて、『ボレロ』についての説明を少ししておきたいのですが、私の言葉で だらだら書くより パンフレットの文章を そのまま引用した方が良さそうです。
******************************************
装飾的な要素を一切排除し、赤い円卓の上の‘メロディ’と 周囲を取り囲む‘リズム’とが ラヴェルの音楽を大胆に象徴するこの作品は、その簡潔さ故に 踊り手によって作品自体が形を変える。ある時は美の女神とその媚態に惑わされる男たちの繰り広げる‘欲望の物語’、ある時は異教の神の司る‘儀式’......。聖と俗との間を往き来し、踊り手の本質をさらけだすこの作品は、1960年の初演以来、多様な姿を見せてきた。
演出もさまざまであり、初演の際は‘メロディ’の女性を取り巻いて‘リズム’の男性たちが配された。やがて、男性の‘メロディ’と女性の‘リズム’、そして‘メロディ’‘リズム’共に男性が踊る演出が生まれている。
「このあまりにもよく知られた曲が、いつも新鮮に聞こえるのは、その単純さ故である。スペインというよりむしろ東洋にその源を持つメロディは、メロディそのものの上に更に渦を巻いてゆく。しなやかで女性的 かつ情熱的なものを象徴する。このメロディは必然的に単調なものとなっている。男性的なリズムは常に一定のものを保ちつつ、その量と勢いを増すことによって、音の空間をむさぼり、ついにはメロディをも呑みこんでしまうのである」1982年 モーリス・ベジャール
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蛇足ですが、このベジャール振り付けの『ボレロ』は、ベジャールが許した一握りのダンサーしか‘メロディ’を踊ることが出来ません。そして、日本で唯一 その上演権を持っている東京バレエ団に移籍してきた上野水香が、ヨーロッパ公演での『ボレロ』デビューを果たし、来年4月には いよいよ日本でのお披露目となります。あらゆる面で ポスト・ギエムと目されている彼女ですが、彼女の『ボレロ』に足を運ぶのは もう少し先のことと致しましょう。
さて『ボレロ』といえば...数年前の大晦日 年越しの企画として、熊川哲也氏の踊る『ボレロ』が テレビで放送されましたが、この時の『ボレロ』は、同じラヴェルの曲を使いながらも 振り付けはローラン・プティという、ベジャールのものとは もちろんながら全く別の作品です。しかし、これはこれで 興味ある振付家の作品でしたから 観たいと思っていたのですが、ビデオを録り損ねて 未だ観るに至っておりません。当分 再演もなさそうですし、観る手段としてはDVDを買うしかないのかな...(レンタル屋にあるはずもなく...)。
《チャイコフスキー記念東京バレエ団ジャパンツアー2005》として 22公演/全国14ヶ所を巡る公演です。
ギエムのボレロが最後! となったら これは触手をそそられるわ☆...と 公演プログラムを見ると、以前首藤康之が踊った『ボレロ』を観に行った時と同じものが AプロとBプロに 半分ずつに別れて入っているのです。ふふ...巧いことを...東京バレエ団め...(^^;) どうしようかなぁ...と 思っていたら 追加公演の情報が 入って来ました。い~じゃない‘Cプロ’というわけで...
昨日、東京文化会館に行って参りました。
★ スプリング・アンド・フォール ★
振り付け:ジョン・ノイマイヤー 音楽:A・ドヴォルザーク
小出領子 後藤晴雄
高村順子 高橋竜太 門西雅美 古川和則 加藤文 平野玲 他
★ 小さな死 ★
振り付け:イリ・キリアン 音楽:W.A.モーツァルト
シルヴィ・ギエム マッシモ・ムッル
★ シンフォニー・イン・D ★
振り付け:イリ・キリアン 音楽:ヨーゼフ・ハイドン
井脇幸江 木村和夫 門西雅美 氷室友 田中結子 小笠原亮 他
★ ボレロ ★
振り付け:モーリス・ベジャール 音楽:モーリス・ラヴェル
シルヴィ・ギエム
木村和夫 平野玲 古川和則 大嶋正樹
他
一度は その踊る姿を生で観たいと 思いつつも、何を観るのがベストかしら...予算に限りの在る身としては つい慎重になり...やっとやっと念願叶って 今回初めて観ることになったダンサー シルヴィ・ギエム───
今回のプログラムの中で『ボレロ』に期待を寄せて行ったのは もちろんなのですが、イリ・キリアンがギエムの為に振り付けたと噂に聞く『小さな死』これも楽しみ☆ とは 思っていたのです。思ってはいたのですが...これはもう 始まるやいなや 全身に鳥肌が立ち始め寒気さえしてくるほど...それほどギエムというダンサーは、凄いダンサーでした。
二重関節の持ち主 六時六分のポーズ...彼女の人間離れしたテクニックは あまりにも有名ですが、その人並み外れたテクニックが テクニックの羅列やアクロバティックに走るのでなく 高い芸術性に裏打ちされている...そこが感動を呼ぶのでしょう。『小さな死』というタイトルも 根底にあるテーマも 何にも知らなくても そんなことに関係なく 気持ちに直接訴えかけてくる...観ているうちに目が潤んでくる様な強いエネルギーを感じる そんなダンサーなのです。
プログラムのトリを飾った『ボレロ』は、首藤氏とは又違った素晴らしさがあって、アンコールの拍手は鳴りやむことを知りませんでした。場内が総立ちになる中、隣の殿は ギエムに手を振っていました(これっ! 向こうからは見えないのよ!)。彼の母親は、ディズニーランドのエレクトリカル・パレードで ミッキー ミニーに 一生懸命手を振っていましたから 遺伝でしょうか...。
ギエムの出ていない 他の二本に関しても どちらも面白く『シンフォニー・イン・D』などは、笑いの起きる楽しい作品でした。実に充実したプログラムであったといえます。
さて、『ボレロ』についての説明を少ししておきたいのですが、私の言葉で だらだら書くより パンフレットの文章を そのまま引用した方が良さそうです。
装飾的な要素を一切排除し、赤い円卓の上の‘メロディ’と 周囲を取り囲む‘リズム’とが ラヴェルの音楽を大胆に象徴するこの作品は、その簡潔さ故に 踊り手によって作品自体が形を変える。ある時は美の女神とその媚態に惑わされる男たちの繰り広げる‘欲望の物語’、ある時は異教の神の司る‘儀式’......。聖と俗との間を往き来し、踊り手の本質をさらけだすこの作品は、1960年の初演以来、多様な姿を見せてきた。
演出もさまざまであり、初演の際は‘メロディ’の女性を取り巻いて‘リズム’の男性たちが配された。やがて、男性の‘メロディ’と女性の‘リズム’、そして‘メロディ’‘リズム’共に男性が踊る演出が生まれている。
「このあまりにもよく知られた曲が、いつも新鮮に聞こえるのは、その単純さ故である。スペインというよりむしろ東洋にその源を持つメロディは、メロディそのものの上に更に渦を巻いてゆく。しなやかで女性的 かつ情熱的なものを象徴する。このメロディは必然的に単調なものとなっている。男性的なリズムは常に一定のものを保ちつつ、その量と勢いを増すことによって、音の空間をむさぼり、ついにはメロディをも呑みこんでしまうのである」1982年 モーリス・ベジャール
蛇足ですが、このベジャール振り付けの『ボレロ』は、ベジャールが許した一握りのダンサーしか‘メロディ’を踊ることが出来ません。そして、日本で唯一 その上演権を持っている東京バレエ団に移籍してきた上野水香が、ヨーロッパ公演での『ボレロ』デビューを果たし、来年4月には いよいよ日本でのお披露目となります。あらゆる面で ポスト・ギエムと目されている彼女ですが、彼女の『ボレロ』に足を運ぶのは もう少し先のことと致しましょう。
さて『ボレロ』といえば...数年前の大晦日 年越しの企画として、熊川哲也氏の踊る『ボレロ』が テレビで放送されましたが、この時の『ボレロ』は、同じラヴェルの曲を使いながらも 振り付けはローラン・プティという、ベジャールのものとは もちろんながら全く別の作品です。しかし、これはこれで 興味ある振付家の作品でしたから 観たいと思っていたのですが、ビデオを録り損ねて 未だ観るに至っておりません。当分 再演もなさそうですし、観る手段としてはDVDを買うしかないのかな...(レンタル屋にあるはずもなく...)。