熊野の神々の地に


















     熊野三山とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、そして熊野那智大社の三つの
     神社の総称である。山深いこの熊野は、古来修験道の修行の地であり、夫々の
     神を祀っていたが、それはやがて三社共通の祭神とされた。仏教の伝来以来、
     他の神社と同様、神仏習合が行われ、夫々の神の本地佛が定められるとともに、
     熊野の神は、熊野三所権現(または十二所権現)と呼ばれるようになる。
     平安時代の後期、阿弥陀信仰の拡がりにより、熊野の地は浄土と見なされ、都
     より上皇の参詣が頻繁となり、参詣道としての熊野街道が発展する。やがて、
     念仏聖や比丘尼などが民衆に熊野信仰を広めるとともに、修験者によって組織
     された日本全国からの参拝が、「蟻の熊野詣で」と呼ばれるほどに盛んとなる。
     そして、この熊野信仰は、江戸時代後期の紀州藩による神仏分離政策、それに
     続く明治の神仏分離令により衰退をむかえるこになるのである。
     2004年に、「紀伊山地の霊場と参詣道」として、高野山などとともにユネスコの
     世界遺産(文化遺産)に登録された。日本国内、近隣のアジア諸国の人々を含め、
     多くの観光客が訪れる地となった。熊野の山深く鎮座した神々は、いかに思し召す
     かと・・ふと思う。

     (関西に所用があり、ついでにちょっと足を伸ばして、熊野本宮大社、熊野那智
      大社、そして那智大社近くの那智の瀧を、駆け足で訪れました。
      熊野本宮大社は、鬱蒼とした杉の囲まれ、日本の神社特有の清清しさをもって
      います。那智の瀧、それ自体ご神体です。水は少なめでしたが、さすがに雄大。
      写真は、下手な絵ハガキの領域を出ないのは、致し方ないでしょうか・・。)
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