カナ文字文庫(漢字廃止論)

日本文学の名作などをカナ書きに改めて掲載。

ゲンダン 2

2014-03-06 | コウダ ロハン
 ウミ には ユウセン は もとより、 なんの フネ も みわたす かぎり みえない よう に なって いました。 キチ は ぐいぐい と こいで ゆく。 あまり おそく まで やって いた から、 まずい シオ に なって きた。 それ を エド の ほう に むかって こいで ゆく。 そうして だんだん やって くる と、 オカ は もう くらく なって エド の カタ はるか に ちらちら と ヒ が みえる よう に なりました。 キチ は おいて も うまい もん で、 しきり と カラダ に チョウシ を のせて こぎます。 トマ は すでに とりのけて ある し、 フネ は ずんずん と でる。 キャク は する こと も ない から、 しゃんと して、 ただ ぽかん と ウミヅラ を みて いる と、 もう ウミ の サザナミ の チラツキ も だんだん と みえなく なって、 あまずった ソラ が ハジメ は すこし アカミ が あった が、 ぼうっと ウスズミ に なって まいりました。 そういう とき は ソラ と ミズ が イッショ には ならない けれども、 ソラ の アカルサ が ウミ へ とけこむ よう に なって、 ハンシャ する キミ が ヒトツ も ない よう に なって くる から、 ミズギワ が そうぼう と うすぐらくて、 ただ ミズギワ だ と いう こと が わかる くらい の ハナシ、 それでも ミズ の ウエ は あかるい もの です。 キャク は なんにも ショザイ が ない から エド の あの ヒ は どこ の ヒ だろう など と、 エド が ちかく なる に つけて エド の カタ を み、 それから ずいと ヒガシ の カタ を みます と、 ――イマ こいで いる の は すこし でも シオ が カミ から おす の です から、 ミヨ を はずれた、 つまり ミズ の テイコウ の すくない ところ を こいで いる の でした が、 ミヨ の ほう を ひょいっと みる と いう と、 くらい と いう ほど じゃ ない が、 よほど こい ネズミ に くれて きた、 その ミズ の ナカ から ふっと ナニ か でました。 はてな と おもって、 そのまま みて いる と また ナニ か が ひょいっと でて、 コンド は すこし ジカン が あって また ひっこんで しまいました。 ヨシ か アシ の よう な タグイ の もの に みえた が、 そんな もの なら たいら に ミズ を ういて ながれる はず だし、 どうしても ほそい ボウ の よう な もの が、 ミョウ な チョウシ で もって、 ついと でて は また ひっこみます。 なんの ヒツヨウ が ある では ない が、 ガテン が ゆきませぬ から、
「キチ や、 どうも あすこ の ところ に ヘン な もの が みえる な」 と ちょっと コエ を かけました。 キャク が じっと みて いる その メ の ユクエ を みます と、 ちょうど その とき また ひょいっと ほそい もの が でました。 そして また ひっこみました。 キャク は もう イクド も みました ので、
「どうも ツリザオ が ウミ の ナカ から でた よう に おもえる が、 ナン だろう」
「そう で ござんす ね、 どうも ツリザオ の よう に みえました ね」
「しかし ツリザオ が ウミ の ナカ から でる わけ は ねえ じゃ ねえ か」
「だが ダンナ、 タダ の タケザオ が シオ の ナカ を ころがって いく の とは ちがった チョウシ が ある ので、 ツリザオ の よう に おもえる の です ね」
 キチ は キャク の ココロ に いくらでも ナニ か の キョウミ を あたえたい と おもって いた とき です から、 フネ を うごかして その ヘン な もの が でた ほう に むける。
「なに、 そんな もの を、 オマエ、 みた から って シヨウ が ねえ じゃ ねえ か」
「だって、 アッシ にも わからねえ おかしな もん だ から ちょっと コウガク の ため に」
「ははは、 コウガク の ため に は よかった な、 ははは」
 キチ は キャク に かまわず、 フネ を そっち へ もって ゆく と、 ちょうど トタン に その ほそながい もの が イキオイ よく おおきく でて、 キチ の マッコウ を うたん ばかり に あらわれた。 キチ は ちゃっと カタテ に うけとめた が、 シブキ が さっと カオ へ かかった。 みる と たしか に それ は ツリザオ で、 シタ に ナニ か いて ぐいと もって ゆこう と する よう なので、 なやす よう に して テ を はなさず に、 それ を すかして みながら、
「ダンナ これ は ツリザオ です、 ノボテイ です、 いい もん の よう です」
「ふむ、 そう かい」 と いいながら、 その サオ の ネ の ほう を みて、
「や、 オキャクサン じゃ ねえ か」
 オキャクサン と いう の は デキシシャ の こと を もうします ので、 それ は リョウ や なんか に でる モノ は ときどき は そういう ホウモンシャ に であいます から もうしだした コトバ です。 イマ の バアイ、 それ と みさだめました から、 なにも うれしく も ない こと ゆえ、 「オキャクサン じゃ ねえ か」 と、 「はなして しまえ」 と いわぬ ばかり に もうしました の です。 ところが キチ は、
「ええ、 ですが、 いい サオ です ぜ」 と、 たらぬ アカルサ の ナカ で ためつ すかしつ みて いて、
「ノボテイ の マル でさあ」 と つけたした。 マル と いう の は ツナギザオ に なって いない もの の こと。 ノボテイダケ と いう の は もうす まで も なく ツリザオ-ヨウ の よい もの で、 タイガイ の ツリザオ は ノボテイ の グアイ の いい の を ホカ の タケ の サキ に つないで ホダケ と して つかいます。 マル と いう と、 ヒトサオ ゼンブ が それ なの です。 マル が よい わけ は ない の です が、 マル で いて チョウシ の よい、 つかえる よう な もの は、 マレモノ で、 つまり よい もの と いう わけ に なる の です。
「そんな こと いったって ほしかあ ねえ」 と とりあいません でした。
 が、 キチ には さっき キャク の サオ を ラリ に させた こと も ふくんで いる から でしょう か、 サオ を とろう と おもいまして、 おらぬ よう に カゲン を しながら ぐいと ひきました。 すると チュウウキ に なって いた オキャクサマ は でて こない わけ には ゆきません でした。 チュウウキ と もうします の は、 スイシシャ に 3 タイ あります、 スイメン に うかぶ の が ヒトツ、 ミナソコ に しずむ の が ヒトツ、 リョウシャ の アイダ が すなわち チュウウキ です。 ひかれて シタイ は ちょうど キャク の ザ の すぐ マエ に でて きました。
「つまらねえ こと を するな よ、 おかえし もうせ と いった のに」 と いいながら、 ソバ に きた もの です から、 その サオ を みまする と いう と、 いかにも グアイ の よさそう な もの です。 サオ と いう もの は、 フシ と フシ と が グアイ よく じゅんじゅん に、 いい ワリアイ を もって のびて いった の が つまり よい サオ の イチ ジョウケン です。 イマ テモト から ずっと あらわれた サオ を みます と、 ヒトメ にも わかる じつに よい もの でした から、 その ブシ も、 おもわず サオ を にぎりました。 キチ は キャク が サオ へ テ を かけた の を みます と、 ジブン の ほう では もちきれません ので、
「はなします よ」 と いって テ を はなして しまった。 サオジリ より ウエ の 1 シャク ばかり の ところ を もつ と、 サオ は ミズ の ウエ に ゼンシン を りん と あらわして、 あたかも メイトウ の サヤ を はらった よう に うつくしい スガタ を みせた。
 もたない うち こそ なんでも なかった が、 テ に して みる と その サオ に たいして ゆうぜん と して アイネン が おこった。 とにかく サオ を はなそう と して 2~3 ド こづいた が、 スイチュウ の ヒト が かたく にぎって いて はなれない。 もう イッスン イッスン に くらく なって ゆく とき、 よく は わからない が、 オキャクサン と いう の は でっぷり ふとった、 マユ の ほそくて ながい きれい なの が わずか に みえる、 ミミタブ が はなはだ おおきい、 アタマ は よほど はげて いる、 まあ 60 ちかい オトコ。 きて いる もの は アサギ の ムモン の モメンチヂミ と おもわれる、 それ に ほそい アサ の エリ の ついた アセトリ を シタ に つけ、 オビ は なんだか よく わからない けれども、 ぐるり と カラダ が うごいた とき に しろい タビ を はいて いた の が メ に しみて みえた。 ヨウス を みる と、 たとえば ボクトウ に せよ 1 ポン さして、 インロウ の ヒトツ も コシ に して いる ヒト の ヨウス でした。
「どう しよう な」 と おもわず コゴエ で いった とき、 ユウカゼ が ヒトスジ さっと ながれて、 キャク は カラダ の どこ か が さむい よう な キ が した。 すてて しまって も もったいない、 とろう か と すれば スイチュウ の ヌシ が イノチガケ で シュウネン-ぶかく にぎって いる の でした。 チュウチョ の サマ を みて キチ は また コエ を かけました。
「それ は ダンナ、 オキャクサン が もって いったって サンズ の カワ で ツリ を する わけ でも ありますまい し、 おとり なすったら どんな もの でしょう」
 そこで また こづいて みた けれども、 どうして なかなか しっかり つかんで いて はなしません。 しんで も はなさない くらい なの です から、 とても しっかり にぎって いて とれない。 と いって ハモノ を とりだして とる わけ にも ゆかない。 コユビ で しっかり サオジリ を つかんで、 ちょうど それ も ホテイダケ の フシ の ところ を にぎって いる から なかなか とれません。 シカタ が ない から シブカワリュウ と いう わけ でも ない が、 わが オヤユビ を かけて、 ぎくり と やって しまった。 ユビ が はなれる、 トタン に センシュジン は シオシモ に ながれて いって しまい、 サオ は こちら に のこりました。 カリソメ ながら たたかった わが テ を ジュウブン に あらって、 フトコロガミ 3~4 マイ で それ を ぬぐい、 そのまま ウミ へ すてます と、 しろい カミダマ は タマシイ で でも ある よう に ふわふわ と ユウヤミ の ナカ を ながれさりまして、 やがて みえなく なりました。 キチ は カエリ を いそぎました。
「ナム アミダブツ、 ナム アミダブツ、 なあ、 いったい どういう の だろう。 ナン に して も オカヅリ の ヒト には ちがいねえ な」
「ええ、 そう です、 どうも みた こと も ねえ ヒト だ。 オカヅリ でも ホンジョ、 フカガワ、 マナベガシ や マンネン の アタリ で まごまご した ヒト とも おもわれねえ、 あれ は カミ の ほう の ムコウジマ か、 もっと カミ の ほう の オカヅリシ です な」
「なるほど カン が いい、 どうも オマエ うまい こと を いう、 そして」
「なあに、 あれ は なんでも ございません よ、 チュウキ に きまって います よ。 オカヅリ を して いて、 ヘン な ところ に しゃがみこんで つって いて、 でかい サカナ を ひっかけた トタン に チュウキ が でる、 ころげこんで しまえば それまで でしょう ね。 だから チュウキ の でそう な ヒト には ヒラバ で ない ところ の オカヅリ は いけねえ と ムカシ から いいまさあ。 もちろん どんな ところ だって チュウキ に いい こと は ありません がね、 ははは」
「そう かなあ」
 それで その ヒ は かえりました。
 イツモ の カシ に ついて、 キャク は サオ だけ もって イエ に かえろう と する。 キチ が、
「ダンナ は アス は?」
「アス も でる はず に なってる ん だ が、 やすませて も いい や」
「いや バカアメ で さえ なければ アッシャア むかえ に まいります から」
「そう かい」 と いって わかれた。
 あくる アサ おきて みる と アメ が しよしよ と ふって いる。
「ああ この アメ を はらんで やがった んで 2~3 ニチ リョウ が まずかった ん だな。 それとも アカシオ でも さして いた の かな」
 ヤクソク は した が、 こんな に アメ が ふっちゃ ヤツ も でて こない だろう と、 その ヒト は ウチ に いて、 しょうことなし の ショケン など して いる と、 ヒル ちかく なった ジブン に キチ は やって きた。 ニワグチ から まわらせる。
「どうも ダンナ、 おで に なる か ならない か あやふや だった けれども、 アッシャア フネ を もって きて おりました。 この アメ は もう じき あがる に ちげえねえ の です から まいりました。 オトモ を したい とも いいだせねえ よう な、 まずい アト です が」
「ああ そう か、 よく きて くれた。 いや、 2~3 ニチ オマエ に ムダボネ を おらした が、 オシマイ に サオ が テ に はいる なんて まあ ヘン な こと だなあ」
「サオ が テ に はいる てえ の は ツリシ にゃ キッチョウ でさあ」
「ははは、 だが まあ アメ が ふって いる うち あ でたく ねえ、 アメ を やませる アイダ あそんで いねえ」
「へい。 ときに ダンナ、 あれ は?」
「あれ かい。 みなさい、 ソトガモイ の ウエ に おいて ある」
 キチ は カッテ の ほう へ いって、 ゾウキンダライ に ミズ を もって くる。 すっかり サオ を それ で あらって から、 みる と いう と いかにも よい サオ。 じっと フタリ は アラタメギミ に くわしく みます。 だいいち あんな に ぬれて いた ので、 おもく なって いる べき はず だ が、 それ が ちっとも ミズ が しみて いない よう に その とき も おもった が、 イマ も おなじく かるい。 だから これ は まったく ミズ が しみない よう に クフウ が して ある と しか おもわれない。 それから フシマワリ の よい こと は ムルイ。 そうして ヘビクチ の ところ を みる と いう と、 シロウト-ザイク に ちがいない が、 まあ ジョウズ に できて いる。 それから いちばん ふとい テモト の ところ を みる と ちょいと サイク が ある。 サイク と いったって なんでも ない が、 ちょっと した アナ を あけて、 その ナカ に ナニ か いれ でも した の か また ふさいで ある。 シッテナワ が ついて いた アト でも ない。 ナニ か わからない。 その ホカ には なんの かわった こと も ない。
「ずいぶん めずらしい いい サオ だな、 そして こんな グアイ の いい かるい ノボテイ は みた こと が ない」
「そう です な、 ノボテイ と いう やつ は がんらい おもい ん で ございます、 そいつ を おもくちゃ いや だ から、 それで クフウ を して、 タケ が まだ ノ に いきて いる うち に すこし キリメ なんか いれましたり、 いためたり しまして、 ジュウブン に そだたない よう に カタッポウ を そういう よう に いためる、 ミギ なら ミギ、 ヒダリ なら ヒダリ の カタホウ を そうした の を カタウキス、 リョウホウ から せめる やつ を モロウキス と いいます。 そうして こしらえる と タケ が じゅくした とき に ヤシナイ が ジュウブン で ない から かるい タケ に なる の です」
「それ は オマエ オレ も しって いる が、 ウキス の タケ は それだから しなびた よう に なって おもしろく ない カオツキ を して いる じゃ ない か。 これ は そう じゃ ない。 どういう こと を して できた の だろう、 シゼン に こういう タケ が あった の かなあ」
 サオ と いう もの の よい の を ほしい と おもう と、 ツリシ は タケ の はえて いる ヤブ に いって ジブン で もって さがしたり えらんだり して、 カイヤクソク を して、 ジブン の ココロ の まま に そだてたり します もの です。 そういう タケ を ダレ でも さがし に ゆく。 すこし ツリ が コウ を へて くる と そういう こと にも なりまする。 トウ の とき に オン テイイン と いう シジン、 これ が どうも ドウラクモノ で コウマン で、 ヒンコウ が わるくて シヨウ が ない ヒト でした が、 ツリ に かけて は コドモ ドウヨウ、 ジブン で もって ツリザオ を えよう と おもって ハイ シ と いう ヒト の ハヤシ に はいりこんで よい タケ を さがした シ が ありまする。 イッケイ たがいに ウチョク し、 ボウキョク また すでに しげし、 と いう ク が ありまする から、 まがりくねった ホソミチ の カヤ や イバラ を わけて、 むぐりこむ の です。 レキジン す センエン の フシ、 センパ す ソウロウコン、 と ありまする から、 いちいち この タケ、 あの タケ と しらべまわった わけ です。 トウ の とき は ツリ が ヒジョウ に おこなわれて、 セツ シ の イケ と いう コンニチ まで ナ の のこる くらい の ツリボリ さえ あった くらい です から、 サオヤ だ とて たくさん ありましたろう に、 トウジ もてはやされた シジン の ミ で、 ジブン で ヤブクグリ なんぞ を して まで も キ に いった サオ を えたがった の も、 スキ の ミチ なら ミ を やつす ドウリ で ございます。 ナカライ ボクヨウ と いう キョウカシ の キョウカ に、 ウラシマ が ツリ の サオ とて クレタケ の フシ は ろくろく のびず ちぢまず、 と いう の が ありまする が、 クレタケ の サオ など あまり カンシン できぬ もの です が、 36 フシ あった とか で おおいに フシ の こと を ほめて いまする、 そんな よう な もの です。 それで シュミ が こうじて くる と いう と、 よい の を さがす の に ウキミ を やつす の も シゼン の イキオイ です。
 フタリ は だんだん と サオ を みいって いる うち に、 あの ロウジン が しんで も はなさず に いた ココロモチ が しだいに わかって きました。
「どうも こんな タケ は ここいら に みかけねえ です から、 ヨソ の クニ の もの か しれません ね。 それ に しろ 2 ケン の ヨ も ある もの を もって くる の も タイヘン な ハナシ だし。 ロウニン の ラク な ヒト だ か なんだか しらない けれども、 カッテ な こと を やって あそんで いる うち に チュウキ が おこった の でしょう が、 ナン に しろ いい サオ だ」 と キチ は いいました。
「ときに オマエ、 ヘビクチ を みて いた とき に、 ナン じゃ ない か、 サキ に ついて いた イト を くるくるっ と まいて ハラガケ の ドンブリ に いれちゃった じゃ ねえ か」
「ええ じゃまっけ でした から。 それに、 ケサ それ を みまして、 それで ワッチ が こっち の ヒト じゃ ねえ だろう と おもった ん です」
「どうして」
「どうして ったって、 ダンダンボソ に つないで ありました。 ダンダンボソ に つなぐ と いう の は、 ハジマリ の ところ が ふとい、 それから しだいに ほそい の また それ より ほそい の と だんだん ほそく して いく。 この メンドウ な ホウ は カシュウ や なんぞ の よう な クニ に いく と、 アユ を つる の に カバリ など つかって つる、 その とき カバリ が うまく ミズ の ウエ に おちなければ まずい んで、 イト が サキ に おちて アト から カバリ が おちて は いけない、 それ じゃ サカナ が よらない、 そこで ダンダンボソ の イト を こしらえる ん です。 どうして こしらえます か と いう と、 ハサミ を もって いって よい ハクバ の オ の グアイ の いい、 コバ に ならない やつ の を チョウダイ して くる。 そうして それ を トウフ の カス で もって ウエ から ぎゅうぎゅう と しだいしだい に こく。 そう する と すきとおる よう に きれい に なる。 それ を 16 ポン、 ミギヨリ なら ミギヨリ に、 サイショ は できない けれども すこし なれる と わけなく できます こと で、 カタヨリ に よる。 そうして ヒトツ こしらえる。 その ツギ に コンド は ホンスウ を へらして、 マエ に ミギヨリ なら コンド は ヒダリヨリ に カタヨリ に よります。 じゅんじゅん に ホンスウ を へらして、 ミギヒダリ を ちがえて、 いちばん シマイ には 1 ポン に なる よう に つなぎます。 アッシ あ カシュウ の オキャク に きいて おぼえました がね、 ニシ の ヒト は カンガエ が こまかい。 それ が ジョウセキ です。 この サオ は アユ を ねらう の では ない、 テグス で やって ある けれども、 うまく コキ が ついて ジュンベラシ に ほそく なって いく よう に して あります。 この ヒト も ソウトウ に ツリ に クロウ して います ね、 きれる ところ を きめて おきたい から そういう こと を する ので、 オカヅリ じゃ なお の こと です、 どこ でも かまわない で ぶっこむ の です から、 ぶちこんだ ところ に カカリ が あれば ひっかかって しまう。 そこで サオ を いたわって、 しかも はやく ラチ の あく よう に する には、 サオ の おれそう に なる マエ に キレドコ から イト の きれる よう に して おく の です。 いちばん サキ の ほそい ところ から きれる わけ だ から それ を サオ の チカラ で わりだして いけば、 サオ に とって は こわい こと も なにも ない。 どんな ところ へ でも ぶちこんで、 ひっかかって いけなく なったら サオ は おれず に イト が きれて しまう。 アト は また すぐ ハリ を くっつければ それ で いい の です。 この ヒト が サオ を ダイジ に した こと は、 ジョウズ に ダンダンボソ に した ところ を みて も はっきり よめました よ。 どうも コユビ で あんな に チカラ を いれて はなさない で、 まあ サオ と シンジュウ した よう な もん だ が、 それだけ ダイジ に して いた の だ から、 ムリ も ねえ でさあ」
など と いって いる うち に アメ が キレカカリ に なりました。 シュジン は ザシキ、 キチ は ダイドコロ へ さがって ヒル の ショクジ を すませ、 おそい けれども 「おでなさい」 「でよう」 と いう ので もって、 フタリ は でました。 むろん その サオ を もって、 そして バショ に ゆく まで に シュジン は あたらしく ジョウズ に ジブン で シカケ を ダンダンボソ に こしらえました。
 さあ でて つりはじめる と、 ときどき アメ が きました が、 マエ の とき と ちがって つれる わ、 つれる わ、 むやみ に チョウシ の よい ツリ に なりました。 とうとう あまり つれる ため に おそく なって しまいまして、 キノウ と おなじ よう な クレガタ に なりました。 それで、 もう ツリ も オシマイ に しよう なあ と いう ので、 ヘビクチ から イト を はずして、 そうして それ を しまって、 サオ は トマウラ に あげました。 だんだん と かえって くる と いう と、 また エド の カタ に ヒ が ちょいちょい みえる よう に なりました。 キャク は キノウ から の こと を おもって、 この サオ を ユビ を おって とった から 「ユビオリ」 と なづけよう か など と かんがえて いました。 キチ は ぐいぐい こいで きました が、 せっせと こいだ ので、 ロベソ が かわいて きました。 かわく と こぎづらい から、 ジブン の マエ の ところ に ある ヒシャク を とって シオ を くんで、 ミ を ミョウ に ねじって、 ぱっさり と ロ の ヘソ の ところ に かけました。 こいつ が エドマエ の センドウ は かならず そういう よう に する ので、 イナカ センドウ の せぬ こと です。 ミ を ねじって たかい ところ から そこ を ねらって しゃっと ミズ を かける、 ちょうど その とき には ヘソ が ウエ を むいて います。 うまく やる もの で、 ウキヨエ-ゴノミ の イキ な スガタ です。 それで キチ が イマ カラダ を ミョウ に ひねって しゃっと かける、 ミ の ムキ を モト に かえして、 ひょっと みる と いう と、 ちょうど キノウ と おなじ くらい の クラサ に なって いる とき、 ヒガシ の カタ に キノウ と おなじ よう に ヨシ の よう な もの が ひょいひょい と みえる。 おや、 と いって センドウ が そっち の ほう を じっと みる、 オモテ の マ に すわって いた オキャク も、 センドウ が おや と いって あっち の ほう を みる ので、 その ほう を みる と、 うすぐらく なって いる ミズ の ナカ から ひょいひょい と、 キノウ と おなじ よう に タケ が でたり ひっこんだり しまする。 はて、 これ は と おもって、 ガテン しかねて いる と いう と、 センドウ も おどろきながら、 ダンナ は キ が ついた か と おもって みる と、 ダンナ も センドウ を みる。 おたがいに なんだか ワケ の わからない キモチ が して いる ところ へ、 キョウ は すこし なまあたたかい ウミ の ユウカゼ が ヒガシ から ふいて きました。 が、 キチ は たちまち つよがって、
「ナン でえ、 コノマエ の とおり の もの が そこ に でて くる わけ は あり あ しねえ、 サオ は こっち に ある ん だ から。 ねえ ダンナ、 サオ は こっち に ある ん じゃ ありません か」
 カイ を みて カイ と せざる ユウキ で、 ヘン な もの が みえて も 「こっち に サオ が ある ん だ から ね、 なんでも ない」 と いう イミ を いった の で あった が、 センドウ も ちょっと ミ を かがめて、 サオ の ほう を のぞく。 キャク も アタマ の ウエ の ヤミ を のぞく。 と、 もう くらく なって トマウラ の ところ だ から サオ が ある か ない か ほとんど わからない。 かえって キャク は センドウ の おかしな カオ を みる、 センドウ は キャク の おかしな カオ を みる。 キャク も センドウ も コノヨ で ない セカイ を アイテ の メ の ナカ から みいだしたい よう な メツキ に ソウゴ に みえた。
 サオ は もとより そこ に あった が、 キャク は サオ を とりだして、 ナム アミダブツ、 ナム アミダブツ と いって ウミ へ かえして しまった。

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