★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
SF、ミステリーから現代物まで何でも書いてます。
良かったら感想をお聞かせください。

街のカラス(27)

2009年09月28日 | 短編小説「街のカラス」
 さて、今年の冬もなんとか乗り越えられたオイラは、数が増えた仲間に別れを告げ、あの鉄塔に向かうことにした。
 暖かい春風に乗ってゆったりと飛びながら、懐かしい街並みを眺めてみる。街路樹や庭木等に春の息吹が感じられ心がウキウキしてくる。本来、春は繁殖の季節で相手を探しながら巣作りに励む時期であるが、今年のオイラは、なぜかまだそんな気がしてこない。とりあえず、お気に入りのねぐらを決めてから、じっくり考えることにしよう。などど考えながら例の道師さまの家の上あたりにたどり着いた。
 おっ、行列があるじゃないか。でもなんか人数は少ないかなぁ。そう思いながら2階の部屋が見える電柱に、気付かれないよう十分注意して取り付いた。


コメントを投稿