★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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裏葬儀屋(27)

2009年10月28日 | 短編小説「裏葬儀屋」
 三人は、それぞれ場所を決めて探し始めた。さほど大きくない旅館なので探す場所は限られている。10分もしないうちにそれぞれの持ち場を探しつくしてしまったが、見つけることができなかった。
 三人は、フロントの前に集まり首をひねった。
「こうなると、外に出たとしか考えられません。しかし・・」
 浦河はそう言うと旅館の玄関から外に目をやった。田舎のため街灯が少なく漆黒の闇が広がっている。
「とにかく、探しに行きましょう。薬を飲んでから30分は経過している。もうどこかで倒れているかもしれません」
 浦河はあせっていた。今まで35回実行してきたが、こんなケースは初めてだった。確かに副作用の話は聞いていたが、今まで一度も起きたことはない。実際に起こるとは思ってもいなかった。とにかく3時間以内に探し出し、解毒剤を打たなければ山田社長は本当にあの世行きである。
 三人が、懐中電灯を持って外に出ようとしたとき、フロントの電話が鳴った。
 内線ではなく、外からの電話だった。フロントにはたまたま誰もいなかったので、浦河がでるしかなかった。
「もしもし・・」
「あーー、駐在の岩田ですが、お宅の浴衣を着た男の人が道っぱたで倒れとったんで、診療所に連れていったぞい」
「え、あ・ありがとうございます。その方の具合はどうですか」
「あ~、なんかあぶなそうだったなぁ、外傷はなかったようだが、とりあえず、今先生が診とるよ」
「わかりました。すぐ診療所へ伺います」


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