鴨着く島

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広島平和祈念式典(2024)

2024-08-07 14:39:29 | おおすみの風景
今年も原爆死者慰霊の日がやって来た。

広島の平和祈念式典は今年で79回目。

例年になく暑い夏。7月は全国的に記録的な暑さだった。

79年前のこの日も暑かった。その日の午前8時15分、通勤通学時間帯に無慈悲な熱核爆発が広島の上空で起こり、夏の間に10万人が、そしてその年のうちに累計14万人のほぼ一般市民が犠牲になった。
原爆ドーム。この真上でウラン型原爆「リトルボーイ」がさく裂した。

アメリカでは相変わらず、原爆投下によって太平洋戦争の終結を早めた――としている。これが公式見解でそこには「非戦闘員に対する攻撃という戦争犯罪」の認識はない。

戦時国際法では戦闘員同士の戦いで捕虜になったとしても、捕虜を殺すことはもちろん虐待も許さず、帰国できるまで生存の保障があるのに、一般国民へのこの残虐な無差別殺戮が不問に付されている。

アメリカ国内ではカリフォルニア州で、当時の日系アメリカ人が強制的に土地を追われ「収容所送り」となった過去を過ちとして日系人に対する謝罪がなされたのに、日本(少なくとも広島市民及び長崎市民)への謝罪はない。

占領期ならいざ知らず、米軍引き上げ後、自由な民主主義国家となり国際的に復帰をして自由主義諸国の仲間入りをしたにもかかわらず、アメリカからの謝罪はない。

その足かせが日米安保だ。トランプ元大統領がいみじくも吼えたように、「安保はあっても日本はアメリカが危急の時に助けてくれない。アメリカも日本を助けないぞ。自国は自国で守れ!」という安保は片務的過ぎる。

――謝罪する代わりに守ってやっているのだ。文句あるのか。

そこで安倍首相の時に「我が国が緊急事態の時に救助してくれるアメリカの艦船を日本は守りますよ」と取り決め、岸田首相は安保三原則に踏み込み、「我が国周辺でアメリカ艦船が危機の際には、自衛隊も武器をとって戦いますよ」と閣議決定した。

かのアラブ(イラク)戦争の時に日本は一兵も出さず、金だけ出して済ましたのだが、その結果戦争終結後に日本に対する謝辞は無かった。どうもこれが日本外交のトラウマになったようで、安倍政権から岸田政権につながる「武器使用容認路線」の下書きになった。

そして今度はアメリカ側の「核による拡大抑止」を受け入れるという。

これまでも「核廃絶が我が国の基本的立場だ」としながら「アメリカの核抑止力(核の傘)」を堅持してきた日本だが、それを一歩進めて対中国・北朝鮮を念頭に、南西諸島に展開する米軍が核弾頭を装着することも厭わないことになりそうだ。
107か国の大使や領事が集ったという原爆の火の前での平和祈念式典。

いつも言われるのが「広島を長崎を、最後の被爆地に!」だが、核保有国に対して核保有を断念せよと迫るより、このアピールの方が切実で心に残る。

今年はインバウンドの外国人で足を運ぶ人たちが多くなっているそうだ。このアピールが着実に世界に広がるといい。