仮名日記

ネタと雑感

茸力(前編)

2005年06月04日 | 生活
 (前後編に分かれています。後編から先にアップするとはこれ如何に)
 どうも、無計画にブログなどを始めたせいで早くも方向性を見失っている者です。前言をあっさり翻し、今回は日常の出来事、と言っても少しばかり前の話をどうぞ。
 俺が以前に住んでいたところは、六畳一間、風呂・トイレ・洗面所・台所共同、ともかく建物が古くて老朽化が激しいハードボイルドな借家でした。築年数は聞きそびれましたが、便器にToyotokiというロゴが入っていました。これはTOTOの前社名で昭和37~44年の間使われていた商標とのこと。つまり、築30~40年経っているということに。その荒みっぷりは近所の小学生が幽霊屋敷と呼んで恐れるほどでした。
 建物もこのぐらい古くなるといろんな怪現象が起こるものでして、洗面所にヤモリが出没したり、風呂場の更衣室の壁をミミズが這い登っていたり(翌日かべに張り付いたまま干涸らびていました)、夏場はなぜかヤスデが大発生して建物の中を何匹もうろついていたり、開いた窓から迷い込んだコウモリが飛び回っていたりと、なかなかの野生の王国ぶり。ついには部屋の中をムカデが這い回り始め、おちおち寝ていられない状況になりました。
 大雨でも降れば当たり前のごとく雨漏りがします。昔の漫画なんかではしずくを受けるためにバケツや洗面器を置いたりしますが、経験者に言わせればあれはまずいやり方だね。しずくがけっこうな高さから落ちてくるために、どうしたって水が跳ねて床を濡らしてしまう。そういうときは天井の雨漏りする箇所から紐を垂らし、容器に水が伝い落ちるようにするのです。これぞ生活の知恵、俺って賢いなあ、とむりやり悦に入って鬱になる気持ちを抑えつけたものでした。
 そんな状態なので、家賃がいくら安くとも空室はけっこう多かった。空き部屋の一つに、不用心にも鍵がかかってなかったので入ってみたところ、雨漏りのために天井板が腐って穴が空いておりました。穴の下の畳は湿気のために腐って変色している始末。明日は我が身、我が部屋かと陰々滅々たる気持ちになったのは言うまでもありません。
 ある時その空き部屋を覗いてみたら、腐った畳の隙間から何やら出ていました。よもやと思い、中に入って見てみれば、(後編へ続く)

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