前回の続きのようなもの。
自民党の現状を、自民党のネットCMに倣って、例え話風にしてみます。
とある町でのお話。
町の大通りに面して、最近とみに味が落ちたため、客足が遠のきつつある老舗の蕎麦屋がある。
三代前の店長の時代は人気があったが、その頃に出した、痛みを伴うほどしょっぱい蕎麦つゆのせいで、体力の弱い人々が立ち直れなくなってしまったことも、今の不人気の原因の一つだと言われている。その次の代の店長は、こどもの客が来ると、頼まれもしないのに「美しい蕎麦の食べ方」を講釈しだすので、たいそう迷惑がられたし、先代の店長の、何となく人を小ばかにしたような態度も反感を買った。
今の店長は、常に口をへの字に曲げてべらんめえ口調で喋る男で、客を客とも思わない態度を時折みせるので評判が悪い。客があれこれ注文を付けると、
「蕎麦ってのはこういうもんなんだよ。黙って食えよ。」
とすごんだりする。怒りだした客には、
「うちはねえ、代々この味を守ってきているんだよ。気に入らねえんだったら、出てってくれ。」
などと言いながら、塩の固まりをぶつけてくるので始末に負えない。
蕎麦屋の、通りを挟んだ向かいにはラーメン屋があり、最近この店が、行列ができるほどの人気になってきたことが、への字口の店長はどうにも気に入らないのだった。
「あそこのラーメンなんてたいして美味くもねえのに、あんなに流行るっておかしくねえか。雑誌なんかがあることないこと書くから、みんなそれに踊らされてんだな。食い物の味の判んねえ奴らが多すぎるんだよ。」
客に向かってそんなことを口走ったりして、ますます蕎麦屋の人気を落としているのだが、本人はそのことに気が付かないようだ。
町内には他に、以前はそこそこの人気があったけれども、今は見る影もなく寂れたオムライス屋とか、唐辛子を大量にぶち込んで何でもかんでも真っ赤にしてしまう激辛料理専門店がある。この激辛料理の店はマニアックなファンに何とか支えられているが、蟹を使ったメニューを出したところ、すこしだけ話題になったりした。また、最近 突如として全国展開したうどんのチェーン店が開店の準備をしていたが、採算を考えない無理な経営が祟ったらしく、店を開く前に撤退してしまった。
さらに、表はおでん屋だが裏に回ると寺になっていて、ときどき壁越しにお題目が聞こえてくる珍妙な店もある。このおでん屋と蕎麦屋とは、ここしばらくは客を分け合うほど仲が良いが、そのためにおでん屋の持ち味が薄れたと惜しむ人もいるという。
蕎麦屋は人気を取り戻すためにいろいろと策を講じるが、何をやっても評価してもらえずに客はどんどん減っていき、もはや店を移転して出直さなければならないか、という状況に至って、への字口店長がついにブチギレる。
彼は、向かいのラーメン店に開店前から並んでいる人々のところへ怒りを露わにして乗り込んでいき、青筋立ててまくし立てる。
「お前ら日本人だろうが!日本人なら蕎麦を食えよ!
ラーメンなんか食いやがって、お前ら中国人か!
中国に帰れ、中国に!とんでもない奴らだ!!」
あまりの剣幕にしばし唖然とするラーメン店の客たち。しかし、相手が蕎麦屋のへの字口と気付き、いっせいに罵りだす。
「うるせえ、もう蕎麦なんて飽きたんだよ!」
「漢字もろくに読めないくせに偉そうにするな、できそこない!」
「帰って漫画でも読んでろ、この役立たず!」
「二度と面を見せるな!!」
人々に取り囲まれ、袋叩きにされるへの字口。蕎麦屋の店員達は、入口の戸の隙間からその様子を横目で見ながら、次の店長を誰にすればいいのか相談している。誰が店長になってもうまくいかなそうで、なかなか決まらない。「自分がなる」と鼻息荒く手を挙げようとしたら、古株の店員に羽交い締めで制止される慌て者もいる……。
今後、この蕎麦屋がどうなるのか、俺にはよく判りません。通ぶった一部のマニアだけが喜ぶ「伝統」を守った蕎麦を出すのは止めて欲しいけどね。もっと本音を言えば、食中毒で死人を出す前にさっさと潰れちまえ、と思っていますが。
自民党の現状を、自民党のネットCMに倣って、例え話風にしてみます。
とある町でのお話。
町の大通りに面して、最近とみに味が落ちたため、客足が遠のきつつある老舗の蕎麦屋がある。
三代前の店長の時代は人気があったが、その頃に出した、痛みを伴うほどしょっぱい蕎麦つゆのせいで、体力の弱い人々が立ち直れなくなってしまったことも、今の不人気の原因の一つだと言われている。その次の代の店長は、こどもの客が来ると、頼まれもしないのに「美しい蕎麦の食べ方」を講釈しだすので、たいそう迷惑がられたし、先代の店長の、何となく人を小ばかにしたような態度も反感を買った。
今の店長は、常に口をへの字に曲げてべらんめえ口調で喋る男で、客を客とも思わない態度を時折みせるので評判が悪い。客があれこれ注文を付けると、
「蕎麦ってのはこういうもんなんだよ。黙って食えよ。」
とすごんだりする。怒りだした客には、
「うちはねえ、代々この味を守ってきているんだよ。気に入らねえんだったら、出てってくれ。」
などと言いながら、塩の固まりをぶつけてくるので始末に負えない。
蕎麦屋の、通りを挟んだ向かいにはラーメン屋があり、最近この店が、行列ができるほどの人気になってきたことが、への字口の店長はどうにも気に入らないのだった。
「あそこのラーメンなんてたいして美味くもねえのに、あんなに流行るっておかしくねえか。雑誌なんかがあることないこと書くから、みんなそれに踊らされてんだな。食い物の味の判んねえ奴らが多すぎるんだよ。」
客に向かってそんなことを口走ったりして、ますます蕎麦屋の人気を落としているのだが、本人はそのことに気が付かないようだ。
町内には他に、以前はそこそこの人気があったけれども、今は見る影もなく寂れたオムライス屋とか、唐辛子を大量にぶち込んで何でもかんでも真っ赤にしてしまう激辛料理専門店がある。この激辛料理の店はマニアックなファンに何とか支えられているが、蟹を使ったメニューを出したところ、すこしだけ話題になったりした。また、最近 突如として全国展開したうどんのチェーン店が開店の準備をしていたが、採算を考えない無理な経営が祟ったらしく、店を開く前に撤退してしまった。
さらに、表はおでん屋だが裏に回ると寺になっていて、ときどき壁越しにお題目が聞こえてくる珍妙な店もある。このおでん屋と蕎麦屋とは、ここしばらくは客を分け合うほど仲が良いが、そのためにおでん屋の持ち味が薄れたと惜しむ人もいるという。
蕎麦屋は人気を取り戻すためにいろいろと策を講じるが、何をやっても評価してもらえずに客はどんどん減っていき、もはや店を移転して出直さなければならないか、という状況に至って、への字口店長がついにブチギレる。
彼は、向かいのラーメン店に開店前から並んでいる人々のところへ怒りを露わにして乗り込んでいき、青筋立ててまくし立てる。
「お前ら日本人だろうが!日本人なら蕎麦を食えよ!
ラーメンなんか食いやがって、お前ら中国人か!
中国に帰れ、中国に!とんでもない奴らだ!!」
あまりの剣幕にしばし唖然とするラーメン店の客たち。しかし、相手が蕎麦屋のへの字口と気付き、いっせいに罵りだす。
「うるせえ、もう蕎麦なんて飽きたんだよ!」
「漢字もろくに読めないくせに偉そうにするな、できそこない!」
「帰って漫画でも読んでろ、この役立たず!」
「二度と面を見せるな!!」
人々に取り囲まれ、袋叩きにされるへの字口。蕎麦屋の店員達は、入口の戸の隙間からその様子を横目で見ながら、次の店長を誰にすればいいのか相談している。誰が店長になってもうまくいかなそうで、なかなか決まらない。「自分がなる」と鼻息荒く手を挙げようとしたら、古株の店員に羽交い締めで制止される慌て者もいる……。
今後、この蕎麦屋がどうなるのか、俺にはよく判りません。通ぶった一部のマニアだけが喜ぶ「伝統」を守った蕎麦を出すのは止めて欲しいけどね。もっと本音を言えば、食中毒で死人を出す前にさっさと潰れちまえ、と思っていますが。