万華鏡の楽しみ ガラス色の幸せ

万華鏡の魅力、ガラス色の幸せを伝えたいと思います

おしどりの万華鏡

2006-11-16 01:18:24 | 万華鏡ブログ
今日は辻輝子さんの陶器の筒に、山見浩司さんがミラーを組み、オブジェクトセルを製作なさった作品です。 可愛らしいおしどりの図柄は、辻さんが自然の豊かな工房付近での散歩の途中の池でスケッチし、いくつかの陶器の作品に登場しています。この万華鏡の裏側には、亀の図柄が焼き付けられています。おしどりや亀の自然な姿に、すぐそこにいるかのような、生命を感じる作品です。
陶器に絵付けをなさるときは、何度も窯の中で焼く工程の中で、炎と相談しながら、思った色を生み出すという根気の要る作業があるそうです。
そのようにして出来上がった筒は、ひとつひとつ形も大きさも違うので、ミラーを組むのも大変だし、その大きさを決めるのにも試行錯誤が必要でしょう。光を通さない陶器の筒にどのようにしてオブジェクトセルを作るか、万華鏡作家さんの腕の見せ所ですね。おしどりの存在感、土の感触を損なわずに、はんだの色を抑えてバランスよくオブジェクトセルが作られています。この作品の内部映像はどんな風になっているか、また次回ご紹介します。
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託された思いを実現する万華鏡作家

2006-11-14 20:01:24 | 万華鏡ブログ
前回ご紹介した「万華鏡美術館」という作品の内部映像です。依田さんご夫妻は、辻さんから渡された陶器の作品をしばらく飾って、よく眺めてから内部のミラーシステムやオブジェクトのタイプなどを考え、時間をかけて万華鏡に仕上げるのだそうです。
すでに共作なさった作品は100個以上、あるいは200個になるかもしれないとのこと。その一つ一つに陶器の雰囲気に合わせて、いろいろな映像表現をなさってきたそうです。
万華鏡の魅力を、「見ていると心が落ち着き、満ち足りた気分になれて、いやなこともすべて忘れてしまいます。朝日の輝き、夕日のまぶしさに匹敵する美しさが目の前に広がる、不思議な小宇宙の世界です。(ミマン2000年9月号より)」と語る辻さんの思いが、依田さんによっていくつも実現されたのですね。もっと多くの作品を見てみたいと思います。
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万華鏡への思いを託して・・・

2006-11-13 18:24:44 | 万華鏡ブログ
今日ご紹介するのは、陶芸家、辻輝子さんと万華鏡作家、依田満・百合子ご夫妻のコラボレーションになる作品です。「万華鏡美術館」と題されたこの作品は、万華鏡への思い入れの深い辻さんご自身が、自分の創った万華鏡を飾るならこんな美術館に・・・という思いで、陶の筒に描かれたそうです。白い陶器の筒に、万華鏡の世界へのドアへ続く階段をブルーと金色で焼き付けています。よく見えていませんが、万華鏡美術館という文字も入り口の上に書かれています。草花や生物など自然の美しさを表現なさっている辻さんの作品のモチーフとしては珍しいと思いますが、万華鏡への思い入れの深さを感じましたのでご紹介したいと思いました。
内部映像はやわらかい色合いでくっきりとしたパターンの2ミラー・7ポイントの映像が展開します。先端部のオブジェクトケースを回転させて映像の変化を楽しみます。オーソドックスなパターンで、じっと見ていると気持ちが落ち着くような優しい映像という印象でした。次回ご紹介する予定です。
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市松模様が粋な万華鏡

2006-11-11 17:28:55 | 万華鏡ブログ
11月初旬に3日間ほど開かれました「和の万華鏡展」から代永正樹さんの万華鏡をご紹介します。市松模様のステンドガラスの細工がとても素敵で、「和の粋」を感じます。黒いステンドガラスに虹色の光沢ガラスを組み合せたもの、白いステンドガラスに真珠色の光沢ガラスを組み合わせたもの、いずれも細かく丁寧に作られており、はんだ使いもすばらしく、代永さんらしいアート表現です。
内部映像は偏光素材の細いオブジェクトを使って4ポイントの繊細な模様が展開します。ほのかで密やかな映像は、派手さや強さはないのですが、光を通したときに浮かび上がり、きらめく瞬間にこそ、作家さんの表現が込められていることがわかります。
この作品のほかに、漆の作家さんとのコラボレーションによる作品「幽玄」も展示されていました。日本の伝統工芸と万華鏡という組み合わせは、最近いろいろな形で実践されています。
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代永正樹さんによる内部映像

2006-11-10 23:41:29 | 万華鏡ブログ
先日ご紹介した辻輝子さんは陶芸作家ですが、万華鏡への思いが深く、大変多くの万華鏡の筒を創られたそうです。その陶器の筒に万華鏡の命を与えた作家の方たちは、一つ一つ異なる大きさや形に合わせ、外観への影響を考えながら、ミラーを組み、オブジェクトケースを作り、陶器に描かれた図案のイメージに合わせて、内部の映像を生み出します。万華鏡製作にはいくつかの異なった要素をこなすことが必要であり、それゆえに気心の知れた夫婦で製作過程を分担することも多いのですが、別の分野のアーティスト同士のふたつの個性がぶつかり合って製作をするコラボレーションには、難しい面もたくさんあると思います。ですが、辻さんの作品で素晴らしいと思われるものは、やはり内部映像を見ると万華鏡作家の方が、辻さんの表現に寄り添うことに努力なさっているのを感じます。その一方、内部は万華鏡作家の世界という主張も感じます。そのバランスが取れている作品には、人を感動させるプラスアルファーがあるのです。 相乗効果なのですね。コラボレーションというひとつの万華鏡製作の形にも注目していきたいと思います。
先日ご紹介した葡萄の万華鏡の内部映像のほんの一瞬を切取ったものですが、ステンドガラス作家であり、万華鏡作家である代永正樹さんの世界です。
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陶器とステンドガラスが融合した万華鏡

2006-11-08 22:53:32 | 万華鏡ブログ
辻輝子さんの陶器に代永正樹さんのステンドガラスによるデザインを組み合わせて万華鏡に仕上げた作品です。白い清楚な筒に描かれた葡萄の自然な姿を生かし、その世界を壊さないようにステンドガラスによるオブジェクトチェンバーを創り上げました。大胆な造形でありながら、陶とガラスとの融合が自然な感じでなされていて、素晴らしいと思います。一つ一つの細かいガラスの色合いがどれも美しく、控えめな彩を添えています。
内部映像は代永さんの世界。30-60-90度の3ミラーシステムで、六角形の映像が繰り返して視野いっぱいに広がります。3ミラーシステムで一番面白いといわれる映像パターンです。外側の緻密なガラス片の組み合わせと同様に、内部映像にもその緻密さが感じられ、ブルーを基調に細かくてきれいな映像が展開します。
代永さんは、ステンドガラスの製作をしていた頃、フランスで出会った万華鏡に魅せられ、万華鏡製作を始められたそうですが、今では万華鏡を専門的に製作し、教室では、時間をかけてひとつの作品を創る、本格的な製作指導もしていらっしゃいます。
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幻想的な万華鏡映像

2006-11-07 18:55:40 | 万華鏡ブログ
深くて幻想的な映像は、マーク・ティックル&スーザン・ランドグレン夫妻の「Boboli」ボボリ という作品です。以前に(7月18日、19日)「メディチ」という名前でご紹介したのと同じシリーズの作品ですが、ずいぶんと雰囲気が変わっています。使っているオブジェクトが違うこともその理由のひとつですが、おそらくオブジェクトセルのあたりに照明を当てることにより、不思議な雰囲気をかもし出していると思います。前後する2つのオブジェクトセルを一度に映し出すミラーシステムは、彼ら独特のもので、大きな覗き口から見える世界は深い奥行きがあり、また宙に舞う蜂は、空間の広がりと距離感を演出しています。開いたミラーシステム、曲線的なミラーカットという工夫に加え、マークさんの作品には「聖なる幾何学」という美に通じる数学が凝縮されているのです。
またこの作品の特徴のひとつに虹色の光沢のあるガラスをミラーシステムの一部に使う演出があります。この映像では左側の部分で虹色の輝きを放っているところです。光とガラスと鏡が生み出す一瞬の美を捉えたこの映像写真は、作家さん自身の撮影によるもので、とても印象的でしたので、ご紹介いたしました。
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カタツムリのような万華鏡

2006-11-06 20:04:33 | 万華鏡ブログ
手のひらにちょうど載るほどの大きさ、カタツムリのような、ロールケーキのような、可愛らしいデザインの万華鏡は、田村慎一さんの作品です。富士吉田での万華鏡展で見つけました。陶芸家の山田美香さんの陶器の筒を生かすように田村さんが万華鏡に仕立てたものです。このほかに陶芸家森野奈津子さんとの作品もありましたが、若い作家さんたちのみずみずしい感性に刺激を受けながら、陶芸家の方が自由に創ってきた筒を、万華鏡に創り上げるというスタイルで製作なさっていらっしゃるそうです。
製作したいのはまず「楽しい万華鏡」という田村さんの作品は、本当に多岐にわたり、さまざまな材質で万華鏡を製作していらっしゃるので、いろいろな形の筒に対応することができるのですね。日本万華鏡倶楽部の万華鏡大賞展でも何度か受賞なさっていることからも分かるように、質が高く、楽しくてユニークな作品がたくさんあります。内部映像も外側のイメージに合うように、ミラーシステムやオブジェクトの工夫があり、一つ一つ違った楽しみがあります。この作品は先端についた球状のオイルセルを回して映像の変化を楽しみますが、小さいのに、とてもくっきりと変化の大きい鮮やかな映像が展開します。覗き口はこの写真の下側です。
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4ポイントの万華鏡映像

2006-11-05 22:37:05 | 万華鏡ブログ
前回ご紹介したゴールデンパスの内部映像です。外観のテーマが四角いガラスの組み合わせ模様でしたが、それに通じる2ミラー、4ポイントの映像が展開します。鏡を組む角度を45度にすると、左右対称の模様が円の1/4を占めることになり、反射しながら同じ映像4つで構成される円形の万華鏡模様となります。これを4ポイントの映像といいますが、繰り返し映像の数が少ないことから、単調になってしまうことがありがちなため、きれいな映像展開をするためには映りこむオブジェクトが単調にならないように、工夫されています。オブジェクトつくりの名手、ペギーさんならではの、ランプワークによるガラスオブジェクトが独特の雰囲気をうみだしています。
映像は全体的に渋さと輝きが感じられ、ブルー、グリーン、パープル、オレンジ、ゴールドなどが、オイルの中でゆったりと幻想的に変化します。深みのある色がとてもきれいです。
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「金色の小道」という万華鏡

2006-11-03 23:31:24 | 万華鏡ブログ
この万華鏡はスティーブ&ペギー・キテルソン夫妻の作品「ゴールデン・パスGolden Path」です。金色の小道というような意味ですが、ボディーのアクセントになっているゴールドのラインから名づけられたのでしょう。
キテルソン夫妻の万華鏡の基本スタイルは、ステンドガラスをスランピング技法によってふたつの半円状になるよう、丸みをつけ、それらを合わせて筒にします。手持ち型の作品はシンプルで、ガラスの色合いが多様なヴァリエーションを提供しています。このように木材のスタンドに支えられたパーラー型(卓上型)の限定版作品は、さらにデザイン性のある作品が多く、部屋を飾るインテリアとしても秀逸な万華鏡です。
黒いガラスに、四角くカットした、深い光沢のあるブルーや紫やブロンズ色のガラスを焼付け、ゴールドのラインでアクセントをつけた上で、筒状にしてありますが、落ち着きのある華やかさを、しっとりと表現しています。スタンド部分に少しオフバランスに配置された四角のガラスがお洒落ですね。オブジェクトセルの回転部分のゴールド、銅色のはんだが全体を引き締めています。華やかにも渋くもなる金色という色彩を日本的な感覚にも訴えるような使い方で心惹かれるのだと思います。
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