俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月16日(木)

2012-08-16 11:18:35 | Weblog
★いつよりか燕無き空青澄める  正子
家の近くにある葦のある池に毎年立秋を過ぎるころツバメの大群が集まってきて夜を過ごします。その数、空が真っ黒に覆われるほど、数千とも万とも。その燕も、空に秋の色が広がるころいつの間にか南へ姿を消します。燕のいなくなったちょっとさびしい感じとさわやかな秋の到来を待つ気持ちがうまく表現されていると思います。(古田敬二)

○今日の俳句
信濃路へ入るコスモスを揺らしつつ/古田敬二
信濃は今の長野県のことであるから、けいじさんの住んでいる名古屋から信濃へ車で向かっているとき、コスモスも咲いて、ここからは「信濃路」だと思うと、目的地への期待が膨らむ。レベルの高い句。(高橋正子)

○鬼灯(ほおずき)

[鬼灯/横浜・四季の森公園]


 生家には、築山といって庭石や灯籠や小さい池に、松、椿、紅葉といった木を配しているところがあって、そこに先祖を祀る小さい碑のようなものがあるのだが、そのわきにほおずきが植えてあった。お盆のころちょうど熟れるので、植えられたのであろうが、このほおずきは、きれいに熟れかけたと思うと、袋が虫にくわれて網目状になってしまうのが、ほどんど。中の実の皮と破らないように種を出して口に含めば、鳴るというもの。しかし、これがうまくいったことはなかった。かなりの技がいるのであろう。浅草のほおずき市に売られるような完璧なほおずきを見てみたいものと思っていた。
 東京・下町の夏の風物詩「ほおずき市」が7月9日、東京都台東区の浅草寺で始まった。本堂周辺に並んだ露店は約220軒。朱色が鮮やかな丹波ホオズキが売れ筋で、1鉢2500円。かつて薬効があるとして用いられた、緑色の千成ホオズキも人気という。9、10日は参拝すると4万6千日分の御利益があるとされる浅草寺の功徳日。ほおずき市は10日夜まで開かれ、浅草観光連盟は約60万人の人出を見込んだ。

 ★ほおずきの玲瓏と熟れ原爆忌/高橋正子


◇生活する花たち「落花生の花・ササゲの花・稲の花」(横浜市緑区北八朔町)
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8月15日(水)

2012-08-15 09:07:08 | Weblog
★葛の花匂わすほどの風が起き  正子
葛は蔓を伸ばしてどこにでもどんどん這い登っていきます。花が咲くのは八月から九月にかけての残暑の時期です。強い風が吹くと、茂った葉、伸びようとする蔓、垂直に立ち上がる花序それらが一斉に揺れて壮観です。(多田有花)

○今日の俳句
緑陰に昼の草刈機が休む/多田有花
朝涼しいうちに使われた草刈機は、昼の暑い時間は、緑陰で休む。草刈機も人のようだ。(高橋正子)


○溝萩(みぞはぎ)・禊萩(みそはぎ)


[溝萩/東京・向島百花園]          [溝萩/横浜・四季の森公園]

★みそ萩や水につければ風の吹/小林一茶
★溝萩の咲けば偲べる人のあり/稲畑汀子
★溝萩咲く父母の仲人たりし家/松崎鉄之介
★みぞ萩や旅からもどりすぐ旅に/山田六甲
★千屈菜に澄みし水あり休耕田/小浦遊月
★溝萩や束ねて丈の定まりぬ/上月智子

 溝萩は、水辺や湿地に育ち、淡紅紫色の小さい花が穂のように咲く。私が生まれた備後南部では、これを「盆花(ぼにばな)と呼んでいた。盆のことを「ぼに」と呼んで「ぼにがくるけん、草を刈らにゃあ。」というように使っていた。瀬戸内海沿岸は、夏、雨が少ないので、讃岐のため池ほどではなくても、多くの田に野井戸があった。稲田の水が池から放流される灌漑用水では足りないときは、この野井戸が役に立っている。この野井戸のほとりや、田んぼの隅に溝萩が、それこそお盆用に植えられていた。お盆が近づくと、溝萩の束を持って、道を戻ってくる人を良く見かけた。その淡紅紫色の花穂が故郷のお盆の色である。

★みぞ萩を束ね抱えし人に遇う/高橋正子

 ミソハギ(禊萩、学名:Lythrum anceps)はミソハギ科の多年草。湿地や田の畔などに生え、また栽培される。日本および朝鮮半島に分布。茎の断面は四角い。葉は長さ数センチで細長く、対生で交互に直角の方向に出る。お盆のころ紅紫色6弁の小さい花を先端部の葉腋に多数つける。盆花としてよく使われ、ボンバナ、ショウリョウバナ(精霊花)などの名もある。ミソハギの和名の由来はハギに似て禊(みそぎ)に使ったことから禊萩、または溝に生えることから溝萩によるといわれる。


◇生活する花たち「葛の花・女郎花・萩」(東京・向島百花園)

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8月14日(火)

2012-08-14 05:30:51 | Weblog
★白桃の無疵を少女に剥き与う  正子

○今日の俳句
鬼やんま飛びゆく路地の風軽し/安藤智久
「やんま」は秋の季語。鬼やんまが路地をすいっと飛んで行く路地は、風が軽やかに感じられる。風が軽いのは、路地のある暮らしが穏やかでからっとしているからであろう。(高橋正子)

○クィーン・ネックレス

[クィーン・ネックレス/横浜日吉本町]

★夕涼に行き遇うクィーン・ネックレス/高橋正子

 「クィーン・ネックレス」という花がある。「女王様の首飾り」。女王様は、エリザベス女王以外には考えられない。わざわざ「クィーン」がつくところが、メルヘン的。この花のピンクが英国女王に似合っているようにも思う。蔓性の花、案外丈夫で、いったん咲いて、剪定して、また咲いてを、しばらく繰り返しているようだ。ちょうど角の家にあるし、ピンクの小花がネックレスのように10センチほど連なっていて、珍しいので、通る人がよく名前を尋ねるらしい。
 クイーンネックレスは、タデ科アンティゴノン属で、学名はAntigonon leptopus。メキシコ原産の熱帯つる性で、7月~10月にかけて、ピンク色の花を咲かす。耐暑性はあるが、耐寒性(5度以上)は弱い。日あたりのよい場所、また水はけ、水もちのよい土で育て、フェンス・トレリス等に這わせ、ベランダからも垂らしたりする。別名をアサヒカズラ、アンティゴノン、ニトベカズラという。


◇生活する花たち「桔梗・女郎花・槿(むくげ)」(東京・新宿御苑)

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8月13日(月)

2012-08-13 13:23:17 | Weblog
★淀川の初秋の水の岸濡らす  正子
淀川といっても、関東育ちの私は阪急電車の鉄橋が見える岸辺あたりのことしか知りません。それでも、ビルをはるかに見ながら葦などの茂る水辺をゆったりと流れる、広々とした淀川の秋の瑞々しさを感じ取ることができます。(小西 宏)

○今日の俳句
露ころぶキャベツ外葉の濃き緑/小西 宏
キャベツの濃い緑の外葉にころがる露に、力がある。丸く、収れんした露の力と輝きは秋の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

○藤袴

[藤袴/東京・向島百花園]

★枯れ果てしものの中なる藤袴 虚子
★藤袴白したそがれ野を出づる/三橋鷹女
★藤袴手に満ちたれど友来ずも/三橋鷹女
★藤ばかま触れてくる眸の容赦なき/稲垣きくの
★たまゆらをつつむ風呂敷藤袴/平井照敏

藤袴について、高校の古文の先生からまつわる話を聞いた。戦のとき、武士が兜の下に入れたという。頭の蒸れた匂いをその芳香で消すためと聞いた。そのときは、野原の藤袴を折り取ってそれを兜の下に入れたのだと思ったが、そのままの藤袴は匂わない。匂うのは、乾燥したものだそうだ。乾燥させると、なにか芳香の成分ができるらしい。乾燥したものを兜の下に入れたのだろう。淡い紫紅色の散房状の花は武士の花といってもいいだろう。花の形がよく似ていて、立秋ころ咲く白い花がある。これを、早合点の私は、もしや藤袴と思うことがある。そして、その花を写真にとったりして、何度も確かめて、やはり、違うようだと結論付ける。まれにしか見ない藤袴見たさのことであろう。伊勢神宮の外宮の観月祭には、きっちりと秋の七草が揃えられているそうだ。秋の七草は、ハギ、キキョウ、クズ、ナデシコ、オバナ(ススキのこと)、オミナエシ、フジバカマの七草で、山上憶良の歌に「萩の花尾花葛花なでしこが花をみなへしまた藤袴朝顔が花」 (万葉集 巻八) がある。

★藤袴山野の空の曇り来し/高橋正子
★清貧の背筋ますぐや藤袴/高橋正子

フジバカマ(藤袴、Eupatorium japonicum)とはキク科ヒヨドリバナ属の多年生植物。秋の七草の1つ。本州・四国・九州、朝鮮、中国に分布している。原産は中国ともいわれるが、万葉の昔から日本人に親しまれてきた。8-10月、散房状に淡い紫紅色の小さな花をつける。また、生草のままでは無香のフジバカマであるが、乾燥するとその茎や葉に含有されている、クマリン配糖体が加水分解されて、オルト・クマリン酸が生じるため、桜餅の葉のような芳香を放つ。中国名は蘭草、香草。英名はJoe-Pye weed;Thoroughwort;Boneset;Agueweed(ヒヨドリバナ属の花)。かつては日本各地の河原などに群生していたが、今は数を減らし、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧(NT)種に指定されている。また「フジバカマ」と称する植物が、観賞用として園芸店で入手でき庭にも好んで植えられる。しかし、ほとんどの場合は本種でなく、同属他種または本種との雑種である。


◇生活する花たち「白芙蓉・むくげ・風船葛」(横浜日吉本町)

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8月12日(日)

2012-08-12 06:11:58 | Weblog
★ひとつぶのつめたさうましぶどう食ぶ  正子
冷たい清水をいっぱいの桶の中に浸された葡萄。巨峰でしょうか。残暑の中に冷えた葡萄を食べる美味しさ。素晴らしいですね。平仮名主体の柔らかな感じが出ていて素敵ですね。有難う御座います。 (小口泰與)

○今日の俳句
畦草を刈りて定かや稲の花/小口泰與
稲の花が咲くころは、畦草も伸びてくる。それを刈ると畦がさっぱりとして、稲の花の存在が定かになる。取り合わせの句ではないので、稲の花が生き生きとしている。(高橋正子)

○撫子

[撫子/横浜日吉本町]           [河原撫子/横浜日吉本町]

★秋霧や河原なでしこりんとして/小林一茶
★撫子や海の夜明の草の原/河東碧梧桐
★航海日誌に我もかきそへた瓶の撫子/河東碧梧桐
★撫子や堤ともなく草の原/高浜虚子
★撫子や濡れて小さき墓の膝/中村草田男
★岬角や撫子は風強ひられて/秋元不死男
★四五本の撫子植ゑてながめかな/原石鼎
★我が摘みて撫子既に無き堤/永田耕衣
★撫子や腹をいためて胤をつぎ/平畑静塔

 土手を歩いていて、河原撫子を見つけることがる。折り取って帰りたいが、草の中に、ようやく咲いた撫子を摘む気にはならない。我が家に一株の河原撫子がある。日吉商店街の花屋に何気なく立ち寄って、この花を見つけて、すぐに買った。値段も80円でかわいそうなくらい安い値段だったが、花びらが鷺草のように繊細に切れ込んで、淡いピンクの色と姿が素晴らしい。その後その店をときどき覗くが、あくまでも私の感覚においてのことだが、これより素晴らしい撫子を見てはいない。ますます大事に育てている。第一花が終わって今二度目の花がついている。肥料がいるかどうか、思案中である。
 撫子といえば、「なでしこジャパン」である。女子サッカー、ワールドカップで優勝し、ロンドンオリンピックで銀メダル。けなげなほどだ。日本だけでなく世界中がたたえる。「なでしこ」の花をもって称えるのにふさわしい彼女たちではないか。

★台風裡河原撫子折れもせず/高橋正子

  ナデシコ(なでしこ、撫子、瞿麦)はナデシコ科ナデシコ属の植物、カワラナデシコ(学名:Dianthus superbus L. var. longicalycinus)の異名。またナデシコ属の植物の総称。蘧麦(きょばく)。 秋の七草の一つである。歌などで、「撫でし子」を掛詞にすることが多い。ナデシコ属 (Dianthus) は、北半球の温帯域を中心に約300種が分布する。このうち、ヒメハマナデシコとシナノナデシコは日本固有種(日本にのみ自生)であり、他に日本にはカワラナデシコとハマナデシコが分布する。
 カワラナデシコ (D. superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) Williams)には、ナデシコ、ヤマトナデシコの異名もある。これはセキチク (D. chinensis L.) を古くは唐撫子(カラナデシコ)といったことに対する。ナデシコは古くは常夏(とこなつ)ともいった。これは花期が夏から秋に渡ることにちなむ。花の色は紅から淡いピンク色が多いが、園芸品種などでは白色や紅白に咲き分けるものなどもある。ナデシコ属の園芸品種をダイアンサス (Dianthus) ということがあるが、本来はナデシコ属の学名である。また、カーネーション (D. caryophyllus L.) もナデシコ属である。
 「撫でし子」と語意が通じることから、しばしば子どもや女性にたとえられ、和歌などに多く参照される。古く『万葉集』から詠まれる。季の景物としては秋に取り扱う。『枕草子』では、「草の花はなでしこ、唐のはさらなり やまともめでたし」とあり、当時の貴族に愛玩されたことがうかがえる。また異名である常夏は『源氏物語』の巻名のひとつとなっており、前栽に色とりどりのトコナツを彩りよく植えていた様子が描かれている。ナデシコ属は古くから園芸品種として栽培され、また種間交雑による園芸種が多く作られている。中国では早くからセキチクが園芸化され、平安時代の日本に渡来し、四季咲きの性格を持つことから「常夏」と呼ばれた。ナデシコの花言葉は純愛・無邪気・純粋な愛・いつも愛して・思慕・貞節・お見舞・女性の美・など女性的なイメージが強いが、才能・大胆・快活なども。ヤマトナデシコ(カワラナデシコ)の花言葉は、可憐・貞節である。


◇生活する花たち「白芙蓉・むくげ・風船葛」(横浜日吉本町)

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8月11日(土)

2012-08-11 12:01:11 | Weblog
★ひとつぶのつめたさうましぶどう食ぶ  正子
よく冷えたぶどうのひとつぶを食べた時、冷たいので一層ぶどうがおいしく感じられます。暑い夏、ひんやりとした大粒のぶどうは、疲れた身体を蘇らせてくれ生き生きとさせてくれる貴重なおいしい果物でとても有難いものです。 (藤田裕子)

○今日の俳句
茗荷のせ冷奴の白際立ちぬ/藤田裕子
暑い日は冷奴が一番。薬味に茗荷を載せれば、涼風が​吹く気配がして、豆腐の白が特に美しく思えます。「美しき」では​、少し表現不足の感じがします。

○桔梗

[桔梗/横浜北八朔町]             [桔梗/横浜日吉本町]

★桔梗の花咲時ポンと言そうな 千代女
★きちかうも見ゆる花屋が持仏堂 蕪村
★きりきりしやんとしてさく桔梗哉 一茶
★桔梗活けてしばらく仮の書斎哉 子規
★佛性は白き桔梗にこそあらめ 漱石
★人遠し明る間早き山桔梗 龍之介
★芝青き中に咲き立つ桔梗かな 碧梧桐
★桔梗の紫めきし思ひかな 虚子
★桔梗や一群過ぎし手長蝦 普羅
★桔梗を咲かしむるまで熔岩老いぬ 風生
★桔梗や雨またかへす峠口 蛇笏
★桔梗や忌日忘れず妹の来る 月二郎
★大江山降り出す雨に桔梗濃し 青邨
★みちのくの雨そそぎゐる桔梗かな 秋櫻子
★桔梗の花の中よりくもの絲 素十
★桔梗の露きびきびとありにけり 茅舎
★旅の子の第一信や花桔梗 汀女
★露晒し日晒しの石桔梗咲く 多佳子
★莟より花の桔梗はさびしけれ 鷹女
★桔梗を引き寄せて体空しけれ 耕衣
★桔梗や褥干すまの日南ぼこ 不器男
★白桔梗売るわらんべの一位笠 林火
★乳の如き白き池あり山桔梗 たかし

桔梗は秋の七草のひとつであるが、私は野山に自生している桔梗をみたことがない。ほどんど庭に植えられたものである。切り花用に6,70センチのものと、矮性と思える鉢植えの桔梗だけれど、一度自生の桔梗を見てみたいと思う。絶滅危惧種とのこと。風船のような蕾が緑色から、徐々に青紫色に染まって、やがて開いてくる。咲きかけの桔梗というのも見たことがない。身近だけれど、そんな具合だ。小さいころに桔梗の形の小鉢があって、それには金時豆を甘く煮たのがいつも入れらえていた。

キキョウ(桔梗、Platycodon grandiflorus)はキキョウ科の多年性草本植物。山野の日当たりの良い所に育つ。日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。万葉集のなかで秋の七草と歌われている「朝貌の花」は本種であると言われている。絶滅危惧種である。根は太く、黄白色。高さは40-100cm程度。葉は互生で長卵形、ふちには鋸歯がある。下面はやや白みがかっている。つぼみの状態では花びら同士が風船のようにぴたりとつながっている。そのため "balloon flower" という英名を持つ。つぼみが徐々に緑から青紫にかわり裂けて6-9月に星型の花を咲かせる。雌雄同花だが雄性先熟で、雄しべから花粉が出ているが雌しべの柱頭が閉じた雄花期、花粉が失活して柱頭が開き他の花の花粉を待ち受ける雌花期がある。花冠は広鐘形で五裂、径4-5cm、雄しべ・雌しべ・花びらはそれぞれ5本である。なお、園芸品種には白や桃色の花をつけるものや、鉢植え向きの草丈が低いもの、二重咲きになる品種やつぼみの状態のままほとんど開かないものなどがある。


◇生活する花たち「酔芙蓉・コムラサキ・ブルーベリー」(横浜日吉本町)

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8月10日(金)

2012-08-10 16:00:16 | Weblog
★西瓜切ってみなの心に故郷(くに)ありぬ  正子
過ぎし日、故郷に帰ると大きく冷えた西瓜がみなの中心で話をしていたものです。西瓜を切って、食卓に出すと、誰もがそんな日を思い出す、とても心地よい思いに浸ります。(高橋秀之)

○今日の俳句
数本の摘みしコスモス母に出し/高橋秀之
コスモスを摘んできたのは、幼い子どもであろうが、小さな手には、数本で溢れるほどである。きれいな花を母に摘んであげる子どもらしい優しさと、それを受け取る母の温かさが滲んでいる句。(高橋正子)

○葛の花

[葛の花/横浜・四季の森公園]

★葛の葉の吹きしづまりて葛の花 子規
★むづかしき禅門でれば葛の花 虚子
★葛の花が落ち出して土掻く箒持つ 碧梧桐
★山桑をきりきり纏きて葛咲けり 風生
★車窓ふと暗きは葛の花垂るる 風生
★葛の花見て深吉野もしのばゆれ 石鼎
★花葛の谿より走る筧かな 久女
★這ひかかる温泉けむり濃さや葛の花 久女
★葛の花こぼれて石にとどまれり 青邨
★奥つ瀬のこだまかよふや葛の花 秋櫻子
★朝霧浄土夕霧浄土葛咲ける 秋櫻子
★わが行けば露とびかかる葛の花 多佳子
★花葛の濃きむらさきも簾をへだつ 多佳子
★いちりんの花葛影を見失ふ 鷹女
★白露にないがしろなり葛の花 青畝
★葛の花流人時忠ただ哀れ 誓子
★今落ちしばかりの葛は赤きかな 立子
★細道は鬼より伝受葛の花 静塔
★葛咲や嬬恋村字いくつ 波郷
★葛咲や父母は見ずて征果てむ 波郷
  
   久万・三坂峠
★わさわさと葛の垂れいる峠越え/高橋正子

 葛の花は秋の七草のひとつ。野にも、河原にも、山にも、葛を見かける。木に覆いかぶさり、崖などに垂れさがり、河原の草を覆う。葛の蔓を一つ引けば、そこら中の木や草が動く。それほどに蔓が長い。葛の葉はよく見るのだが、花を見るのは意識していないと時期を過ごしてしまう。昨日、8月9日に四季の森公園に出かけた。もしや、葛の花が咲いてはいまいかと。その感は的中し、葛の最初の一花が咲いたところだった。葛の花の盛りとなれば、咲き盛る花の下の方にはすでに咲き終わって枯れた花が一つ二つある。枯れ花の一切ない葛を見るのはまれだ。まさに初秋。赤紫の花には芳香がある。根は山芋以上に太く長いそうだが、実際見たことはない。葛といえば葛粉を思うが、これが値段もいい。心配性の私は葛の根が少なくて、葛粉がこの世からなくなるのではないかとふっと思うことがある。本当の葛餅は、さつま芋などのでんぷんでは味わえない、水のようなすっきりとした喉越しがある。これが本もの葛餅を食べるときの幸せなのだ。
 葛については、去年もこの日記に書いたかもしれないが、「葛の葉」物語がある。助けられた白狐の恩返しの話だが、「つるの恩返し」とはまた違って、こちらのほうが日本的文学性があると思う。白狐の化身の名は「葛の葉」。葛の葉をかき分けるような山のどこかでの話である。山の奥では不思議な世界が繰り広げられる。葛にまつわる話ではないが、「山姥」もわが身に代えてみれば共感の話である。葛も葛の花も繁茂しすぎているにも関わらず憎めぬ花である。
  ※葛の葉狐(青空文庫より)

 クズは、マメ科のつる性の多年草。根を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる。万葉の昔から秋の七草の一つに数えられる。漢字は葛を当てる。葉は3出複葉、小葉は草質で幅広く、とても大きい。葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている。地面を這うつるは他のものに巻きついて10メートル以上にも伸び、全体に褐色の細かい毛が生えている。根もとは木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、長さは1.5メートル、径は20センチにも達する。花は8~9月の秋に咲き、穂状花序が立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する花を咲かせる。花後に剛毛に被われた枝豆に似ている扁平な果実を結ぶ。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ。和名は、かつて大和国(現:奈良県)の国栖(くず)が葛粉の産地であったことに由来する。温帯および暖帯に分布し、北海道~九州までの日本各地のほか、中国からフィリピン、インドネシア、ニューギニアに分布している。
 クズは、荒れ地に多く、人手の入った薮によく繁茂する。雑草としては、これほどやっかいなものはない。蔓性で草地を這い回り、あちこちで根を下ろす。地上部の蔓を刈り取っても、地下に栄養を蓄えた太い根が残り、すぐに蔓が再生するので、駆除するのはほとんど不可能に近い。世界の侵略的外来種ワースト100選定種の一つである。他方で、その蔓は有用であった。かつての農村では、田畑周辺の薮に育つクズのつるを作業に用いた。そのため、クズは定期的に切り取られ、それほど繁茂しなかった。しかし、刈り取りを行わない場合、クズの生長はすさまじいものがあり、ちょっとした低木林ならば、その上を覆い尽くす。木から新しい枝が上に伸びると、それに巻き付いてねじ曲げてしまうこともある。そのため、人工林に於いては、若木の生長を妨げる有害植物と見なされている。クズは根茎により増殖するため根絶やしにすることが困難である。
 北アメリカでは1876年にフィラデルフィアの独立百年祭博覧会の際に日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのがきっかけとして、東屋やポーチの飾りとして使われるようになった。さらに緑化・土壌流失防止用として政府によって推奨され、20世紀前半は持てはやされたが、原産地の中国や日本以上に北アメリカの南部は生育に適していたためか、あるいは天敵の欠如から想像以上の繁茂・拡散をとげた。そのため有害植物及びに侵略的外来種として指定されたが、駆除ははかどっていない。現在ではクズの成育する面積は3万km2と推定されている。近年ではアメリカ南部の象徴的存在にまでなっている。クズの英語名は日本語からkudzu(「クズー」あるいは「カァズー」と発音される)である。


◇生活する花たち「白芙蓉・むくげ・風船葛」(横浜日吉本町)

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8月9日(木)

2012-08-09 17:11:55 | Weblog
★おみなえし山の葛垂る庭先に  正子
山沿いに建つ民家でしょう。庭先のおみなえしがすっと伸び、黄色い小花を咲かせています。そこへ、山から押し寄せるように広がった葛が垂れ、庭の花に触れんばかりに。山の葛の勢いと、庭先のおみなえしのしなやかさ、その対比と併せて、やはり秋の七草という、馴染み深いまとまりも見られます。自然の見せる対照と調和を、小さな空間に活き活きと描いた、美しい日本画のようです。(川名ますみ)

○今日の俳句
車椅子とんぼの群へ触れに入る/川名ますみ
「触れに入る」がすばらしくよい。とんぼの群れに、自ら入り、とんぼと同じように交わることに純粋な喜びがある。(高橋正子)

○萩

[萩/東京・向島百花園]

★白露もこぼさぬ萩のうねりかな 芭蕉
★一家に遊女もねたり萩と月 芭蕉
★行々てたふれ伏すとも萩の原 曽良
★小狐の何にむせけむ小萩はら 蕪村
★萩散りぬ祭も過ぬ立仏 一茶
★白萩のしきりに露をこぼしけり/正岡子規
★暁深く萩おのづからみだれけり/臼田亜浪
★白萩の雨をこぼして束ねけり/杉田久女
★紅萩の根付きし証ほど咲きぬ/稲畑汀子
★外遊の友を送らん萩の風/稲畑汀子
★大波のあとのさざ波萩月夜/小澤克己
★大風に折れたる萩もなかりけり/長谷川櫂

 萩と言えば、まず紅萩を思うだろう。私もそうなのだが、紅萩を思うすぐさま砥部の庭にあった白萩を思い出す。この白萩は俳句の師である川本臥風先生のお庭から引っ越してきた萩なのだ。初秋には道路に面した塀から垂れるように咲き、道行く人に大いに楽しんでもらった。中には立ち止まってしばらく見てゆく人もいた。ちょうど娘の句美子の誕生日の9月3日ごろ、枝先に白い花が咲き始める。
★女児誕生白萩の白咲ける日に/信之
暑い夏であっても、自然のサイクルは狂わず、必ずそのころ咲いた。ちょうど台風のシーズンでもあって、台風というより、野分の吹き分けられる様は窓から見ていてもなかなかの圧巻であった。句美子も五歳ごろだったか
★はぎのはなゆうびんぽすとでさいている/句美子(5歳)
という句を作ったほどだ。句美子は、このころまでに俳句を50句ほど作っている。読売新聞愛媛支局に花冠(当時は水煙)を送っていたが、俳句好きの記者が読んでくださって、読売新聞に写真付きで紹介されたことがある。
秋の終わり枯れるころの萩紅葉がまたいいのだ。その後その葉は散り、枝だけが残るが、これを刈り取ってさっぱりさせて、冬を迎える。するとまた株から新芽が立ってさわさわとした萩の葉を茂らせるのだ。花の季節だけでなく、年中楽しめる花である。

★白萩のこぼれし花を掃く朝な/正子

ハギ(萩)とは、マメ科ハギ属の総称。落葉低木。秋の七草のひとつで、花期は7月から10月。分布は種類にもよるが、日本のほぼ全域。古くから日本人に親しまれ、『万葉集』で最もよく詠まれる花でもある。秋ハギと牡鹿のペアの歌が多い。別名:芽子・生芽(ハギ)。背の低い落葉低木ではあるが、木本とは言い難い面もある。茎は木質化して固くなるが、年々太くなって伸びるようなことはなく、根本から新しい芽が毎年出る。直立せず、先端はややしだれる。葉は3出複葉、秋に枝の先端から多数の花枝を出し、赤紫の花の房をつける。果実は種子を1つだけ含み、楕円形で扁平。荒れ地に生えるパイオニア植物で、放牧地や山火事跡などに一面に生えることがある。

■第15回(立秋)フェイスブック句会入賞発表/2012年8月9日■
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d

【金賞】
★蝉時雨ひとりの部屋の音を消す/矢野 文彦
ひとりの部屋は、ひとりが作る小さな音。その音は蝉時雨に消されてしまって、部屋は蝉時雨でいっぱい。部屋が大樹の茂る戸外になったようにも思える。(高橋正子)

【銀賞】
★サクサクと野菜切る音涼​しかり/井上 治代
野菜を切る音が「サクサク」と快い。快さは涼しさに通じて、生活のこんなところにも喜びを見つけることができる。(高橋正子)

【銅賞】
★夏川に浮かべば遠き街の音/安藤 智久
夏川に小さな舟で浮かんだのか、筏のようなもので浮かんだのか。自然のただ中に居るのとは違って、街の音が遠く聞こえる。夏川と街との程よい距離感が新鮮な感覚で捉えられている。(高橋正子)

★夏惜しむ胸まで潮に浸りけり/小野寺 靖
胸まで深々と海の潮につかる。潮の匂い、水の冷たさ、照らす太陽など、もろもろを体全体の感覚で捉えて、それが「夏惜しむ」の心情となっているのがよい。(高橋正子)


◇生活する花たち「落花生の花・胡麻の花・稲の花」(横浜市緑区北八朔町)

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8月8日(水)

2012-08-08 06:40:32 | Weblog
★朝顔の紺一輪を水に挿し  正子
身近に咲く朝顔を水に挿し、紺一輪のみずみずしさから生まれる、お暮らしの中の豊かな清々しいひとときです。一輪なればこその紺色の、実に涼やかな朝顔の美しさを感じさせていただきました。 (藤田洋子)

○今日の俳句
新刊の一書机上に秋初め/藤田洋子
秋が来たと思う爽やかさに、さっぱりと片付いた机上に一冊の新刊書が読まれんとして置いてある。生活が新鮮に詠まれている。(高橋正子)

○尾花(おばな・すすき)

[薄(すすき)/横浜日吉本町]

★何ごともまねき果たるすすき哉 芭蕉
★おもしろさ急には見えぬ薄かな 鬼貫
★山は暮れて野は黄昏の薄かな 蕪村
★夕闇を静まりかへるすゝき哉 暁台
★猪追ふや芒を走る夜の声 一茶
★古郷や近よる人を切る芒 一茶
★箱根山薄八里と申さばや/正岡子規
★一株の芒動くや鉢の中/夏目漱石
★金芒ひとかたまり銀芒ひとかたまり/高浜虚子
★穂芒のほぐれ初めの艶なりし/能村登四郎
★穂を上げし芒に風の触れはじむ/稲畑汀子
★薄野を来て一山の夕日浴ぶ/小澤克己
★今日を尋めゆく落日の川すすき/千代田葛彦

 薄について書こうと思えばありすぎる。いたるところにあるけれど、夏の青い薄が風になびくのもよい。城ケ島に4年ぐらい前だったか行ったときに、はるか大島の影が見える崖に青薄が靡いていた。月があがればどんなに素敵だろうかと思った。その青薄も真夏の暑さに鍛えられ、青々とした色が幾分か抜けると紅むらさきのつややかな穂が出る。出始めの穂の色、はらりとほどける穂の具合は、初秋の風情としては一品。秋も深くなると穂が白くほおけて、銀色金色に輝く。小諸の花冠フェスに出かけた折、追分のあたりから景色はぐっと高原らしくなるが、薄は金色だった。それから、鎌倉の二階堂の虚子記念館を訪ねたときに、薄原があった。虚子がこの薄原を詠んだのではないかと思わせる雰囲気があった。
薄について風情の良さばかりを言ってはおれないのだ。薄は、別な呼称で萱なのだ。生家には家の前に広い畑がある。両親がいたころは、いろんな農作物がよく育っていた。父が亡くなり40年がたち、母がこの5月に亡くなったが、畑の隅に徐々に萱が生え始めた。畑の手入れが行き届かない。おそらくこの萱が広がって、何年か経つうちに荒れた野に戻るだろうと、寂寥とした思いにもなる。

★追分の芒はみんな金色に/高橋正子

ススキ(芒、薄)とは、イネ科ススキ属の植物。萱(かや)、尾花ともいう。野原に生息し、ごく普通に見られる多年生草本である。高さは1から2m。地下には短いがしっかりした地下茎がある。そこから多数の花茎を立てる。葉は細長く、根出葉と稈からの葉が多数つく。また、堅く、縁は鋭い鉤状になっているため、皮膚が傷つくことがある。夏から秋にかけて茎の先端に長さ20から30cm程度の十数本に分かれた花穂をつける。花穂は赤っぽい色をしているが、種子(正しくは穎果・えいか)には白い毛が生えて、穂全体が白っぽくなる。種子は風によって飛ぶことができる。日本には全国に分布し、日当たりの良い山野に生息している。夏緑性で、地上部は冬には枯れるのが普通であるが、沖縄などでは常緑になり、高さは5mに達する。その形ゆえに、たまにサトウキビと勘違いする観光客がいる。国外では朝鮮半島・中国・台湾に分布するほか、北米では侵略的外来種として猛威をふるっている(日本にセイタカアワダチソウが侵入したのと逆の経路で伝播)。植物遷移の上から見れば、ススキ草原は草原としてはほぼ最後の段階に当たる。ススキは株が大きくなるには時間がかかるので、初期の草原では姿が見られないが、次第に背が高くなり、全体を覆うようになる。ススキ草原を放置すれば、アカマツなどの先駆者(パイオニア)的な樹木が侵入して、次第に森林へと変化していく。後述の茅場の場合、草刈りや火入れを定期的に行うことで、ススキ草原の状態を維持していたものである。


◇生活する花たち「葛の花・女郎花・萩」(東京・向島百花園)

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8月7日(火)/立秋、月遅れ七夕

2012-08-07 04:16:28 | Weblog
★七夕の星はいずれも澄み透る  正子
月遅れでは8月7日に行われる七夕。古来この日、牽牛と織姫の伝説に思いを馳せ、願いごとを短冊に託して笹竹に吊るされてきました。七夕の日の星を「いずれも澄み透る」と詠まれた御句に、夜空の星に寄せる作者の深く透徹した明るさを感じます。 (小川和子)

○今日の俳句
西瓜切る水音たてて俎板に/小川和子
大きな西瓜を切ると、皮の割れる音と共に水の音、水の匂いがする。西瓜のみずみずしさが切った瞬間にあふれ出た句。(高橋正子)

○女郎花(おみなえし)

[女郎花/横浜・四季の森公園]       [女郎花/横浜・都筑中央公園]

★ひよろひよろと猶露けしや女郎花/松尾芭蕉
★とかくして一把になりぬをみなへし/与謝野蕪村
★女郎花あつけらこんと立てりけり/小林一茶
★裾山や小松が中の女郎花/正岡子規
★遣水の音たのもしや女郎花/夏目漱石
★女郎花の中に休らふ峠かな/高浜虚子
★山蟻の雨にもゐるや女郎花 蛇笏
★女郎花ぬらす雨ふり来りけり 万太郎
★馬育つ日高の国のをみなへし 青邨
★波立てて霧来る湖や女郎花 秋櫻子
★杖となるやがて麓のをみなへし 鷹女
★をみなへし信濃青嶺をまのあたり 林火
★村の岐路又行けば岐路女郎花/網野茂子
★女郎花そこより消えてゐる径/稲畑汀子
★女郎花二の丸跡に群るるあり/阿部ひろし
★とおくからとおくへゆくと女郎花/阿部完市
★夜に入りて瀬音たかまる女郎花/小澤克己

 秋の七草のひとつに数えられる女郎花。萩、桔梗、葛、尾花、撫子、藤袴、女郎花とあげてくれば、どれも日本の文化と切り離すわけにはいかない草々だ。どれも風情がいいと思う。藤袴、女郎花については、名前にはよくなじんでいるものの、実物を見るようになったのは、20代を過ぎて、30代になってからと思う。藤袴、女郎花はどのあたりに生えているかも知らなかった。故郷の瀬戸内の低い山裾などでは見ることはなかった。女郎花は、生け花にも使われるが、粟粒状の澄んだ黄色い花が魅力だ。栽培しているものをよく見かけるようになったが、決してしなやかな花ではない。むしろ強靭な花の印象だ。葛だってそうだし。

★おみなえし雲を行かせたあと独り/高橋正子
★女郎花山の葛垂る庭先に/〃

オミナエシ(女郎花 Patrinia scabiosifolia)は、合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。秋の七草の一つ。敗醤(はいしょう)ともいう。沖縄をのぞく日本全土および中国から東シベリアにかけて分布している。夏までは根出葉だけを伸ばし、その後花茎を立てる。葉はやや固くてしわがある。草の丈は60-100 cm程度で、8-10月に黄色い花を咲かせる。日当たりの良い草地に生える。手入れの行き届いたため池の土手などは好適な生育地であったが、現在では放棄された場所が多く、そのために自生地は非常に減少している。 日本では万葉の昔から愛されて、前栽、切花などに用いられてきた。漢方にも用いられる。全草を乾燥させて煎じたもの(敗醤)には、解熱・解毒作用があるとされる。また、花のみを集めたものを黄屈花(おうくつか)という。これらは生薬として単味で利用されることが多く、あまり漢方薬(漢方方剤)としては使われない(漢方薬としてはヨク苡仁、附子と共に調合したヨク苡附子敗醤散が知られる)。花言葉:約束を守る。名前の由来:異説有り。へしは(圧し)であり美女を圧倒するという説、へしは飯であり花が粟粒に見えるのが女の飯であるという説、など。


◇生活する花たち「桔梗・女郎花・槿(むくげ)」(東京・新宿御苑)

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8月6日(月)/原爆忌

2012-08-06 17:21:52 | Weblog
★大朝焼車一台ずつ染まる  正子
早朝、東の空から次第に赤紫色に染まり、やがて真っ赤な大朝焼けになってきました。ほんの短い時間の流れの中に、周囲は大きな朝焼けに包まれ、未だ、まばらに行交う車も、駐車している車もその一台づつが赤く染まっています。今日の暮らしが始まろうとしている美しい朝の風景です。 (佃 康水)

○今日の俳句
作務僧も素麺流しの竹を組む/佃 康水
寺での素麺流しであろうか。作務僧も出て、素麺を流す青竹を組み、境内での素麺流しがいかにも涼しそうである。(高橋正子)



[グラジオラス/横浜日吉本町]

★グラジオラス妻は愛憎鮮烈に/日野草城
★グラジオラスゆるるは誰か来るごとし/永田耕一郎
★グラジオラス揺れておのおの席につく/下田実花
★刃のごとくグラジオラスの反りにけり/佐久間慧子

 花にも流行り廃れがあるが、私の記憶では、昭和30年代から40年代の初めごろ、グラジオラスは、ダリアと並んで人気の花だったと思う。葉が菖蒲のようで、花が連なって咲く。ヒメヒオウギズイセンに似たマジェンダ色のグラジオラスが一般的だったころ、生家にもあった。それから花がずいぶん華やかに豪華になった。グラジオラスは、ガラスの花器に活けたい。茎を水に透かせて、豪華な花の暑苦しさから解放されたい。そうすれば随分涼しい花となる。連なった花は根元から先へと咲く。最後の蕾まで咲き切らすのは意外と難しい。

グラジオラス (Gladiolus) は、アヤメ科グラジオラス属の植物の総称。日本には自生種はなく、園芸植物として植えられている。別名、トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)。名前は古代ローマの剣であるグラディウスに由来し、葉が剣に類似していることが根拠と言われる。日本では明治時代に輸入され、栽培が開始された。根は湿布薬の材料に使われる。原産地は、アフリカ・地中海沿岸など。赤、黄、橙、白などの花を開花する。葉(一説には花が咲く前の一連のつぼみ)が剣のようなのでGladius(ラテン語で「剣」)にちなんで名づけられた。春に球根(球茎)を植え、夏の7 - 8月にかけて開花する春植え球根として流通しているものが一般的である。一部の原種には秋植え球根で、春に開花するものもある。花言葉には勝利・密会・用心などがある。


◇生活する花たち「むくげ・コムラサキ・鬼百合」(東京・新宿御苑)

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8月5日(日)

2012-08-05 17:20:38 | Weblog
★胸うちに今日の夏野を棲まわせる  正子
連日の猛暑です。この夏野はやや標高の高いところにある涼しげな高原という印象を受けます。そこを吹く風の心地よさとともにその夏野の光景を胸のうちに収められている、そこに涼しさがあります。(多田有花)

○今日の俳句
頂の青筋揚羽雲に触れ/多田有花
山の頂には、こんなところまでよくも、というような蝶などを見かける。飛べば雲に触れそうな青筋揚羽もいて、驚き、また楽しい世界を作っている。(高橋正子)

○ささげの花

[落花生の花/横浜市緑区北八朔町]

★アフリカの太古の色やささげ咲く  照れまん
★紫にささげの花や土用東風  憧里夢
★高架駅下りればすぐに花ささげ/高橋正子
★大畑を区切って三筋の花ささげ/高橋正子
 
 ささげは、小豆の大ぶりなもので、小豆より品位が低いものと子供時代は思っていた。小豆も結構よい値であるが、ささげのほうがもっと値が高い。上等な赤飯にはささげが使われている、と大人の私はこのようにささげを見ている。ささげの餡というのがあるかどうか知らないが、餡にもするようだ。畑の一画にそんなにたくさんではないが、ささげが植えられていた。さやが幾分長い。祖母がささげ、ささげとよく言っていた。秋になると鞘が熟れて、それを筵に広げ乾燥させ、木槌でたたいて豆を出した。

ササゲ(豇豆、大角豆、学名 Vigna unguiculata)はマメ科の一年草。つる性の種類とつるなしの種類とがある。アフリカ原産。主に旧世界の温暖な地方で栽培される。南米では繁栄と幸運を呼ぶ食物と考えられ、正月に食べる風習がある。樹木の形状は低木であり、直立ないし匍匐する。枝を張ったり、からみついたりと、成育の特性は多彩。語源は、莢が上を向いてつき物をささげる手つきに似ているからという説[1]、莢を牙に見立てて「細々牙」と言ったという説、豆の端が少々角張っていることからついたという説など諸説ある。藤色、紫、ピンクなど様々な色の花をつける。花の形は蝶形花である。穀物用種は、さやが10-30cmで固く、豆は1cm程度の腎臓形で、白・黒・赤褐色・紫色など様々な色の斑紋をもつ。白い豆には一部に色素が集中して黒い目のような姿になるため、ブラック・アイ・ピー(黒いあざのある目を持つ豆)と呼ばれる。つる性種は草丈が2mから4mになるのにたいし、つるなし種の草丈は30cmから40cm。ナガササゲと呼ばれる品種は100cmに達する。耐寒性は低いが、反面暑さには非常に強い。日本では、平安時代に「大角豆」として記録が残されている。江戸時代の『農業全書』には「豇豆」という名前で多くの品種や栽培法の記述がある。また、アズキは煮ると皮が破れやすい(腹が切れる=切腹に通じる)のに対し、ササゲは煮ても皮が破れないことから、江戸(東京)の武士の間では赤飯にアズキの代わりに使われるようになった。


◇生活する花たち「待宵草・白芙蓉・百日紅」(横浜日吉本町)
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8月4日(土)

2012-08-04 06:56:24 | Weblog
★野に出でて日傘の内を風が吹き  正子
「野に出でて」で外出する解放感が伝わってまいります。夏の草花がチラホラと生い茂っているであろう野原を日傘をさしてゆっくりと歩く。傘の内を爽やかな風が吹き抜けて、涼しさも感じられる夏のひとときです。 (河野啓一)

○今日の俳句
空晴れて祭り太鼓の試し打ち/河野啓一
「試し打ち」に、祭への張り切りようが想像できる。「空晴れて」なので、思い切りの試し打ちだろう。まだ不調子があれば、本番でない面白さと思える。(高橋正子)

○落花生の花

[落花生の花/横浜市緑区北八朔町]

★落花生の花咲き遥かなる空よ/高橋信之
★ピーナッツの花咲かせ空ひろびろと/高橋信之
★落花生の花はバス道をはずれ/高橋正子

 生家の前はすぐ畑となって、胡麻を植えていたことを既に書いたが、その胡麻畑の隣に落花生を植え、同じ時期に花を咲かせていたので、夏休みの記憶に残っている。当時、生家では、南京豆といっていたが、南米原産で東アジアを経由して、江戸時代(1706)に日本に渡来したと言われている。落花生は、7・8月の早朝に黄色の花が咲いて、昼にはしぼんでしまう。数日経つと子房柄(子房と花托との間の部分)が伸びて地中に潜り込み、子房の部分が膨らんで結実する。地中で実を作ることから落花生(ラッカセイ)の名前が付けられた。
 ラッカセイ(落花生、学名:Arachis hypogaea)は、マメ科ラッカセイ属の一年草。別名はナンキンマメ(南京豆)、方言名は地豆(ぢまめ、ジーマーミ)、唐人豆(とうじんまめ)、異人豆(いじんまめ)など。中国語は花生。福建語・台湾語は土豆。英語名のピーナッツ、peanutは日本では食用とする種子を指す場合が多い。ground nutともいう。南米原産で東アジアを経由して、江戸時代に日本に持ち込まれたと言われている。日本では主に食用として栽培されている。草丈は25-50cm。夏に黄色の花を咲かせる。受粉後、数日経つと子房柄(子房と花托との間の部分)が伸びて地中に潜り込み、子房の部分が膨らんで結実する。地中で実を作ることからラッカセイの名前が付けられた。ラッカセイの原産地が南アメリカ大陸であることは確実である。最も古い出土品は、紀元前850年ころのペルー、リマ近郊の遺跡から見つかっている。その後、メキシコには紀元前3世紀までに伝わっていた。南アメリカ以外の世界にラッカセイの栽培が広がったのは16世紀である。日本で最初に栽培されたのは神奈川県の大磯町である。西アフリカ-ブラジル間の奴隷貿易を維持するためにラッカセイが用いられ、そのまま西アフリカ、南アフリカに栽培地が広がっていく。ほぼ同時期にスペインへ伝わったラッカセイは南ヨーロッパ、北アフリカへと渡っていく。さらにインドネシア、フィリピンへの持ち込みもほぼ同時期である。現在の大栽培地インドへは19世紀と比較的導入が遅かった。日本には東アジア経由で1706年にラッカセイが伝来し、南京豆と呼ばれた。現在の栽培種はこの南京豆ではなく、明治維新以降に導入された品種である。

 千葉市の小仲台に住んだ詩人白鳥省吾が1958年、八街市内の豊かな落花生畑を見て、即興で詠んだ自筆の詩碑が千葉県立八街高校の校庭に建立されている。
落花生讃碑[千葉県立八街高校]

  落花生賛
 いつ知らず
 葉は繁り
 花咲きて
 人知れず
 土に稔りぬ
    白鳥省吾


◇生活する花たち「ゆうすげ・松葉牡丹・夾竹桃」(フラワーセンター大船植物園)
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8月3日(金)

2012-08-03 16:52:56 | Weblog
★夏蒲団糊の匂いて身に添えり  正子
「糊をする」という言葉が懐かしくなりました。昔は浴衣やシーツなど糊をしたものです。糊をした夏蒲団、糊が強すぎもせず身に沿うて、いい匂いがして気持ちよく眠れそうです。(黒谷光子)

○今日の俳句
炎天に祭り用意の男たち/黒谷光子
炎天下、祭りの用意に余念のない男たち。汗をいとわず動く意気込みが、男らしさとなって、用意の段階から祭りを盛り上げている。(高橋正子)

○へくそかずら

[へくそかずら/横浜市港北区箕輪町]

 「へくそかずら」は、埃っぽい真夏の暑さにも負けず道路わきの草に巻きついたり、涼しそうな竹藪の下草に巻きついたり、結構あちこちで見かける。初めてへくそかずらの名前を知ったのは、小学生の時だった。そのころは、夏休みの宿題は夏休み帳だけ。夏休み帳だけやるのは少な過ぎると考えたのだろう。上級生から夏休みには、漢字の百字練習と、計算ドリル、絵を2,3枚。工作1点、押し花か昆虫採集、これらをそろえて新学期に持ってゆくものと教えらえていた。一緒に勉強したり、絵を描いたり、工作をしたりすることもあった。押し花は小学3年生のころから始めた。毎夏のことで、家の周りのいわゆる雑草を採集して押し花にし、画用紙に貼り付けた。10枚から20枚くらいを綴じた。植物の名前は、図鑑で調べるののではなく、上級生や大人に聞いた。わからないものは何も書かないで提出。「へくそかずら」の名前は、夏休みの植物採集で知った。かわいい花だと思ったが、それが花にはかわいそうな名前であることなどちっとも思わなかった。実際、意味を考えもしなかったのだろう。

★へくそかずら涙を溜めし目に映る/高橋正子

 ヘクソカズラ (屁糞葛, Paederia scandens) とはアカネ科ヘクソカズラ属の植物の一種。別名ヤイトバナ、サオトメバナ。古名はクソカズラ(糞葛・屎葛)。日本各地、東アジアに分布する蔓性の多年草で、至る所に多い雑草。葉や茎に悪臭があることから屁屎葛(ヘクソカズラ)の名がある。葉は蔓性の茎に対生し、形は披針形から広卵形で、縁は全縁。花期は7月から9月頃で、花弁は白色、中心は紅紫色であり、その色合いが灸を据えた跡のようなのでヤイトバナ(灸花)の別名がある。果実は黄褐色。干して水分を飛ばした果実、または生の実を薬用とする。ただ、生の果実はかなりの臭気を放つのに対して、乾燥したものは不思議と臭いが消えるため、乾燥したものを使うことのほうが多い。劇的ではないが効用は認められており、しもやけ、あかぎれなどの外用民間薬のほか、生薬の鶏屎藤果としてもしられている。「ヘ」の上に「クソ」までつく気の毒な名をもつヘクソカズラは、荒れた雑木林などに生える。名前のとおりに花などをもむといやなにおいがするが、芯の部分は落ちついたアズキ色でしゃれている。冬になれば枯れたつるで素敵なリースができる。



◇生活する花たち「桔梗・胡麻の花①・胡麻の花②」(横浜市緑区北八朔町)
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8月2日(木)

2012-08-02 16:25:23 | Weblog
★這いはじめし子に展げ敷く花茣蓙  正子
可愛いお孫さんでしょうか。這いはじめの時は特に可愛いですね。種々の色に染めた藺で山水や草花などの模様を織りだした花むしろをお孫さんのために拡げてあげている素敵な景ですね。 (小口泰與)

○今日の俳句
峰雲やかたまり歩む牛の群/小口泰與
雲が峰のように湧きあがり、牧場には、よい草地に連れて行かれるのだろう、牛が群れをなしてゆっくりと歩んでいる。のびやかで大きな景色。(高橋正子)

○紫式部の花

[ムラサキシキブ/横浜・四季の森公園]   [コムラサキ/東京・新宿御苑園]

★慈雨来る紫式部の花にかな/山内八千代
★紫式部添木に添わぬ花あまた/神部 翠
★光悦垣色あはあはと花式部/高瀬亭子
★紫式部咳くやうに咲き初めし/河野絇子
★夢辿る紫式部の花の香に/石地まゆみ
★花式部見つけたり日の輝きに/高橋信之

★渡されし紫式部淋しき実/星野立子
★雨後あまだ雲のたゆたふ実むらさき/能村登四郎
★むらさきしきぶ熟れて野仏やさしかり/河野南畦
★うしろ手に一寸紫式部の実/川崎展宏

 紫式部の実は、熟れると美しい紫色となる。しだれるような枝に小さな紫色の実がつき、小鳥が好んで食べる。一度私も食べてみたが、棗に似た味がする。この美しい実がつく前には花が咲くのはとうぜんだが、6月、その紫式部の花が咲いている。実より少し淡い紫色である。その花の通りに実がつく。山野に自生したのを見るが、庭木に植えているものと見かけが多少ちがうように思う。私が見た限りでは、庭木に植えているもは、葉が黄緑がかっているが、自生種は葉が大ぶりで、緑色が濃い。花よりも実が美しい木の一つである。

★登り来てふと見し花は花式部/高橋正子

ムラサキシキブ(紫式部、Callicarpa japonica)はクマツヅラ科の落葉低木で、日本各地の林などに自生し、また果実が紫色で美しいので観賞用に栽培される。高さ3m程度に成長する。小枝はやや水平に伸び、葉を対生する。葉は長楕円形、鋭尖頭(先端が少し突き出すこと)、長さ6-13cm。細かい鋸歯がある。葉は黄緑で洋紙質、薄くて表面につやはない。初めは表側に細かい毛があることもある。花は淡紫色の小花が散房花序をつくり葉腋から対になって出て、6月頃咲く。秋に果実が熟すと紫色になる。果実は直径3mmで球形。栽培品種には白実のものもある。名前の由来は平安時代の女性作家「紫式部」だが、この植物にこの名が付けられたのはもともと「ムラサキシキミ」と呼ばれていたためと思われる。「シキミ」とは重る実=実がたくさんなるという意味。スウェーデンの植物学者のカール・ツンベルクが学名を命名した。北海道から九州、琉球列島まで広く見られ、国外では朝鮮半島と台湾に分布する。低山の森林にごく普通に見られ、特に崩壊地などにはよく育っている。ムラサキシキブ(コムラサキ、シロシキブ)の名所として、京都・嵯峨野の正覚寺が有名である。
コムラサキ(C. dichotoma)も、全体に小型だが果実の数が多くて美しいのでよく栽培される。別名コシキブ。ムラサキシキブとは別種であるが混同されやすく、コムラサキをムラサキシキブといって栽培していることが大半である。全体によく似ているが、コムラサキの方がこじんまりとしている。個々の特徴では、葉はコムラサキは葉の先端半分にだけ鋸歯があるが、ムラサキシキブは葉全体に鋸歯があることで区別できる。また、花序ではムラサキシキブのそれが腋生であるのに対して、コムラサキは腋上生で、葉の付け根から数mm離れた上につく。岩手県で絶滅、その他多数の都道府県でレッドリストの絶滅寸前・絶滅危惧種・危急種・準絶滅危惧の種に指定されている。


◇生活する花たち「グラジオラス・百日紅・蒲の花」(横浜日吉本町)

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